55話 燃えるアビスの空の下で
side ベルゼビュート
ズウウウウウウウン
ガタガタガタガタガタッ
「何や、この振動。」
「ベルゼビュート様!北の地に炎の柱が!」
執事のホルンが血相変えてやって来た。
外に出る。
ズウウウウウウン
さっきから止まない地鳴りと振動。
北の山脈から立ち上がる炎の柱。
アルルの奴何しとんねん!
あのサキュバス、この世界滅ぼす気か!?
いや、依頼したのはワイやけど。
眠っていた虎の尾を踏んでしもたんか!?
とにかく尋常ではない事態が起こっとる!
「ホルン!ワイは現地へ行く。状況を飛ばすから、お前は王宮へ行き宰相と戦士長に説明して警戒レベルを・・・」
ドガンッ!
数メートルはあろうかと言う大岩が庭に降ってきた。
こら言うまでもないな。
「前言撤回、街に避難指示や!全ての兵隊使こおて住民を避難させるんや!」
これじゃ勇者やのうて破壊神やんけ!
北の山脈麓まで転移する。
「あかん、何やこれ。」
上空から見るとその恐ろしさがわかる。
山脈が消え直径数百キロは有ろうかと言う大穴が空いていたのだ。
穴の周囲はドロドロに溶け赤く燃えている。
「・・・地獄か、ここは。」
あっ!嘘やろ!?
「!これは・・・ワイを縛ってた結界消えてるやんけ!アルルが破ったんか?」
本来なら歓喜に打ち震えるとこなんやけどなあ。マジでこんな時に破んなや!
近くまで見に行くしかないやんけ!
ズウウウウウウン、ズウウウウウウン、ズウウウウウウン
大地と大気の振動が収まらない。
世界が持たんぞ!
大分近づいて来たが時折穴の中から飛んでくる衝撃波がヤバすぎて迂闊に近ずけへん。
大穴の底に光の点滅。間違いない、ボスとヤりおうてるんや!
なんちゅう魔力や魔王様超えとるやろ!
クッソ!ワイが行ってもクソの役にも立たんわ!結界や!衝撃を抑える緩衝材的な結界を張るんや!それくらいしか出来んのが情けないが今はそれしかない!
全力で障壁を張り魔力を注ぎ込む!
アルル気張れや!
帰って来たらご褒美あげるからな!
アルルの好きなでっかいウィンナー口に突っ込んだるわ!
絶対負けたらアカンで!
side 転生者
「メイヘム!この揺れは!?」
大会が終わり宿屋で帰り支度をしていた私を衝撃波が襲う!
「空震か? !! リリム!あれは、山が火を!」
山脈から炎の柱が吹き荒れる。あれは、魔法か?あんな規模の魔法、集団でも不可能だぞ。
「何よあれ!」
この宿屋くらいある岩が上空から降って来る
ディメンション・ディスコネクト!
ズパアアン!
岩を粉砕してダメージを減らす。
「次々降ってくる。キリが無いな。転移するか?」
大岩を砕きながらリリムに聞いてみる。
「ダメよ!まだ住民が残ってるわ。しばらく食い止めるわよ!」
子供に当たりそうな噴石をディメンションの盾で防ぐ。
「ふ、了解だ!」
風魔法を放ちながら答える。
「アルルの奴は何やってるの・・・。絶対アイツの仕業よ!もう!早く何とかして!」
私は迫り来る噴石に向かい絶叫する。
side オフィーリア
北の山脈に炎の柱が!アルル様!
すぐに駆けつけたいのだが、
「お姉ちゃん、大丈夫かなあ。」
「すごい魔力ぼくこわい・・・。」
子狼たちが震えている。
ズウウウウウウン
大気が震え窓ガラスが割れる。
これは・・・。
「ミコ、ニケ!城行くよ!」
2人を連れ氷の城に転移。配下に子狼を預け私は北の山脈へ。
私が見たのは想像を絶する光景。
この巨大な穴の底でアルル様は戦われているのだろう。
時折穴の底から吹き荒れる魔力の奔流はこの階層の魔物程度なら一瞬で消し飛ばす絶望的な破壊力。
ディスペアを統べる8柱の1人である私が動けない。
この戦いに介入出来るのは、魔王様、それに側近のヨルムンガンドとメフィストくらいか。
「・・・アルル様。」
私が行っても何も出来ない。寧ろ邪魔になる。
街との間に障壁を張る。
アルル様がこの街を守ろうとしているなら私も私の出来ることをするまで!
「アルル様!無事に帰って来て!」
全力で魔力障壁を展開する。
大気の震えは収まる気配がない。
いつまでこの地獄が続くのか。
赤く染まる空を眺め、そんな事を思うのだった。




