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絶望の果て  作者: 馨
62/103

62話 忍び寄る影


ディスペアダンジョンとある階層

湖畔の屋敷。


豪華な調度品の並ぶ室内。

中央には大きなテーブル。

備え付けられた椅子に3人の男と女が1人座っている。


葉巻を吸っている男が煙を吐く。

「モロク、あの娘の様子はどうだ?まだ、生きているのか?」

左目に眼帯を付けたスーツ姿の男が尋ねる。

年齢は40代くらいか。アッシュグレーの髪に髭を生やしている。


「はっ!生かしております。まだ餌としての使い道がありますので。」

男の質問に褐色の肌、モジャモジャの髭を生やした坊主頭の男モロクが答える。30代半ばくらいだろうか。


「でもさー。誰も気付かないとかヤバくなーい?八柱だっけ?何してんの?」

ブロンドの髪、赤い目をした少女が問いかける。


「部下や護衛を付けず1人で気ままにダンジョン内を移動していたようだからな。側近でも気付かないんじゃないか?」

モロクが答える。


「ラスボスのくせに自由過ぎっしょ。てか、例のイレギュラーは?始末できたの?」

少女が問いかける。


「いや仕留め損なったようだ。召喚した異界の龍神に殺されたが、再生の術式が解除されていなかった為復活したらしい。」

モロクがやれやれと言った顔で答える。


「はぁ?マジか?使えねえなあ。奴らオークより馬鹿なんじゃねえの?」

山羊の頭をした悪魔が呆れた声をだす。

白い癖毛が長く伸び目元は見えない。


「その龍神にもう1回殺してもらえば?」

少女が机に肘を付き両手に顔を載せ怠そうに言う。


「ダメージを回復してもらい懐柔されたようだ。」


「手懐けられちゃったの?ウケるーw」


「ディスペアのゴミ1人殺れねえのかよ。クソだな。」


「バフォメットよ、相手は龍神と互角の戦いをした実力者だ。舐めてかかると死ぬぞ?」

モロクは龍神の事を知っているようだ。


「てめえ誰にそんな口聞いてんだ?ゴミ野郎より先に死にてえのか?」


「やるか?相手になるぞ。」


「ぶっ殺してやるよ!」

モロクとバフォメットの魔力が交差し部屋が揺れる。


ドンっ!!

机を拳で叩き、眼帯の男が2人を睨む。


「お嬢さん方、悪いがイチャつくのは俺の目の届かない所でやってくれないか?」


「あははっ、怒られてやんの!ウケるw」


「シトリーてめえ・・・。」

バフォメットが女を睨みつける。


「し、失礼いたしました。」

頭を下げるモロク。


「ケッ!分かったよ。それよりゴミ野郎はどうすんだ?俺が出張って片付けてやってもいいぞ?」


「すでに配下の者を魔女の森へ向かわせている。私もこの後向かうつもりだ。」

モロクが答える。


「・・・しくじるんじゃねえぞ。」

長く伸びた前髪の奥の目が光る。


「誰に言っている?魔王を捕縛したのは私だぞ?」


「お前の率いる部隊なら問題ないだろう。戦果を期待しているぞ、モロク。」

葉巻を吸う。


「ご期待に添えるよう尽力いたします。ベリアル様。」


「さて、カイネとフルフルは八柱と交戦中だ。お前たちも行動を起こせ。」


「ああ、言われなくても狩り尽くしてやる。」


「可愛い子いるかなあ。壊れるまで遊んであげる。」

妖艶な笑みを浮かべるシトリー。



「ディスペアは真の絶望を知るだろう。」

ベリアルの口角が上がる。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



宿屋からテレポでキャンプ地へ。


「おはよう。」


「おはよ・・・アルルその格好は・・・。」


今日のコーデを紹介するよ!


装備

兎の着ぐるみ 白


これで魅了の効果を無効化するよ!


「そんなの被って前見えるの?」


「大丈夫。心配しないで!・・・ピョン!」

アタシのディメンションは全てを看破するから。


「その語尾やめなさい。いいわね?」


「ピョン!」

はい!


「師匠なぜ。」

しょんぼりしてるし。


「3日くらいあれば里に着くと思うわ。飛ばすわよ。付いてこれるかな?ふふん」


「見失わないようにリリムちゃんに頑張って付いて行くピョン!」


「キャラ変わってるわよ。その語尾・・・もういいわ。」


それから数日間飛び続けるとリリムの生まれ育った集落が近づいてきた。


ん?何か違和感。

あら、人いなくね?

家畜の気配はするけど。村の人たちはどこいった?


「リリム村の人たちって出かけてるの?」


「狩りに行ったりして出てるのは何人かいるかも。どうかしたの?」


「・・・。」

ディメンションの範囲拡大。

「数十キロ離れた遺跡?廃墟に数十人集まってる。って言うかこれ捕まってるわ。」


「えっ?何言ってるの?まだ里まで100キロ以上あるのよ!?馬鹿な事言わないで。」


「アタシのディメンションに看破出来ぬ物無し・・・。崩れた石像が無数にある遺跡の中央広場?に集められているみたい」


「それビリジア遺跡かも!ホントにみんな捕まってるの!?」


「ああ、暴行はされていないようだ。縛られたりもしていない。酷く怯えているな。ああ、へえ、そう言う事・・・。」


「ちょ、何1人で納得してんのよ!教えなさいよ!」


「相当な手練が揃ってる。メイヘムさんでも厳しい相手が10人。」


「俺も魔力を探知した。正直これは分が悪いな。師匠どうします?」

師匠言うな。


「うーん、散らして個別撃破かな。」


「可能でしょうか?」


「アタシが初っぱな、ソッコーバチーンってカマすから後はアドリブでいい感じでやっちゃって!」


「ちょっと、何いってるか分からないわ。」

そう?


「まあぶっちゃけアタシ1人でも余裕だけど。」


「あんた本当に化け物よね。」

言い方!


「メイヘムはリリムとチーム組んで、前衛と後衛。いつものフォーメーションでしょ?」


「それならいけるかも。」

リリムが神妙な顔をしながら答える。


「あ、メイヘムは負けたらお仕置するから覚悟しなさい。」

キツいのね。ふふふ。


「お、お仕置。ですか。ゴクリ」

あっ、これ逆効果だ。


「やっぱり、買ったらご褒美に変更よ。」


「は、はい師匠!全力を尽くします!」

いい笑顔だ。


「ちょっと!メイヘムばっかりズルいわ!私にもちょうだい!」

欲しがり屋さんだなあ。


「いいよ。でもこれだけは約束して。絶対に死んじゃダメ!何かあればすぐ駆けつけるから。」

無茶しないでね。


2人が頷く。


「じゃあ、行くよ!・・・・・・あっ!!?もう、嘘だろ・・・。」

マジかよ・・・。


「師匠!?」


「まさか村の人たちに何か!?」



「ピョン言うの忘れてたピョン!」

ふう、あぶない、あぶない。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」

この後めちゃくちゃ殴られた。



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