59話 エロサキュバスは冒険者の夢を見るか?
ベルの屋敷は庭こそ壊滅的だが外観に異常がない所を見ると使用人がガードしたのかな。
かなりの使い手を揃えていたみたいだし。
「アルル様!ご無事でしたか!」
執事のホルンさんだ。
「ええ、ホルンさんも無事で何よりだわ。」
客室に通される。
オフィーリア、フェリド、ベル、アタシが席に着くと紅茶が運ばれてくる。
あれアタシだけコーヒー?
ホルンさんのにこやかな笑顔。
アタシがコーヒー党なの覚えててくれたんだあ!さすがだよお。
ホルンさんが、フェリドのカップに紅茶を注ぐ。
えっまって!何この2人の絵面!尊い・・・。
これもう絵画じゃん!未来まで残さないとダメなやつじゃん!
ここは極楽浄土かな?
はぁはぁ。
「アルル様ぁ?どうかなさいましたぁ?」
!いやだ、アタシ今どこか別の世界へ・・・。
「何でもないよ?」
平静を装う。
ベルが立ち上がり、
「まずは謝罪を。今回の件は全面的にワイのミスが招いた結果や!本当にすまんかった!」
頭を下げるベル。
「ドラゴンが街に危害を与えるって話しだったよね。どこから情報拾ってたの?」
ガセ情報流したやつを知りたい。
「それが分からんねん・・・。冒険者や王都の兵士、インフェルノの連中まで噂しとってな、出処を特定出来なかったんや。」
巧妙に隠されたのか。
「一応、様子を見るため山脈に調査隊送ったんやが全滅してもうて・・・。こら並の兵隊やあかん!せや!ちょうど街に滞在してる破壊神がおるやんけ!て思うてなアルルちゃんに調査依頼しに行ったわけや。」
人の事を破壊神とか随分じゃないか、まあ街の様子見る限り否定は出来ないが、べ、別に壊そうと思って壊した訳じゃないんだからね!
「あれ、ドラゴンは冒険者に討伐されたとかって聞いたけど、あれは?」
酒場でそんな話ししてたよ。
「あー、パーティー全滅なんて言うたらパニックになるやろ?だから討伐したっちゃう噂流したんや。」
なるほど。
「で実際どうだったの?街へ攻め込む計画とかあったの?」
フェリドに聞いてみる。
「いえ、私たちは数ヶ月前この地に転生したばかりで計画も何も。今回の件は襲撃されたので抵抗したに過ぎません。」
んー、目の動きを見る限り嘘は言って無いようだ。
しかし、襲撃者か。シュン
「アルルちゃん、ちょっとええかな?その貴族の方はどちらさんや?」
「アタシの彼氏だけど?」
今はまだパーティーメンバーだけどゆくゆくは、そうなる訳だしね。テレテレ
ん?あれ、3人ともポカンとしてる。盛りすぎたか?
「このガキ!ワイと言う彼氏がいながら浮気したんか!ええ度胸やのう!今晩誰がご主人様かたっぷりわからせて・・・ギャア!」
手に氷柱が刺さってますけど・・・。
「アルル様ぁ、冗談は時と場所を考えて言いましょうねぇ。」
怖っわ!笑ってるのに目は暗く澱んでいる。
あわわわ。
「嘘をつきました。」
くっ、まだ早かったか。
「私はあの山に住む竜を統べる者。フェリド・ハウンドと言う者です。以後お見知り置きを。」
あーあ、言っちゃった。
おいおい、そうなるのか。
オフィーリアの氷の刃がフェリドの喉元に触れ血が垂れる。
「アルル様、今この男の申した言葉は真実でございますか?」
部屋の温度がどんどん下がる。
「ああ、だが、もう敵対してないから大丈夫だ。」
「し、しかし、この男がアルル様を傷付けたのは事実。」
手に力が入る。
コーヒーを飲む。ふぅ。おいし。けどちょっとぬるい。
「オフィーリア、アタシは問題ないって言ったよ?」
彼女の目を見据える。
「・・・。失礼しました。」
刃が消滅する。
「はあ、なんや、驚き過ぎて訳分からなくなってもうた。」
んー。街を潰したがってる奴がいたって事か?だがフェリドの力を見誤ったな、アタシが居なかったら街どころか国、いや階層が吹き飛んでたぞ。
あ、でもアタシ以外に最下層まで行ける奴いないから問題なかった?
結局アタシのせいじゃん!シュン
よし、話題を変えよ。
「あー、そう言えば大会の時学院生操ってたのフェリドだよねえ?何してたの?」
「はい、外の世界を知るため利用させて頂きました。私たちは転生して2ヶ月程しか経っていませんので。」
そこだよ!タイミング良すぎないか?アタシがこの階層に来る少し前にフェリドはあの山脈へ転移したって事になるぞ。魔王級?の強者と私をぶつける算段だった?
狙いはアタシか。判断するには情報が少な過ぎる・・・。
しかし外の世界・・・ねえ。
「フェリドは何処から来たの?」
「竜人の国からです。ある日突然この世界に転移していました。」
なんですと!そんな国聞いたこともない!
「そんな国どこにあんねん。皆あんたみたいに強いんか。」
それなー。更なる強者に合いに行くってのも有りだな。
「異界にある私が収める国だ。私は神と崇められる立場だった。負けたのはアルル様が初めてだ。」
「いや、だから負けたのはアタシだから。」
「・・・ふ、私だって馬鹿じゃない。あなたが街を守りながら戦って居たのは知っています。」
・・・・・・。
「街に被害が及ばないよう斜線を限定された中で戦っておられた。」
恥ずかしから言わないで。
「仕掛けたのアタシだし。戦場を負けた言い訳には使いたくない。フェリドの事舐めてたのが敗因よ。アタシは負けるべくして負けたの!」
「アルル様がそう仰るなら、私はもう何も言いません。」
トクン。
オフィーリアの視線が怖い。なぜ分かった。
「アルル様ぁ、お話終わりましたよねぇ?こいつ倒して次の層へ進みましょうよぉ。」
ベルが震えてるぞ。ふふ。
「怖い事言いなや!このお姉ちゃん何やねん。ワイに恨みでもあるんか。」
アタシ含め恨みしかないよ?
「ワイを倒さんかて次の層行けるから。」
パチン
ベルが指を鳴らすと石碑が現れた。
「なっ?これでココに来ればいつでも転移出来るやろ。夜中でもええんやで。せや!2階の寝室に設置しておくわ!冒険前に楽しもうや。でも、疲れてまうか。やっぱ冒険後やな。」
何言ってんだコイツ。一度行ったとこなら石碑なんて使わないっての。
「・・・アルル様コイツをブチコロす許可を。」
うん、いいよ。
「ちょっ!止めえや!かわいい冗談やんけ!」
マジなのか冗談なのか分からないんだよ。
「あっ、報酬ちょーだい。」
何かくれるんだよね?
「ガラクタしか無いで。みんなで行くか。」
4人で宝物庫に転移する。
財宝ばっかだな。当たり前だが。
ドレスはどこかな。おっ、この部屋か。
ふーむ。豪華なのばっかりだなあ。
アタシの趣味じゃないけど、大人しめの何着か貰っておくか。
おや?なんか雰囲気のある剣が台座に刺さってる。
「これ何だろ?」
手に持って抜こうとするも抜けない。
へえ?アタシに挑戦しよっての?やってやろうじゃない。
両手でしっかり持ち力を込める。
ガタガタガタッ
部屋が震えるが剣は全く抜ける気配がない。
オーケー、オーケー。マジで行くわ。
「ディメンション・マルチ・ウォール」
部屋に最強の防御結界を張る。これで全力が出せる。
魔力全開!魔装密度極限!
おや!魔力の上限が伸びてる?
やはり強者との戦いは俺を成長させるのか!
ははっ!いいぞ!やる気が湧いてきたぜ!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
結界も長くは持たないな。
いくぜ!
剣を握り全力で引き抜く!
ドゴオオオオオ!!
抜けた。
ふう。
ドヤッ!
胸を張る。
「ぬああああああああああ!ぬしゃ、何してくれとんじゃあああ!勇者しか抜けない剣を力任せに抜くとか頭湧いとるじゃろ!」
声が聞こえる。キョロキョロ
「ここじゃ、ワシが喋っとるんじゃ!」
はえー。剣が喋った!
「ぬしゃ何モンじゃ?」
「アルルだよ。」
「勇者でもない、こんな小娘に抜かれたんか!どうなっとるんじゃ。有り得んぞ!」
何か騒いでる。
ひのきの棒を出してと。
「何しとるんじゃ?」
「強度確認。」
水平にしたひのきの棒に上から喋る剣を叩き付け・・・。
「ちょっ!待つんじゃあああ!」
ピタッ
寸前で止める。
「どしたん?」
「それ神樹じゃあ!」
神樹?
「なあに?神樹って?」
「神域に成っている巨木じゃあ!それを切ると本体の巨木が朽ち果て、脅威を排除するため神の兵団が現れるんじゃ!絶対に傷つけてはならん!」
へえ、だからカチカチなんだ。
「ホントかなあ。折られたくないから嘘いってそう。ニヤニヤ」
「舐めるな小娘!神樹ごとき一刀両断じゃああああ!」
「じゃあ試してみよう!」
ひのきの棒に向け全力で・・・
「やめええええええ!何でそんなイジワルするんじゃああああ!誰も得しないから止めとくれええええ!うわあああああん!」
剣が泣いてる・・・。
可哀想だから止めとこ。
棒と喋る剣をポーチに入れる。
結界を解き外へ出る。
「オフィーリア何も持ってないけど、欲しいの無かった?」
「私ぃ、アルル様以外興味無いのでぇ。」
嬉しさ半分、怖さ半分。
フェリドも手ぶらだ。財宝なんて興味ないか。
この後、街の復興プランや、ベルの屋敷を拠点に!等色々話し合った。ベルには後でドワーフを紹介してやろう。
この階層でやるべき事はあらかたやったかな。
この街にこんな長期滞在するとはね。
何があるか分からないよ人生は。
次の階層はどんな世界でどんなヤバい奴らが居るのかな!
新たな地で新たな仲間と冒険だ!
楽しみで仕方ない!
だってアタシたちの旅はまだ始まったばかりなんだから!!
「アルル様ぁ、何1人でブツブツ言ってるんですかあ?早く来てぇ・・・。」
ゴクリ
物語は
次の階層へ
つづく!




