58話 戦いの爪痕
まずはここの始末を付けないとな。
見上げると曇天の空。
舞い上がった大量の土砂が太陽光を遮っている。
「風魔法使える?」
2人に聞いてみる。
「いえ、氷魔法しか無理ですぅ。」
「暴風を巻き起こすのは得意ですが繊細な操作は。」
フェリドはアタシの考えに気づいたみたいにだけど、厳しいか。
くっ、こんな時にアスが居てくれれば!
奴は風魔法のスペシャリストだ。
アタシの髪を毎晩乾かしてるうちに緻密な制御をマスターしたからな。
迎えに行ってもいいんだが、あんな別れ方したしなあ。正直気まずい。
「あっ!アスならぁ風魔法使えますよねぇ!今、念話して、わぷぅ!」
口をふさぐ。
オフィーリアそれ以上はいけない。
「あ、アスは今実家に帰省中だから!家族と団欒中だから!絶対ダメえええ!」
アタシの精神が持たないから。
「そうですかぁ、よく分かりませんが困りましたねぇ。」
他に使い手は、
「リリム!リリムいる!?」
魔法少女の名を冠するあの少女なら使えるのでは?
「うるっさいわねえ!今あんたと話してる場合じゃないのよ!」
ん、取り込み中か。ふむ。
リリムの元にテレポ。
空から噴石の雨あられ。
なるほど。忙しそうだ。
「アルル!やっと来たのね!これアンタの仕業でしょ!?」
そだよ。
「見てないで何とかしなさいよ!」
そうね。
「多重障壁展開。」
ズアアアアアアアアアアア!
街の上空に障壁を張る。
「はあ!?う、嘘でしょ、この街全体を障壁で覆ったの!?」
そだよ。
「相変わらず馬鹿げた魔力ね・・・。」
てへへ。
「あ、そだ。リリム風魔法得意だよね?」
「はあ?別に得意じゃないけど使えるわよ。」
ナイス!
「あの噴煙なんとかなんないかな?パーっと退かしちゃってよ。」
「はっ?」
「余裕でしょ?」
魔法少女なんだし。
「出来るわけねえだろボケえええ!体積考えたらわかるでしょ!あの規模を吹き飛ばすなんて集団魔法でも不可能よ!馬鹿!」
はえー。
「ちょっと風で軽く渦作ってみ。」
「えっ、何を。」
「いいから、いいから。」
「もう、何なの。ウィンド・ボルテクス!」
魔力をリリムに通す。
ボアアアアアアアアアアア!
ヤッバ、やり過ぎた。
巨大な竜巻になっちゃった。
ディスコネクトでかき消す。
「えっ!何これ、あんた何したのよ!」
「魔力貸したのリリムに。どうよ?これなら。」
「この馬鹿みたいな魔力量なら・・・試してみる価値は、あるかも。」
YES!
でも馬鹿って言い過ぎー。
「リリムの背中に手を当て魔力を流す。」
「うわっすご。」
でしょ。
リリムが風魔法を展開。雲がゆっくりと渦を巻き始める。
「凄い、凄い!アルル、大規模気象魔法よ、これ!いえ、こんなの史上初かも!凄い!凄いわ!」
いい笑顔だ。
「アルル、あの大量の土砂はどうするの?」
もとに戻すしかないかな。
既にオフィーリアとフェリドは別の場所にテレポしている。
「元の場所に戻すよ。座標イメージ送るからその変に落としちゃって。」
「へ?何言って、あっ、すご。」
でしょ。
渦の中心が大穴の真上に移動。渦の中心から噴石や土砂が落ちてきた。
「本当に夢みたい・・・私があれを操作してるのよね?」
そうさ。
「す、凄い!これがアルルの見てる世界なんだ。」
リリムの才能も勿論有るんだろうけど、魔力量とかも重要なんだな。
「・・・あんたの魔力って暖かいのね。胸の奥がポカポカして、何だかとても心地いいわ。」
よく言われる。やっぱ癒しの湯の効果なのかな。いやイメージか。アタシの原点だしね。
「そか、もっと送ろうか?」
「いいわ、これ上は。おかしくなっちゃうかも・・・。」
顔真っ赤。
噴煙が収まり青空が見えてきた。
とりあえずは喫緊の問題は解決出来たかな。
「リリムお疲れ様。助かった。ありがとね!」
「あんたにそんな事言われると気持ち悪いわね。・・・魔力使って無いのに酷く疲れたわ。」
ゆっくり休んでね。
「メイヘムさん、後よろしくね。」
近くに待機してるメイヘムさんに念話。
「ふ、気付いていたのか。ああ、任せろ。」
さて、お次は。
街を眺める。
ほぼ壊滅です。本当にありがとうございました!
やれやれだせ。テレポ。
「まだ入ってんのかよ。のぼせるぜ。」
癒しの湯にやって来た。
「およ?もう用はすんだのかえ?」
ガルムが徳利から酒を注ぎつつ聞いてくる。
大分酔ってるな。
「ああ、とりあえずは。まあ、これから色々頼むかも知れないから挨拶にね。」
ドワーフは建築、製造のプロだ。
「マジか!最近やる事無くて暇しとたでな。構わんよ。」
モンドが日本酒(異世界の酒、宝箱より入手)を飲みながら了承してくれた。
「ありがと。話しまとまったら村長のトコ行くからよろしく言っといて。んしょ、これ置いてくけど、お風呂出てから飲みなね。」
ウィスキー(異世界の酒、宝箱箱より)を置いておく。
「うひょー!これはなんと言う酒だ?見たことないのう?」
「ここは極楽浄土かね?」
わっははははははは!
ん、楽しそうで何より。テレポ。
オフィーリア、フェリドと合流しテレポ。
「よう、屋敷は無事か?」
ベルゼビュートの元へやってきた。
瓦礫の撤去をしているようだ。
「アルルちゃん、よう帰って来たなあ!」
抱きつかれる。
「心配しとったんやで!怪我ないか?」
背中やお尻を撫で回される。
いや、だからそう言う事してると、
オフィーリアの神速の動き
バキッバキッ
ほら折られた。
「ちょ!腕折れてるやん!ホンマかなわんな。この姉さん苦手やわ。」
オフィーリアのゴミを見るような冷たい目付きがベルに突き刺さる。
「ただの挨拶やんけ!それより要救助者居ないか探ってくれや。頼むわ。」
おk。
んー、けが人はいるけど大丈夫そうかな。
ロキ君も街を守ってくれてたようだ。
街の人たちに感謝されてるぞ。
サーシャちゃん家は無事だ。でもお店の周囲に大岩を砕いた後が。
あー、ヨハン君が守ってくれてたんだな。出来る男は違うねえ。
「とりあえず大丈夫そうだよ。」
「そうか!良かった!はあー。よかった。」
ベルの奴へたり込んじゃった。あんま余裕無かったんだな。
魔力もかなり減っている。障壁張ってくれてたのは知ってるよ。ありがとな。
「ベル、これ飲んどけ。」
小瓶を放り投げる。エリクサーだ。
「ええんか?これ貴重なやつやん。」
そうなの?
「いいから、いいから。これからベルん家行って話し合いするからね。」
エリクサーを飲むベル。魔力が見る見るうちに回復していく。
「・・・おおきに。」
回復したはずだが、元気がないな。
まあ、いい話し合いだ。
テレポ!




