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絶望の果て  作者: 馨
31/103

31話 Absolute Zero


─── side オフィーリア ───


アルルと名乗る人間の後ろを付いて歩く。震えが止まらない。これから殺されるんだコイツに。魔力を巧妙に隠蔽しているが禍々しいオーラは隠せていない。魔王様クラスと見ていいだろう。

祈りのホールに出ると祭壇が遠くに飛ばされて粉々になっていた。


「あっごめん!あれジャマだったからどかしといたよ。」

邪悪な笑顔を私に向ける破壊神。


ん?あれは。

「アスモデウス?」

確か8柱の1人。なぜ奴がこの破壊神と一緒にいる?


「アルルお嬢様ぁ、アスモデウスと一緒に来たのですかぁ?」


「ん?8柱だから知りあいなのか。そだよー。アスはアタシの忠実な下僕だからね。」

さらっと、とんでもない事を言う。

しかしこれは。これなら!


「なぜあのような者を!?奴は乱暴で下劣で腹黒な最低の魔神ですぅ!お嬢様の品位が汚れますぅ!やはり、お嬢様にはワタクシのほうが・・・」

奴のポジションを奪えればチャンスはある!


その時ホールの温度が下がったような気がした。冷気無効耐性を有する私が寒気を覚えるなどいつ以来だ?


「いま、アタシの物を侮辱した?」


ヤバい、ヤバい、ヤバい、ヤバい!

「ち、違いますぅ!侮辱などしていません!あっアルル様が心配なのですぅ!可憐で儚いアルル様の事が心配なのですぅ!」

眉を八の字にし両手を胸の前で組み訴える。

どうだ!?とりあえず持ち上げてみたが。


「可憐で・・・儚い。アタシの事心配してくれたのオフィーリアさんが初めてかも。ありがとね。・・・あ、あのね・・・」

モジモジしている。怖い。


「オフィーリアさんの事、お姉ちゃんって呼んでいいかな?」

あの破壊神が上目遣いで瞳をウルウルさせている!?


よーーーし!勝った!もうこれ勝ちだよな!?よっしゃあああああ!

心の中で歓喜する。


「いいですよぉ。アルルお嬢様ぁ。」


「ありがと!お姉ちゃん!」

手を握られた。

ああ、暖かいなぁ。人の温もり感じたのも久しぶりだ。


手を繋いで宮殿を歩く。

悪くないな。アルルもこうしてみるとただの少女だ。ちょっと強いだけの少女なのだ。何をあんなに怖がっていたのだろう。


外に出ると宮殿の魔法使いが衛兵隊長に回復魔法をかけている。周囲の壁は崩れ、隊員たちは怯えながらこちらの様子をうかがっている。


「ちょっとやり過ぎちゃったかな。てへっ。」

手をグーにして頭にコツンと当て舌をだすアルル。

笑顔が怖い。やはりこの子は破壊神だ。


「もーう、アルルお嬢様ったらぁ。お転婆さんなんだからぁ。」

引きつった笑顔でにこやかに笑う。


「じゃあ、バトろっか!お姉ちゃん。」


ほらああああ!結局これだよ!普通今の流れで殺し合いする!!?薄々分かってたけど異常だよあんた!

やっぱつらいわ・・・。


「あっ、そだ。城壊れないように結界張っておいた方がイイよね!アスー!結界張ってー!」


少し時間が出来た。

よし!切り替えよう!

アルルに勝って生き残るんだ!

少ない時間を無駄に出来ない。分析を始める。

先ずあのアスモデウスを従えている時点で間違いなく強者だ。だがアスモデウス程度なら私でも勝てる。気掛かりなのは差だ。アスモデウスとあの少女にどれだけの差があるのか。

アルルの戦闘力は未知数だ。

完璧にに魔力を遮断している為測る事が出来ない。私も普段は抑えているがここまでのコントロールは不可能だ。

これらを踏まえると遊んでいる余裕は無い。アルルが油断している開始直後に最強の一撃を放ち屠る。

これしかない。

幸い開始までまだ時間はある、私は気が付かれぬよう魔力を練り始めた。


結界が張られ城の前でアルルと大事する。

配下やアスたちは離れた所で待機している。


「お姉ちゃん!どこからでもいーよ!かかってきなさい!」

剣を構えるアルル。


舐めているな。だがそれでいい。そこを突く!


練っていた魔力を全開放!

この一撃に全ての魔力を注ぎ込む!


「おっー!すっごーい!」


「はっ!その余裕が命取りだ! 喰らえ!アブソリュートゼロ!」


ドドドドドドドドドドドドド!!!

真っ白な氷の冷気がアルルを襲う!

絶対零度の冷気は魔力と混ざり合い絶大な効果を発揮する。この技を受けた物は分子運動が止まり崩壊してしまうのだ。


大気の震えが収まり煙が消えると景色は一変していた。


「はぁ、はぁ、はぁ、どうよぉ。て、手応えはあったわぁ。」 

間違いなく直撃した筈だ。

アルルは消し飛び後ろにはあった山々も消失している。この技なら魔王様だって倒す自信がある。当たればだが。


ドッ。倒れてしまう。もう動く事すら出来ない。くっ、アスモデウスに対処しなくては。


「いい技だったね!お姉ちゃん!」

上から声がする!


「はっ、はっ、はっ」

心臓を掴まれた様な恐怖。なんでなんで生きてんのよ!!


「あーあ。お気にのワンピが消えちゃったよ。」

黒い外套に身を包み剣を持ったアルルが宙に浮いている。


かわしたわけでは無いのか?こんな、こんなの、、、

「ふ、ふふふ、あはははははははっ!」

笑うしか無いわぁ。


ぽわん。

「おっアイテムが出た。って事は勝ったのか。」


「ええ、アルルお嬢様の勝ちよぉ。さぁ殺してちょうだい。」

この晴れやかな気持ちはなんだろう。死ぬのがまるで怖くない。むしろアルルに・・・。


「やだよ。アタシ殺人鬼じゃ無いんだから。それに良かったよ?お姉ちゃんの技!もっと強くなったらまたやろうね。あはは!。」


ッッッッッッッ!!!

なんだろうこの気持ち!体が熱い!氷結の魔女なんて言われていた遥かむかしにこんな気持ちになった事がある。

あれは、初めて呪文を覚えてお母さんに褒めてもらった時だ! 


私はこの方に褒めていただいて堪らなく嬉しいんだ!


「グス、ふぇ、ふえ、うわあああああああああん!」

涙がとまらない。とめど無く涙が溢れる。

こんなに泣いたのもいつ以来だろう。

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