78話 ローズマリー
数日後魔女の集落を出たアタシたちはローズの居城(半壊)へと移動。幸いにも正面部分が吹き飛んだだけで客室や食堂は無事だった。ひとまずここに寝泊まりするしかない。。魔力で補強してるから崩れる事はないだろう。
バフォメットは毎日のようにローズにいびられている。そう言えば椅子にされたり、お尻叩かれたりしていたからな。恨みは深そうだ。
今日のコーデを紹介するよ!
悪魔の角、ゴシックドレス、黒スト、ブーツ、悪魔に尻尾
TPOに合わせて・・・てか、いつものカッコだよ!
「おい山羊、皆にお茶を出さんか。」
椅子に座ったローズがバフォメットに言う。
「ぐっ、し、承知いたしました。」
苦々しい顔をして部屋を出ていった。
ここは食堂だ。今、城には40人程が集まっている。これだけの人数で話し合いをする場所はここしかない。
竜人、魔女、ドワーフ、アビスの街の代表者らに加え、アタシの配下、ローズの配下(バフォメット含む)が集まっている。
錚々たる顔ぶれだ。
ノエルがバフォメットと紅茶を用意している。てか、あの子いつからメイドになったんだ?
「皆わざわざ遠方から来てもらってすまなかったな。だがそれだけの価値がこの場にはあると約束しよう。」
ローズが挨拶をする。
「皆もすでにこの街の惨状は目にしたと思う。なぜこのような事になったかと言うと・・・おい!山羊い!」
紅茶を注ぎ終わり隅に立っていたバフォメットが呼ばれる。
ローズが闇の兵士を一体召喚した。何をするつもりだ?
バフォメットがローズの側へやってくると、
バシーン!
「ぐっ!」
闇の兵士が剣の鞘をバフォメットの背中に叩きつけた。
「此奴のおかげで街はこの様よ。山羊よ、どう責任を取るつもりだ!?ええ!」
バシーン!
「がっ!・・・も、申し訳ない。俺に出来る事があれば何でもする。」
「あん?今何でもするって言ったか?なら死ねよ。」
ガラン
兵士が持っていた剣をバフォメットの前に放り投げた。
「ぐぐっ。」
ローズの奴やり過ぎだ。どれだけ根に持ってたのよ。周りを見て!みんなドン引きだよ。
どうすんのこの空気。
「オラ!早くしろよ!」
ローズが煽る。やれやれだよ。
「ローズ、そこまで。バフォメットも戻っていいから。」
ヒールを掛ける。
「・・・ハッ!」
部屋の隅にもどる。
「アル様、これはケジメです。このままでは私のメンツが・・・」
まだ言うか。
「アタシはこの街の・・・何だっけ?言ってみて。」
「・・・領主です。ですか!」
「アタシの街では暴力は認めない。」
暴力は不幸しか生まないんだよ。
「違います!これは暴力では無く、」
あーもう、イライラするなあ。
「アル。」
隣に座るアスが肩に手を置く。
ふあぁ、きたきた。ポカポカするやつきた!
そうだ、またやらかすところだった。
言ってる側からアタシが暴力振るうとこだったよ。
この暖かい魔力をローズ、ついでにバフォメットに送る。
「奴が死なない・・・と・・・え、これは、」
ローズの体が淡い光に包まれる。あとバフォメットも。
「こ、これがアル様の魔力・・・。暖かい、凍った氷が溶けるかのような、なんと言う慈愛に満ちた力だ!」
バフォメットが何か言ってるぞ。
「はぁ・・・分かりました。アル様に免じて、奴との事は胸にしまっておきましょう。」
ローズの顔が柔らかくなった。おお、やはりあのポカポカは人を落ちつかせる効果があるのか。イメージは癒しの湯に近いから、癒しの魔力って呼ぼうかな。
「ありがとう。分かってくれてうれしいよ。話しを戻そう。この街のこれからについて。」
先ずは仮設住宅を建て家の無い者に入ってもらう。同時進行で瓦礫の撤去。この辺りでかなりの雇用が見込める筈。
その後には大規模住宅街の開発が控えている。コンセプトは『自然と調和する街並み』これで行こうと思う。もちろん異界の書物による受け売りだよ。
既にドワーフと森の魔女たちには宅地開発に関する書物を与えてある。興味津々で奪い合う様に読んでいたから何とかなるっしょ。
飲食店とかも充実させたいし、娯楽施設も必要だよね。他の階層とゲートで繋げばあり得ないくらいの集客と金貨が舞い込むはず。
アタシの役目は総合演出・・・あれやりたい、これ食べたい、それ欲しいって言ってれば良いだけの簡単なお仕事、と危険の排除だ。
「この街を襲った連中がまたいつやってくるか分からない。各自警戒するように。」
ローズが言うとバフォメットが下を向く。居た堪れないなあ。
アタシも結界を張って警戒してるけど転移使われたら分からないんだよね。この街と周辺はディメンションで常に監視してるけど。
「あとは各自、話し合って色々詰めておいてね。」
丸投げ最高。でもみんな楽しそうだ。一から街を作る機会なんてそうそう無いからね。
「ローズ、例の話がしたい。空いてる部屋はあるかな?(念話)」
「応接室がございます。そちらへ。」
関係者にも念話をして来てもらう。
アタシ、ローズ、アス、オフィーリア、フェリド、リリム、ベルゼビュートが部屋にあつまる。
バフォメットはお茶を用意している。言われなくてもやるとか・・・まぁ良いけど。
「あっ、バフォたん、アタシ、コーヒーでお願いね。(念話)」
アタシはコーヒー党なのだ。
「!? たん・・・。承知しました。」
バフォメットが部屋を出て行く。
てか、この部屋に八柱が三人もいるんですけど?
これもう、ちょっとしたワルプルギスだろ。
リリムとベルは呼んで無いのになぜ来た?まぁ良いけど。
「アルル何か話し合いするの?難しい顔してたから、あなたの事が心配で付いて来ちゃったわよ。(念話)」
なるほど。良い子だ。癒しの魔力を送る。
たちまち顔が紅潮し惚けていく。
「アールルちゃん!エグい連中揃えて悪巧みするつもりやろ!ワイも噛ませてもらうで!」
何だこいつ。
「集まってもらって悪いね。少しヤバい話があってね。ローズ。」
ローズに話しを振る。
「はい、実は私を狙った、そこの山羊や龍神殿をこの世界に呼んだのは神界に住む神々なのです。この事は魔王様から聞いたのですが当の本人は幽閉されていて連絡が取れず真意は不明です・・・」
ローズが俯く。魔王か。
救出に向かったモロクとは連絡がつかない。
「なんでぇ?神様は私たちを消そうとするのぉ?」
オフィーリアがローズに尋ねる。
「そ、それは・・・」
困った顔でこちらを見るローズ。
「ごめん、多分アタシのせい。」
てへぺろ
「アルル!神様に狙われてるの?なんで!?」
リリムが立ち上がって心配そうな顔をする。
「ここに集まった面子を見て貰えば分かると思う。ディスペアの旗印になったアタシが神に弓を引くって思われてるっぽい。」
「そうなの?」
なわけ無いでしょ。
「アタシにはそんな気さらさら無いけどね。で、脅威を感じた神が異界の強者を転生させてアタシたちを潰そうとしてるわけ。もちろん、ヤらせるつもりは無いし、降り掛かる火の粉は全力で排除させてもらうよ。ニヤリ」
「アルル様の悪い顔!久々で興奮しますぅ!」
そんな悪い顔してる?
「アル様、敵はどの程度まで侵攻しているのでしょうか?」
フェリドが聞いてくる。
「モロクの話だと八柱とやり合っているらしい。三人はここにいるから後五人。そのうちの三人とは連絡が取れていない。ヤられたと考えるのが打倒だろう。」
「私とぉ、アスのエリアはアルル様の部下が張ってるからぁ、何か動きがあれば直ぐ連絡がくるわぁ。」
低階層は後回しにされてるのかな?まだ動きはない。
「なるほど、では敵の詳細については?」
詳細か。ふむ、全く知らん。
「バフォメットよ!出番だ。何か知っている事があれば洗いざらい吐け!」
ローズに言われ、バフォメットがビクッと震える。
「ハッ!リーダーの男の名前はベリアル。眼帯を付けた男です。私も一度戦った事がありますが、負けました。かなりの実力者だと推察します。」
「ふぅん、アタシとどっちが強いかなあ?」
「申し訳ありません。アル様、私には測りかねます・・・。」
「おいコラ山羊・・・そこは嘘でもアル様って言えやあ!」
嘘はダメでしょ。
「はっ、ハッ!し、失礼しましたあ!アル様です!アル様の方が圧倒的に強いですうう!」
言わされてるし。
「ぶふぅ!w」
ベルが紅茶吹いちゃったよ。
「能力とかは分からないのか?事前にどういう戦闘スタイルなのか知っておくだけでも全然違うからな。」
フェリドさんは真面目タイプか。だからあそこまで強くなれたんだろうな。
「すまない、部下から聞いた話では始まった瞬間、気づいたら床に転がって意識を失っていたらしい。」
ふうん、まあ、大体想像はつくかな。確信は無いから言わないけど。
「クソ!そんな雑魚に私は負けて・・・あんな屈辱を!」
あっ、ローズが切れそう!マズイ!癒しの魔力を送る。鎮まれー鎮まれー
「はうっ!ふあぁ、きもちぃ。」
ローズの殺気が雲散する。アタシの魔力ヤバッ。
「では、他の者について何か情報はないか?」
「強者と呼べるのはシトリー、フルフル、カイネの三人だ。能力は分からないが俺に匹敵する力を秘めているとベリアルは言っていた。」
「て言うかぁ、あなた自身の強さがぁ分からないんだけどぉ?ローズには勝ったのよねぇ?」
オフィーリア!待ってその質問は
「は、はい。能力の相性もあるかと思いますが、割とあっさりと・・・」
最後に毒入れてきた。意趣返しか。
「お前!調子に乗るなあ!あの能力無かったらクソザコのくせに!」
ほら、こうなるから、鎮まれー鎮まれー
ふぉん ふぉん ふぉん 癒しの魔力注入。
「くふぅ、ふあぁ・・・。」
落ち着いたようだ。
アタシいなかったらこの城崩壊してるよ。
あっ!閃いちゃったかも!闘技場だ!血の気の多い連中集めて戦わせれば良いじゃん!客を呼べば金貨も稼げる。なんなら八柱決める大会でも開いちゃう?欠員出たみたいだし。
あっ、これ良いかも!ニヤニヤ
「アルルちゃん、邪悪な笑み浮かべてどないしたんや?何か思いついたんか?ワイにも噛ませてくれや。何やったらプロデュースしたるで!(念話)」
コイツ人の心読めるのか?
でも、任せてみても良いかもね。一応アビス支配してるし、顔広いし。
「ええ、お願いするわ。後でドワーフ紹介するから、その時話ましょう。」
「めっちゃ素直やんけ?どないしたん?今夜部屋来るか?」
行かないよ。
「取り敢えずはこんなところかな。また何かあれば、いや定期的に集まって情報の共有しようか。」
皆んなの賛同を経て部屋を出る。
ん?猫だ。
あれ、あの祭りの時の?何でこんな所に?誰かの飼い猫かな。はぁはぁ
猫が危険を察知して逃げようとするも、
「逃さにゃいよー。」
神速で近づき猫を抱え込む。
「ふあああ!もふもふじゃにゃいか!」
体中を撫で回す。
「かわいいにゃあ!かわいいにゃあ!」
モフり倒す。
「にゃー!フシューフー!」
何か嫌がってるぞ。爪を立てて威嚇してる。
なら!癒しの魔力(濃いめ)!しかも直だ!直は素早いんだぜ!
猫の体が光に包まれる。
「にゃ!?・・・ふにゃあぁ・・・」
秒で大人しくなる。
「あっ!」
えっ、ラビィ?
猫は一瞬の隙をついて腕から飛び降りラビィの元へ。後ろに回ってこっちを見てる。
「その子、ラビィの?」
「え?あっ、そうです!可愛かったので拾って飼ってるんです!」
そうなんだ。
近付くと窓から逃げてしまった。えっ!ここ2階だけど!?窓から外を覗く。木を伝って降りる猫の姿が。器用だね。
「あーあ、嫌われちゃったみたい。」
先日はあんなに尻尾ペロペロして来たのに。
「また、すぐ会えますよ。フフ」




