81話 Into the Inferno
「んー。やぁ、アスぅ、だめだよう、そんなとこ、なめちゃ、らめえ・・・あっ、やっ。」
!?
ガバッ
尻尾をみる。
「んにゃん?」
何だ、ラビィの猫ちゃんかぁ。
尻尾をぺろぺろ舐めている。
「ふあ!?そこ舐めちゃ、だ、ダメええ!」
ぺろぺろ ぺろぺろ ぺろぺろ
猫ちゃん、しゅごいい
「あっ、あっ、やっ、い、いく、いくいくいくいくう、イッちゃ」
knock knock
「へあ!?」
「・・・アル・・・朝だよ。」
ノエルの声だ。
猫は驚いて窓から逃げていく。あっ・・・。
「う、うん、おはよう。また髪、お願い。」
モンモン モンモン
今日はリリムとダンジョン攻略する日だ。
いつもの服に着替えて街へ出る。
アレかな?待ち合わせ場所の広場へ。
色んなお店、屋台が出てるのね。サーシャちゃんもこの街に2号店出すって言ってたし、アビスの街とか近郊からも出店あるかもね。
「アルル!お待たせ!」
リリムが駆けてくる。
「おはよ。アタシも今来たとこだよ。」
「朝ご飯まだでしょ?食べてこ!」
元気いいなあ。何かいい事でもあったのかな?
テラス席のあるカフェへ。
パンケーキとコーヒーを頼む。
「今日凄く楽しみだったんだ。」
そんなにこの店来たかったの?
「ここのパンケーキ美味しいからね。」
評判よ。
「違うわよ!ケーキじゃなくてダンジョン攻略よ。だってアルル大人気なんだもん。毎日違うパーティー組んでるし。」
そうなのだ。この所、毎日違う面子でダンジョン攻略をしているのだ。
主に配下の者たちと訓練がてらだけどね。
「主君として配下育成しなきゃだから。」
パンケーキが運ばれてくる。ここのはイチゴとバナナが乗っていてシロップをつけて食べると最高なのだ。
「私だってアルルの配下だし、それに、か、か、かの、ゴニョゴニョ・・・。」
ん?何て?
「リリムは配下じゃなくて友達だよ。もぐもぐ」
美味しー。
「・・・友達。そうね、今はそれでいいわ。絶対に負けないんだから!もぐもぐ!」
勢いよく食べ始める。お腹が空いていたのかな。
「あれ?師匠じゃないですか。」
ラビィだ。
猫を抱いている。この店動物OKだっけ?
「おはよ、ラビィ。」
「こんな所で会うなんて奇遇ですね。」
いやいや、つけて来たよね?気配消してたみたいだけどバレバレだから。もぐもぐ
「今からダンジョン攻略ですか?それともデートですか?」
チラリとリリムを見る。
「両方。もぐもぐ」
ガタン!
「えっ!?」
リリムが立ち上がり・・・座った。リリムを見ると顔が真っ赤だ。どしたん?
「へー、そうなんですね。ねえ師匠、邪魔しないから私も連れてって下さいよ!」
言うと思った。
「私もっと強くなりたいんです!だからお願いします!彼女さんには悪いんですけど、ご一緒しても?」
リリムにお伺いを立てるラビィ。
「か、彼女!?・・・し、しょうがないわね!私も強くなりたいって気持ち分かるし、いいわよ。一緒に行きましょう!」
OKしちゃったよ。
「リリムが良いなら。行こっか。とりあえず猫ちゃん家に置いて来なよ?もぐもぐ」
「あー、カイネさま・・・じゃなかったカイネは一緒に連れて行きます。寂しがり屋なので。」
「にゃーん!」
猫が元気よく鳴く。かわいい
「いやいや、魔物と遭遇したら死んじゃうから駄目だよ。」
「じゃあ・・・」
ラビィが猫をアタシの膝に乗せる。丸くなってこっちを見ている。かわいい
「師匠に預けますね!」
えー、しょうが無いにゃあ。猫、カイネと言ったかな。
「カイネ、よーし、よし、良い子だねえ。」
頭から背中にかけて撫でてあげると目を細めてゴロゴロ言っている。
バッグからケージを取り出す。
なぜこんな物を持っているかと言うと、宝箱からGETしたのだ。ダンジョンの宝箱からは武器や防具以外にも書物や日用雑貨など、出てくるアイテムは多岐に渡る。このケージも使い途は無かったのだが取っておいたのだ。
持ってて良かった魔法の鞄。
猫をケージに入れようとするが扉にしがみついて入ろうとしない。
「カイネ!ハウス!」
「んにゃん!」
なぜ嫌がる。
「あー、カイネちゃん狭いとこ苦手なんですよ。抱っこしてもらえませんか。」
えー落としたら嫌だしなあ。んー。そうだ。
パンケーキに添えてあるバナナを食べさせる。
「にゃん!?にゃあ!」
手が緩んだ。今だ!手早くケージに放り込み扉を閉める。ふぅ。
にゃあにゃあ鳴いている。ごめんね。
ラビィを交えて朝食を取った後攻略へと向かう。
えーと、今日は8760階層か・・・大丈夫かな?
転移。
ーーー side rabbi 2時間前 自室 ーーー
「おい、ラビィ起きろ。」
ふぁぁ。何か声が。何よ朝から。
「仕様のない奴め。」
え、何?体が・・・てか、アソコが熱い。
「あっ、すごい・・・あっ!」
目が覚めると目の前には着物姿の美女の微笑。
「か、カイネ様!?何でここに!?」
八柱を始末しに行ったはずでは?
「ん?ああ、留守だった様でな。足跡だけ残して戻って来たのよ。こっちの方が面白そうだしのう。」
カイネ様の指が・・・。
「や、やめ、やめてください!はぁはぁ、て言うか、猫にならないとあのメイドにバレますよ?」
魔力探知、感が異常に鋭いあのメイドは厄介だ。
「ふふ、私を舐めるなよ。あの程度の小物に気取られるワケなかろう。だが念話は飛ばすなよ。簡単に気付かれるからな。」
そうなの!?前に普通にカイネ様と念話してたけどバレてたのか。警戒レベルを引き上げなくては。
「それより、アルの戦闘が見たい。手配せよ。」
体を撫で回しながら、そんな事を言う。
「し、師匠は毎回違う相手と、あっ、行動していて、わ、私と組むのは2週間程先です。はぁはぁ」
相変わらず凄い。
「待てん。今日だ。服を着ろ。」
また無茶を言う。今日は誰とだったかな。はぁ。
「・・・ラビィ、ヌシ気配が変わったな。何というか柔らかくなったの。」
「そうですね。師匠のおかげかもしれません。あの強さ、あの物腰に毒気も抜かれました。もう惚れてしまいそうですよ。」
バフォメットとの戦いを見た時に心を奪われた。こんな人がこの世にいたのかと。
カイネ様のディスペア流を始めて見た時も衝撃を受けたが・・・練度が違い過ぎる。一体どれ程の修練を積めばあの高みに近付けるのか。
「私よりも上だと、そう言うのだな?」
「一度彼の戦いを見れば分かります。カイネ様には勝てませんよ。大人しく帰った方がいいのでは?」
師匠の強さに乗っかって上から目線で答えてしまう。
「ほう。言うじゃないか。私に扱かれて震えていたウサギが。望む所よ。つまらない戦いはもううんざりだ。早く用意しな。お前の師匠に会いに行くぞ。」
やっぱり、そうなるかあ。何だろう。師匠とカイネ様って雰囲気似てるかも。
ぽわん
カイネ様が猫になり窓から外へ、師匠の所に行ったのだろう。はあ、どうなることやら。
ーーー 8760階層 灼熱の溶岩迷宮 ーーー
「アルル、もう駄目、暑すぎるよ。」
リリムが泣き言を言っている。そりゃ暑いだろ、下にはマグマが流れている。熱耐性が無ければ即死だ。リリムは風系魔法で障壁を張っているが、完全には防ぎ切れていないようだ。
この中で耐性を持っているのはアタシとラビィだけ。ラビィは岩盤を跳ねて進んでいる。猫はディメンションの障壁を張ったケージの中で寝ているようだ。
「リリムって次元魔法使えたよね?障壁で熱遮断したらいいんじゃない?」
「あんた簡単に良うけどあれ超高度術式なのよ?出来るわけないじゃない!」
「師匠、耐性の無い彼女にはこのエリアは厳しいかと。なぜ、連れて来たのですか?」
「リリムあとラビィも、これより、出来ない、無理、厳しい、辛いと言ったネガティブ発言禁止ね。アタシが出来ると言えば出来るから。」
多分。
「そんな事言ったって出来ないものは出来ないんだから!」
もう、ほらあ!すぐ言う!はぁ。
ギンッ
「きゃああああああ!」
リリムが叫び声をあげる。
「し、師匠!これは!?」
ラビィが周囲を牽制し剣を構える。
敵襲かと思ったみたい。
「あ、ネガティブな発言したら殺気を当てるから気を付けてね。」
言って無かったけど。
「もっと早く言いなさいよ!てか死を覚悟したんだけど!」
泣きながら叫んでいる。
「これも修行だから。格上と対峙した時ビビってちゃ話にならないからね。」
「それはそうだけどやり過ぎよ!」
「相手によってレベルは変えてるから。今のは10段階中の1だよ。」
アス6 ユニ子3 エリアボス4
この辺の魔物2くらいだよ
「嘘でしょ・・・あれで1って。」
「師匠!私にもお願いします!とりあえず様子見で2辛くらいかなw」
アタシはカレー屋さんかな?調子に乗っちゃってるよね?行っとくか?4辛くらい行っとくか?行っちゃえ!
ギンッ
「ぶくぶく」
ヤバっ白目剥いて泡吹いてる!
まずいまずい!
癒しの魔力!
「かはっ!い、今のは、暗闇になったと思ったら意識が・・・今のが2。ゴクリ」
シュンとしてる。
「にゃあ!にゃあ!」
カイネが騒ぎ出した。どした?殺気は正確に当ててるから漏れていないはずだが。
「ははっ、だらしないぞって言ってるみたいです。私もまだまだだ。」
飼い主だから心が通じているのかな?反省してるみたいだから良いけど。
その後はリリムにはディメンションの魔力コントロールをラビィにはディスペア流の基礎を教える。基礎を決して疎かにしてはならない。基本の完成度でその後の伸び代は変わる。
カイネは大人しくこちらを見ている。
おっ、敵の気配。
溶岩の中から2メートルはある巨大な蟹が現れた。
「リリム、頼んだよ。」
「う、うん!任せて!」
空中から攻撃を仕掛ける、が、硬い。あの外殻アダマンタイト級(鉄より硬い)の強度ありそう。次元術式しか手はないだろうな。
「ディメンション・ディスコネクト!」
ズパァン!
岩が真っ二つになるも蟹は姿を消す。巨体の割に素早いな。雑な攻撃だと躱されるよ。
しかもここは洞窟内、ほら後ろを取られた。
「くっ!?」
ザンッ!
ディメンションの盾で防ぐ。
蟹の連撃。
「このおおおお!」
だから雑なんだよね。ほら避けられた。
「リリム、目で見てちゃ狙えないから、ディメンションで空間把握して。この程度ならリリムでも全域カバー出来るから(念話)」
「簡単に言ってくれるわね!あれ凄い集中力必要なんだから!・・・でもやるしかない!」
リリムからディメンションの広がりを感じる。
「はあああああああ!」
空間を支配した。これで相手は丸見えだ。
真後ろからの蟹の攻撃。障壁を張らずに避ける。YES!それだ。攻撃がどこから来るか分かっていれば防ぐ必要は無い。
相手の正確な位置が分かれば
ズパアン!
位置を特定して当てる事は用意。
蟹が真っ二つに!泡となって消える蟹。
「アルルやったわよ!」
「パーフェクツ!」
サムズアップ
「ふふ、私だってやれば・・・」
あっ、リリムの鼻から血が。気絶した。
受け止める。
まだまだだけど、瞬間自分の限界超えたね。
これを続けていけば上のステージに上がれるよ。頑張って。
ザパアン ザパアン
次々と溶岩から現れる蟹。
「シューティングスター」
スパパパパパパンッ!
光の輪が広がる。流石・・・だが。
ラビィの脚が血で染まっている。
「ぃったあ。この!」
ラビィはディメンション使えないのか。
小さい蜂に肉を抉り取られた。あの蜂気配が薄いな。それにあの速度、レイピアで突くには、ちと狙いづらいか。
空振りしまくってる。
ちなみにこちらに飛んでくる蜂はDDでサラッと切り捨てる。
「ラビィ、落ち着いて気配を探る事に集中!(念話)」
「ハイ!」
精神を集中。
上から迫る蜂を躱しレイピアで突く。核は逃したが致命傷は与えたようだ。泡となって消える。
「ラビィ、レイピア貸して。」
百聞は一見にしかず。
「は、ハイ!師匠どうぞ!」
レイピアを貰う。良い剣だ、しっくりくる。
「見ててね。」
リリム同様ラビィにもディメンションの隠蔽と壁を施す。
パッシブ状態のディメンションを切る。
久しぶりだなあ、この状態で世界を見るのは。
目を閉じ意識を集中。深く深く沈める。
蜂の羽音、気配がする、13匹。
「シューティングスター」
スッ
神速の突きを放つ。13匹の核を正確に同時に打ち抜く。ラビィにも視認出来る程度にはスピードを抑えたつもりだけど。
パァァァァ
蜂は塵となり消えた。
「こんな感じかな。分かった?」
レイピアを返そうとすると、
「・・・す、すごぃ。すごい。今の動き、絶対忘れてはいけない・・・これがディスペア流の頂点・・・ブツブツ」
ブツブツ言ってるけど大丈夫かな。
リリムを覚醒させ先へと進む。
ラビィの動きに無駄が無くなって来た。アタシの戦いから何か掴んだのかな。
リリムはディメンションを常時展開、空間を把握し、壁で熱、攻撃を遮断、正確な攻撃で次々と敵を倒していく。
Congratulation!
2人とも次のステージの扉を開けたね。もっともっと強くなるよ。
「にゃあ!にゃあ!にゃー!」
カイネがケージの中で落ち着きなく動いている。外に出たいのかな?
途中休憩を挟みつつ、最後のステージへ。
マグマ溜まりから現れたのは5メートルはあろうかと言う怪鳥。
フロアボスは・・・火の鳥。
フェニックス。




