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絶望の果て  作者: 馨
30/103

30話 氷の女王


ユニコーンに乗り天空を駆ける。

ここは極寒の氷結エリアだが耐性のあるアタシたちは寒さをまるで感じない。


ユニ子の背に前からアタシ、アスの順に乗っている。

アタシはともかく、なぜ心がドス黒く汚れているアスが乗れるのかと言うと単純に足の力で掴んでいるからだ。

最初は痛がっていたユニ子だったけど練習してるうちに痛覚無効の耐性がついたみたい。

アタシが魔装でユニ子覆っているからどれだけ強く力を入れても大丈夫だしね。


高速で飛行していると氷で出来た城が見えて来た。ボスの住む居城だ。


この層に来てからまだ5分と経っていない。

ここまで早く攻略出来るようになったのはディメンションの知覚範囲が広がった事による効果が大きい。

数百キロ圏内の全てを見透す事が出来るようになったのだ。

ここの様な規模の小さい層などは入った瞬間に全エリアを補足する事が可能だ。

アスが常時馬鹿みたいに魔力を垂れ流している為魔物に襲われる事もない。


結界で覆われた氷の城。

アスの時と同じね。

そう8柱の1人が住んでいる居城なのだ。

ユニ子から降り結界に触れる。

パチンッと音を立て結界は消滅した。

ポカンとした表情で口をパクパクさせているユニ子。かわいい。


異変に気付いたのか城の中から巨人がゾロゾロ出てきた。

10メートルはあるかな?魔力の通った鎧と斧を持っている。

歓迎してくれる様だ面白い。


「アス、アタシがやるから下がってていーよ。」


「ハッ!」

いい返事をしてユニ子の側まで下がる。


前まで歩いて行く。襲ってくる気配はない。


20人の巨人が片膝をつき頭を垂れる。

「お初にお目にかかります。魔王様。」

隊長らしき男が挨拶してくる。


またこのパターンか。

絶対アスのせいだよなあ。TPOに合わせて魔力のコントロールを出来るように調教しないとね。


「魔王?アタシたちは冒険者でここの主を倒しに来たんだけど?」


ざわつく巨人たち。

「ほ、本当に?」


「ええ。」


「も、申し訳ないのですが、女王様は今外出しておりまして、ま、また後日いらしてもらうわけには、いきませんでしょうか?」

汗を垂らしながら言ってくる。

暑いのかな?


「この城の地下?かな。2匹の狼と一緒にいるドレス着た銀髪の女性は女王様じゃないの?」


巨人たちが息を飲む。


「あっ、あれは、そう、牢獄に閉じ込めている奴隷でございます。脱走しないよう狼に見張らせて・・・ブベラッ!」

血煙を残して城壁に叩き付けられる巨人。気絶したようだ。

巨人たちは恐怖で歯をガチガチならしている。


「安心しなさい。軽く撫でただけだし。アタシさ、嘘つく奴って嫌いなの。」

目に力を入れる。


すると何人かの巨人は腰を抜かし、何人かは額を地面に付けて命乞いを始めた。


「アス、ユニ子、行くよ。」

「「ハッ!」」

巨人たちを抜けて城に入る。

奥へ奥へと進む。魔物の気配は数百とあるが姿は見えない。怖がっているみたい。

大きなホールに出た。椅子と祭壇。祈りを捧げる所かな。魔物が祈るって言うのも変な感じだけど。

石づくりの祭壇の下に階段があるが退かさないと降りられないな。魔力が通っている。何らかの仕掛けが施されているようだ。

「女王の魔力を通せば直ぐ動かせそうだけど・・・。」

祭壇の裏に3つの窪みを発見。ここに石を当てはめれば動く仕組みか。この城のどこかにそのアイテムがあるんだろうけど、


「めんどい。」


ドン!!ドガァァァン!!

足で祭壇を蹴り飛ばす。

ユニ子がビクッとした。かわいい。


階段を降りると狭い通路が続いていた。

2人をホールに置いて奥へと進む。

扉を開けると部屋があり調度品が備え付けられている。

女王は隣の部屋か。

扉を開けると、唸りながらこちらを睨みつける2匹の狼。後ろの女王は片膝をつき頭を垂れている。


はわわわ!!もふもふ狼たん!!


2匹の間に入り込み頭を撫でる。狼はアタシの動きが見えなかったのか困惑しているみたい。

「かーいーねえ!よーしよしよしよし。」

頭や首、背中を撫でてみる。 


後ろにいる、女王を見る。

年は人間だと17、8歳くらい?

腰まで伸びた銀髪は毛先がクルクルと巻かれている。赤い瞳、青いドレスに薄いガウンを羽織っている。


「この子たち、名前はなんて言うの?」

女王に聞いてみる。


「はっはいぃ!魔王様ぁ!額に三日月のアザがあるのがミコ。星のアザがあるのがニケですぅ。」


「ミコちゃんとニケちゃんね。かわいいでちゅねー。よーしよしよしよし。」

パスが通りワタシの言葉を理解したミコとニケ。困惑しながらも喉をゴロゴロ鳴らす。


「あー。アタシ魔王じゃないよ?アルルって言う冒険者。ホラ魔力も無いでしょ?」


「ご、ご冗談を。魔力は感じませんがぁ、そのオーラと言うかぁ、なにかぁ禍々しいものがぁ・・・。」


「ん?なんて?」


「いえ!何でもないですぅ!」


「あなた名前は?一応倒す前に聞いとくね。」


「はい、オフィーリアと申しますぅ。・・・えっ、倒す?」


「冒険者なんだから倒すに決まってるでしょ?ああ、安心してこの子たちの面倒はアタシがちゃんと見るから。」

ビクッと2匹が震えて嗚咽している。そんなに嬉しいのかな?


「あっアルル様ぁ、私もお側に置いていただきたいのですぅ!」


「なんで?」


「ミコとニケはワタクシの家族なのですぅ!一緒じゃないと悲しみますぅ!」

2匹も傍によりそい一緒に居たいと同調しているようだ。


「えー。そうなの?んー。動物虐待なんて趣味じゃないんだどなー。一緒に死にたいって言うなら3対1でいいよー。掛かっておいで!」

ウインクする。


目をパチクリする2匹。

「ぼくアルルお姉ちゃんと行くよ!」「わたしもお姉ちゃん好き!」

もの凄い勢いでアタシに擦り寄ってくる2匹の狼。かわいい。

ニケはオスでミコはメスのようだ。


「ちょ!あ、アンタたちぃ!・・・・・・あっアルルお嬢様ぁ!私もお嬢様と一緒に旅がしたいのですぅ!お嬢様の魔性の美しさに引かれたのですぅ!可憐なお嬢様を見ているだけで心臓がバクバクして呼吸が止まりそうになるのですぅ!」


「そっかー。やっぱりそうなるよねー。テレテレ」

分かる人には分かっちゃうよね。

「ふうん。どーしよっかな。」


「身の回りのお世話など何でもいたしますぅ!」


「まぁ、それはいるからいいけど。」

アスだ。


「残念ですぅ!では仕方ありません!分かりましたぁ。ワタクシここで配下共々アルル様の益々のご健勝とご多幸をお祈りしておりますぅ!」

笑顔全開のオフィーリアさん。


「ありがとね。とりあえず外行ってヤり合おっか。」


「へ?やりあう?それは一体なにを?」


「ガチバトルだけど?」


ヒィィィィィィィィ!


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