34話 ロキ
日が昇るとミコとニケと街を散策する。
子供は朝から元気だ。
今日のコーデだよ!
装備 麦わら帽子、ワンピース白、スニーカー
THE⭐︎夏!的シンプルコーデだよ!
商店街でりんごとサンドイッチ、ミルクを買い。河川敷で朝食を取る。
近くの遺跡でかくれんぼした後
川で釣りをし、焼いて食べる。
ミケとニケは道具を使わずとっている。
街へ戻るとミケとニケを宿屋に送りオフィーリアにお昼寝を頼み、1人ふらふらと街の散策を再開する。
ん?あれは道場かな?
道場を覗くとアタシと同じくらいの年の少年が剣を振っている。頭からは2本の小ぶりなツノが生えている。
何度も剣を振る少年を見ていると、えも言われぬ気持ちになってくる。
この切ない感じは何だろう?もう忘れてしまった過去の記憶に胸を締め付けられる。
木刀を降る度ビュッビュッと風が舞い上がる。
剣速はまあまあだけど。魔力の練度が酷すぎる。この辺だと下の中ってとこかしら。
不意に突風が吹き麦わら帽子が道場の方に飛ばされてしまった。
キョロキョロ辺りを伺い中へ入る。
「探してるのはこれ?」
さっきの男の子がハットを拾ってくれたみたい。
「うん。」
「はい、お姉さん。」
「ありがとう。一人で練習?」
「ああ、大会が近いからな。」
「大会?」
何かイベントでもあるの?
「お姉さん見ない顔だけど外から来たのか?この街に住んでたらアビス武術大会の事知らない奴はいないぜ?」
武術大会?
「そーなんだ。アタシ最近外から来たんだ。だからこの街の事知らないんだ。良かったら休憩がてら教えてくれないかな?」
「俺が?まぁいいけど。」
何か照れてる。かわいい。
バッグからサンドイッチと瓶に汲んだ水を取り出す。
多めに買っておいたのだ。水は川の水を汲んできた。バッグの中の時間は停止してるから冷えてるぞ。
「何この水!キンキンに冷えてやがる!」
YES!
喜んで貰えて良かった。
「自己紹介がまだだったね。アタシ、アルル14歳。商人のパパと行商の旅をしてるんだ。」
「ふーん。えっ?14歳?本当か?俺と同い年じゃないか。」
ジロジロ見てる。
「そだよー。いつも年上に見られて悲しいよう。えーん。」
泣きまねした後舌をペロっと出してみる。
「!・・・そっか俺はロキ。剣士だ。将来は冒険者になろうとおもってる。」
顔を赤くして答えてくれた。かわいい。
それにしても魔族が冒険者か。
「よろしくねロキ。」
手を差し出す。
「あっ、ああ、よろしく。」
握手する。ぶんぶんぶん。
「ちょ、もういいだろ。」
「ふふふ。」
「それで、さっき言ってた武術会ってなあに?」
「来月開催されるトーナメントの事さ。街の外の武闘家も来るんだぜ?凄いだろ?」
「へえー、どれくらい離れた所からくるの?」
「どれくらいって、遠くだよ。うんと遠く。」
「ロキも出るの?」
「ああ、前回は予選会で負けたけど、今度こそは!」
「ロキなら大丈夫だよ。アタシが補償する。ふふ」
「べ、別にお前に言われなくても、ゴニョゴニョ。」
かわいい。
「ロキはキプロス学院行かないの?強い人に教えて貰った方がいいんじゃない?」
確か八柱狙える程の奴が入ったとか言ってたよね?酔っ払いが。
「無理だよ。金が掛かり過ぎる。あそこは貴族の恵まれた坊ちゃんが行くところさ。」
なるほどねー。
「そこの生徒も出るのかな?武術会。」
「腕に自信がある奴は出てるぞ。金で勝敗を勝ってるとかって言う噂もあるけど、そんな奴らに負ける訳には行けないんだ。」
八百長かー。まあ、ありがちよね。
「ねえ。その大会って誰でも出られるの?」
「1万ギル払えば出られるぞ。」
「アタシも出てみよっかな?」
「はあ?やめとけ、やめとけ。怪我するだけだぞ。お前全然強そうじゃないし。」
「そうかな?貸して?」
木刀を借りる。
「本当に怪我するからやめ・・・」
スッ フォン!
木刀を振り下ろす。もちろん魔力0で加減して振った。剣速が遅すぎてロキみたいな風は生まれない。
だが、間違いなくディスペア流だ。
ちなみにディスペア流剣術は極伝(最高位)まで上がっている。
「どう?」
「す、凄い。なんて綺麗な太刀筋なんだ。あれ、なんで。」流れる涙を袖で拭うロキ。
「あはは、今日はいろいろありがとね!武術大会がんばって!」
道場を出る。
「ちょ!まって、今の、お前一体・・・!」
「・・・お前じゃないよ。アタシはアルルだよ!ふふ。」
また強い風が吹く今度は飛ばされないようにしっかり麦わら帽子を抑えた。
「待って! アルル!!」
アルルを追って道場を出るロキ。
だが少女はいない。
そこには花吹雪が舞っているだけだった。




