102話 回帰
─── 龍の巣 ───
「ローズ遅くなってすまなかったね。約束通り連れ帰ったぞ。」
腕の中で眠っているシスティーナを渡す。
当然傷は治癒してある。
「魔王様あああ!うわああああん」
抱きしめて顔を擦りつけている。涙で酷い顔になっているな。
「アル様ありがとうございます!ありがとうございます!」
「涙を拭きなさい。そうだ。これを返しておこう。」
指輪を取り出し渡す。
「これは・・・」
「シスの位置を示す指輪だったかな。使うことはなかったがこのお転婆娘がまたどんな事をしでかすか分からんからな。君が持っているといい。」
「アル様・・・分かりました!私が片時も目を離さず見張っておきます!」
若干不安だが大丈夫だろう。
「アル・ディライト。今回は世話になったな。」
この伊達男はメフィストか。魔王になるとディスペアの魔物を全て把握可能となる。
「気にせんでくれ。魔王討伐は私のダンジョン内での最終目標だったからな。」
「それにしたってよお、魔王様マジで倒すとか半端無えわ。流石俺の惚れた女だ。」
こいつはヨルム。二人はシスの側近のようだな。八柱を超える魔力を宿している。
「私は男だよ。ふふふ。」
「そうなのか?まあ性別とかどうでもいいけどよお。」
そう来たか。
「アルル様!」
オフィーリアに抱きつかれる。
「心配したんですよぉ!」
熱い歓迎だな。
後ろにはアスが心配そうな顔で此方を見ている。
「ふふふ、今変わろう。」
彼女らが逢いたいのは彼女だろう。
「かわる?」
・・・・・・。
「・・・むにゃむにゃ。ん?オフィーリア?」
泣いてる。ああ、色々あったからね。
「アルル様ぁ!お帰りなさい!」
「ただいま。心配かけてゴメンね?」
オフィーリアの頭を撫でる。
「アル、大丈夫か?」
アス!
「うん、大丈夫みたい。」
視線が絡む。ドキドキ。
「本当に魔王様を倒すなんて・・・おめでとう。」
「うん、ありがとう。・・・あれ・・・」
視界がボヤける。
「アルル様、泣いてますぅ!」
言わないで。何か胸の奥が熱くなって涙が止まらないんだ。これは、この気持ちは・・・
「くっひいいいいいいいん!!」
「勝者が何泣いとるんじゃ!」
あっ、目を覚ましたんだ。
シスがローズの胸を揉みしだいている。
「ま、魔王様!ここではいけません!みんなが見て、ひいいいん!」
〇〇〇をつねられた。
「泣きたいのは妾の方じゃ!」
涙ぐんでいる。
「我慢しないで泣いちゃいなよ。スッキリするから。」
アタシみたいに。
「うるさい!妾はこの世界の頂点じゃぞ!そんなみっともない真似出来るか!」
「いやいや、頂点アタシだから。システィーナちゃんはNo.2かな?」
「・・・そうか妾はもう、ウッ・・・うわあああああああああん!」
盛大に泣き出した!
「やっ・・・ま、魔王様、む、胸は。あっ・・・。」
顔をうずめて揉みしだいてる・・・。
アタシもアスの胸の中で・・・。
ギュウウウ
オフィーリアに抱きしめられる。
ちょっ、強い。てか痛い!痛ッッッた!?
「アルル様も我慢しないで泣いて下さいねぇ?」
別の意味で泣けるんですけど。
二人でひとしきり泣いた後
「さて、アルよ。妾を倒した褒美をやろう。」
褒美?
ぽわん。
あっ、そうか・・・。石碑が現れる。空間に浮かび上がる光り輝く文字。
頭に声が響く。
『Congratulations!!ディスペア・ダンジョンを攻略しました。報酬としてディスペアの王の称号が与えられます。』
魔王の称号ならもう持ってますが?
一応確認しようかな。
ステータス
名前 アル・ディライト
年齢 14歳(時間停止中)
加護 底辺のゴミ
称号 淫魔、ディスペアを統べる破壊神、超越神
・・・・・・。
魔王の称号消えちゃった!破壊神て何よ・・・何も壊してないんですけど。
加護が変わらないのも悪意を感じる。
「じゃあ、シスのステータスは?」
名前 システィーナ・アウグスト・フォン・アールヴヘイム
年齢 4621633歳
加護 破壊神の加護
称号 破壊神の眷属、魔王
・・・。
称号の眷属って何だろ?ダンジョン内の全ての魔物に付いてるのかな?
チラリ
名前 アスモデウス
年齢 51937歳
加護 破壊神の加護
称号 破壊神の奴隷
・・・うん、見なかった事にしよ。
空間に浮かぶ文字が変わる。
『攻略前の記憶をコネクションします。・・・成功しました。。』
わっ、何だこれ!記憶が流れ込んで来る!まるで最初の頃に戻ったような。これは
「僕は・・・」
「アルル様?」
「ふにゃああああああああ!」
目の前にいる綺麗な女性に驚いて声を上げてしまう。
落ち着いて!彼女はオフィーリア、仲間だよ。
「どうかしましたかぁ?」
心配そうな顔で覗き込んでくる。
「あっ、大丈夫だから!」
おそらく耳まで真っ赤になっているだろう。
「アルよ。元の世界に帰るのか?」
目を真っ赤にした魔王が聞いてくる。そうだ僕はこのダンジョンを攻略したんだ。実感は無いが。
「う、うん、待ってる人がいるからね。」
待ってる人?レイナか?でも彼女はバッカスと・・・。
「アルル様!元の世界って!?」
オフィーリアが聞いて来る。
「僕は冒険者だからね。ダンジョン攻略が終わったから帰るんだよ。」
自分でも驚く程すんなり言えた。アル(このダンジョンに来たばかりの頃)の記憶に引っ張られているせいかな?
「そんな、嫌です!こっちで私と一緒に暮らしましょう!」
ガバッ
強く抱きしめられる。
ふぁああ良い匂い・・・じゃなくて
「ごめん、帰らないと。」
このダンジョンに転移する直前の記憶が蘇る。僕を救ってくれたハーミットの人たち。オークロードに襲撃されていた。でもこのダンジョンでは時間は止まっていたはずだからまだ間に合うはず!
今度は僕が助ける番だ!
「そんな・・・」
オフィーリアの目にも涙。
「泣かないで、また戻って来るから。僕は一応領主でこのダンジョンの魔王(破壊神)だから。」
「本当ですか!?・・・絶対ですよ!約束ですからね!破ったら・・・めちゃくちゃしますよ?」
えっ、やだ怖い怖い。
「アル・・・気を付けてな。」
「うん、ありがとうアス。行ってくるよ!」
空に浮かぶ文字が変わる。
『ディスペア攻略以前の世界へコネクションします・・・成功しました。転移しますか?YES/NO 』
「アルよ、このダンジョンを攻略した事で天界にも動きがあるじゃろ。何かあれば妾を呼ぶがいい。」
「うん、頼りにしてる!」
もう一度宙に浮かぶ文字を見る。
転移しますか?
YES!




