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絶望の果て  作者: 馨
67/103

67話 お披露目


カポーン


「ここは、王都の大浴場か!?」

YES!

ティガーに抱きつく!


「な、何だいきなり!?」

くっそ!着ぐるみ来てるから感触が分からないぞ!モフモフさせろやあ!


「アルル様ここは一体?」

モロクが聞いてくる。


「ああ、アタシのお風呂場だよ。ここで服脱いで。女の子はあっちね。」

脱衣所が広くなってる。開放感があって素晴らしいね。またドワーフの里へ酒を持って行こう。


「おや、ウサギ?いや旦那か。最近よく会いますなあ。」

いるし。ガルムが奥の部屋から現れる。着ぐるみ着てんのに、よく分かったね。まあ、アタシしかいないか。


「今日は団体客とやってきたよ。この脱衣所改装したんだね。凄くいいよ。」


「そうか〜嬉しいのう!でもよう、あそこの梁見てくれんか。モンドのやつ、殺風景過ぎるってんで彫刻したんじゃが派手過ぎんかの?調和がのう。」

あれは、龍か?凄い掘りだな。


「そうかな、アタシは好きよ。格好良いよ!」


「はー、そうかあ?ワシにはよく分からんがアルルの旦那が気に入ったんならワシも良いんじゃ。モンドにも伝えておくよ。」


「モンドは今日一緒じゃないんだね?」


「ああ、今はアビスの街に行っとるよ。」

そうだ、アタシが潰した街を直しに行ってくれてるんだ。本当にすまない。


「これあげる。モンドによろしく言っておいて。」

この間渡したのとは別のウィスキーを渡す。


「はあー!琥珀色した命の水じゃあ!旦那いつも、すまねえな。」

こっちの台詞だよ。

ニッコニコだ。ちなみにこことドワーフの里はディメンションのドアを通じて繋がっている為いつでも出入りが可能。


「一緒に入って1杯やろうじゃないか!」

ホント酒好きだなあ。


「しょうがないなあ、お酌してあげるけど飲みすぎちゃダメだからね。」

はしゃいで風呂場へ入って行った。


じゃあアタシも、

ウサギの被り物を取る。

開放感。ん?

皆こっち見てるが、どしたん?


「あ、アルル様って男のはずでは?」

ガイウスが聞いて来る。


「男の娘だよ?ダニー悪いけど背中のファスナー下ろしてくれる?」


「だ、ダニー?お、俺か。いいぜ。」

顔赤いよ?


はあ、はあ。ゴクリ。ダニーの荒い息遣いがうなじに当たる。

あれこれまた魅了が出ちゃってる?

うーん、テレポ。


ザパァン!

「あはっ!きもちー!」

体だけテレポして湯船へ。


「こらあ!湯船に飛び込むなんて何考えとるんじゃ!」

ガルムに怒られちゃった。てへぺろ。


「まあまあ、お酌するから許してよう。」

徳利からお猪口に酒を注ぐ。

「まったく、お、とと。ズズ、かあああたまらんのう!」

ふふ、ちょろい。


ガラガラ。皆入って来た。

「なんだこりゃあ!すげえな!」

シーダが感嘆の声をあげる。


「全く静かに入れないのかねえ。」

でも何か嬉しいなあ。


「旦那がそれを言うかい?ガッハッハッ!」

酒飲ませたら秒で上機嫌になったぞ。


皆湯船に使って気持ち良さそうだ。

「本当に凄い建築技術だ。洗練されたデザインも美しい。」

イアンは鍛冶師だっけ?ハーフドワーフだし何か通じる物があるのだろうか。感性とか。


「おう、そこのデケェの分かってるじゃねえか。こっちゃ来い。モノ作りのイロハ教えちゃる。」

ガルムに気に入られたようだ。あとは任せよう。


あっ!はわわわわわ!

虎さんが椅子に座って体あらってるううう!


「ティガーよ。背中を洗ってやろう。」

後ろに周りタオルに・・・いや手に石鹸を取って背中に当てる。


「!? アル・・・ル・・・様何を!」

ゴシゴシ擦る。毛が凄いな?なんつう量だよ。早く乾かしてモフらせろよ!


「ちょっ!強い!毛が抜け・・・!」

何か言ってるが構いやしない。ゴシゴシ、ゴシゴシ


シャワワワワワワワ

背中を洗い流す。惚けた顔のティガー。そんなに気持ち良かったねかあ!そーか、そーか。あらー綺麗になったねー!良かったねー!よーしよしよし!

喉と頭、背中を撫でてやる。早く乾かさねば。


「あ、アルル殿!」

殿?


「せ、拙者ディック・ロスと申す者なりい!デュフフ。」

ああ、あの気持ち悪い男か。汚物を見るような目で睨む。


「はううう!その目え!その目がたまりません!是非、拙者にそのお背中を流すチャンスを頂きたく・・・よろしくオナシャス!」

背中を洗いたいのか。1発殴りたい所だが(特に意味は無いが)ここは下僕との親睦を深めようじゃないか。


「いいけど、変な事したらコロすからね?」

軽く殺気。


「は、はいいい!善処いた、いたしますー!はあ、はあ。」

逆に喜ばせてしまったか。

ディックがタオルに石鹸をつけ背中に当てる。ゴシゴシ。

コイツはきらいだが、これは気持ちいいなあ。はえー。


「あ!手が滑ったあ!(棒)」

アタシの○○○に奴の指が触れる。モミモミ。


「ッッッッッ!!!」

奴の髪を掴み2500階層へテレポ。


「ふぁあああああああ!こここは!?さむっ!さむいいい!」

ビュオオオオオオオオ!


「頭までしっかり浸かってね!ニッコリ」

上空3千メートルから急降下。


「ああああああああぁぁぁ!!」

湖の中心にディックを叩き付けた。


ドパアアアアアアアアン!

大量の水が舞い上がり雨のように降り注ぐ。

ディックが白目を剥いて浮かんでる。


「長湯しちゃダメだよ?」

癒しの湯へ。


「アルル様、ディックは?」

ガイウスが心配そうに聞いてくる。


「水浴びしてるよー。」

はー、やっぱココ最高だわ。

「ピョンピョン兎の丸焼きよ~香ばしい匂いでピョンピョンピョン♪」

つい歌っちゃうよね。


「隣失礼します。」

モロクがやって来た。まさかお前もアタシの・・・。


「アルル様はこの世界で何を成そうとしているのですか?配下として是非聞かせて頂きたい。」

モロクが神妙な顔で聞いてくる。

あっ、そう言うハナシか。他の皆も聞き耳を立てている。


「そうね、まずは最後の層まで行って魔王を倒す。そして元の世界へ・・・」

魔王か・・・。


「ってのが当初の目標だったんだけどねえ。今は分からないや。とりあえず最後の層までは攻略しようと思ってる。皆にはその手助けをして貰いたいんだ。」


「承知致しました。」

納得してくれたかな?


風呂場を出て着替える。

今夜のコーデだよ!


装備

ヘッドドレス黒、ゴシックドレス黒、ガーターストッキング、ブーツ


いつものコーデだよ!


「美しい・・・。」

「なんだよあの格好、女じゃねえか。」

「これは・・・たまらんな。」

「・・・・・・イイ。」

「あの装備品、神話級じゃないか!?」

「ヒィヒィ言わせてやるからな。はあ、はあ。」

「色気凄いんだけどノエルと同い年って嘘よね?」

「あれが俺のご主人様か・・・。」

「アルル、かわいい・・・。」


小声でヒソヒソ言ってるな。まあ、良いや!テレポ。


里へ戻る。

アタシを先頭に付き従う者たち。

村人がザワザワしだしたぞ。


「あれが噂の魔王様か!もっとイカつい奴想像してたが、少女だったんだな。」

「あの魔王様になら私支配されてもいいかも。」

「何だあの格好は!R18閲覧禁止だろ!けしからん!ふう、ふう!」

「・・・堕天使様。」

「はぁぁ、美しい、配下を従える姿格好良すぎるわ。」

「アルル、またお風呂入りに行ったでしょ!私置いてくとか酷くない!?」

「おお、アルル様、素晴らしい!これが夜の世界を統べる女王の姿か。」

何言ってんだアイツらは。


舞台を歩き玉座へ座り足を組む。

配下の者たちは左右へ別れ片膝を付く。

村の人たちも片膝を付き頭を下げる。

リリムもキョロキョロした後同じよう膝を付き頭を下げた。

何してんだアイツは。ウケる。

てか、これアタシが何か言わないとイケない流れじゃない!?

はあ・・・。


「楽にしなさい。命令よ。」

この集落の者たち、配下の者に念話。

ざわめく人々。


「え、今のは、魔王様の声が頭に。」

「これが、天啓か。」

「綺麗な声・・・濡れちゃう。」

「はあはあ、アルル様あ、はあはあ。」

「アルルの奴えっらそうに!」

「アルル女王様の声が、はあはあ!」


「アタシがディスペアを統べる王(になる予定の)、アルル・ディライトよ。特別に〝姫〟と呼ぶことを許可します。」

一瞬の静寂の後歓声に包まれる。


「まずは謝罪させて欲しい。アタシのせいでこの里に迷惑を掛けた。すまない。」

頭を下げる。

静寂。


「モロク。来なさい。」

モロクがアタシの前へ出る。


「コイツが今回の首謀者のモロクよ。今はアタシの配下になったけど、ケジメは付けないとね。」


「モロク。」

名を呼び促す。


「心よりの謝罪を・・・申し訳ない。」

モロクが頭を下げる。


「ジャック、ナイフを。」

ナイフを受け取る。

ざわめきが大きくなる。


モロクの右腕を上げナイフで切断する。

悲鳴があがる。


「部下の失態は上司の責任だとアタシは考える。だから・・・。」

左手にナイフを持ち右腕を切断。


舞台に鮮血が舞い、腕が2本転がる。


「こ、これで謝罪を受け入れて欲しい。ほ、本当にすまなかった。」

痛みをこらえ(演技)頭を下げる。


「姫様!なんて事を!早く回復魔術を!」

村人は大慌てで駆け寄ってきた。


「姫様こそ、真の王だ!」

「アルル慈悲王!」

「こんな事する王族見たことないぞ!」

「すごい、そこらの王とは器が違いすぎる。」

「何よあれ!最低の演出だわ。」

「アルル女王様!私の腕もお願いします!」


ロッジにて

「ありゃ変なくっつき方してるよ。」

スパァン。上の方で切断し、再生。

「よし!」


「よし!じゃないわよ!なにしてんのよあんた!」


「リリムか。何ってお披露目だけど?」

上手くいったよね?


「子供が泣き出したり気絶者多数の最低のお披露目だわ!」

詰め寄ってくる。


瞬間リリムの喉元にナイフが当てられる。

「そこまでだお嬢さん。それ以上、姫に近づくのは見逃せないなあ。」

ジャックの奴何してんだ。


「リリムを放せ。」

メイヘムの槍がジャックの脇腹に。


「面白れえ。リベンジマッチやるかあ!?」

ジャックの魔力が膨らむ。


「ジャック止めて。こんなとこで興奮しないで。」


「ここじゃヤラねえよ。外行くぞ。付いて来い。」

何だコイツ。


ドクン!

「ガッ!?何・・・だこれ・・・。」

ジャックの顔から血の気が無くなり真っ青になる。

殺気を当ててやった。アタシの殺気はこの階層の魔物すら秒でショック死させる。


「俺は止めろと言ったんだが、聞こえなかったか?」

ジャックが両手を交差させ子供のように怯えている。


「あ、ああ、」

ドッ、ついに泡を吹いて倒れてしまった。


「あ、アルル。」


「ごめん。リリム。まだアタシに反抗的でね。早く調教しなくちゃ。」


「女王様!私にも調きょ・・・ではなく!私も女王様の配下の枡席に加えていただけないでしょうか!?」

メイヘムまじかよ。


「んー、そうね。考えておくわ。ああ、それとジャックとダニー倒したからご褒美上げなきゃね。」


「そ、それでしたら!女王様の、お、お召し物をいただけないでしょうか?」

えっ?何て?


「嫌よ、気持ち悪い。」

頭おかしいわよ?


「はうっ!」

感じてるし。


「アルル、私、褒美は要らないから、アルルの傍に居させて。」

傍に?配下になりたいのかな?


「モロクの下に付くの?オススメしないけど。」

序列何位よ。


「違うわよ!友達としてよ!」

トモダチ、か。


「いいよ。すぐには出発しないから、ゆっくり過ごしなよ。」


「うん、ありがとう。」

元気が無いな。


「・・・さっき、アルル凄く怖い顔してた。でも今はいつもの優しい顔。・・・どっちが本当のアルルなの?」

・・・・・・。


「あっ、私何言ってんだろ、ごめん、変な事言って。また明日ね。おやすみなさい。」

・・・・・・。



ベッドに入ると窓から差し込む星の光。

何だろう。胸がザワつく。

アタシが前から感じてた事をリリムに言われたからか。

暴走すると言葉遣いや顔つきが変わる。


もう1人のアタシか・・・。


いくら考えても答えは出ない。

いつか大切な人を傷つけるんじゃないか・・・と言う漠然とした不安に心が蝕まれて行く。


今は眠ろう。


波のように引いては押し寄せる絶望を胸に抱いて。


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