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長夢。  作者: 緑ノ小石
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プロローグ

 今日も仕事が休みだから昼に起きたんだ。

 寝たのも遅かったし、外も雨降ってるから暗くて寝易いし、それに夢の世界はすばらしいからね。

 んで、いつまでの現実逃避はいかん!とだらだら起きて、だらだらコーヒー淹れて、ぼけーっとしてたんだ。

 そうしたらチャイムが鳴るわけ、玄関の。

 居留守を決め込もうか悩んだけど、宅配便かな?とか思いつつインターフォンを見たんだ。

 うちのインターフォンはカメラ付だから取り敢えず画面を見たのね。

 んでも、誰も映ってないわけ。外のいつもの風景しか映ってなくて、間違えたのかな?って思って家の中に戻ったんだ。

 でもまたしばらくすると、ピンポーン!!って鳴るの。

 でも画面には映ってなくて、いたずらかと思ったんだ。

 無視してるとまた鳴るの、ピンポーン!!って。

 いい加減鬱陶しいから玄関のチェーンって言うの?あの棒みたいなやつをつけたまま少しだけ扉を開けたの。

 んで、隙間から可愛い小学生ぐらいの女の子。泣きそうな顔でこっちを見るの。しかもびしょ濡れ。

 こっちは「??」ってなってキョドっちゃたんだけど、でもさすがに可哀想だからドアを開けなおしたんだ。今思えば危険だよね、ドアの影に人がいたかもしれない訳だし、でもその時は焦ってたからね。

 んで、えーっと・・・って声をかけたらその子、俯いたかと思ったらいきなり泣き出すの。

 え?えっ?ってこっちはパニック。

 一応周りを見たんだけど誰もいないってか、その子の荷物みたいなのが玄関先にあるし。キャスター付の大きいのと、スポーツバック。その子も赤いランドセルを背負ってるし。

 取り敢えず泣いてちゃわからん。とその子をなだめてたの。

 お嬢ちゃんの名前は?とかいくつ?とか聞いたんだけど返事なし。

 しかも段々ひどくなって時々嗚咽とか聞こえるの。

 外は雨降ってるし若干寒いし、しばらく悩んだけどご近所さんに見られたら大変だから家に上げたの。荷物と一緒に一旦ダイニングへ。その子はテーブルに座らせてと。

 ティーパックだけど紅茶を淹れてあげて、びしょ濡れだからタオルを渡したんだけど俯いたままで受け取ってくれなくて、しょうがないから頭だけ拭いてあげたんだけど、びしょ濡れの服は・・・もちろん着替えなんて家にはないから保留。本当は風邪をひかれても困るからシャワーでも入ってもらいたいけど、知らない子を自分の風呂に入れるとかやばいでしょ、通報されたら一発アウト。

 んで、もちろんそこから沈黙。いやぁ、長かったよ。一通り親は?とか聞いてみたんだけど俯いてるだけ、返事なし。まぁ泣き止んではいたからいいんだけど。

 手持ち無沙汰で色々考えたんだけど、親戚にはこの年代の女の子なんていないし、いくら思い出しても見覚えはないし。迷子?でも荷物からして家出っぽい。だけど、そんな事する感じの子じゃないし、それになんで俺?もしかしてこのマンションを順番に?親が捜してるんじゃないか?もしかすると俺、誘拐犯になる?とか訳わかんない事になってたんだけど。

 そうこうしてるとようやく飲み物を口につけてくれて。

 時間にすると30分弱ってとこだけど、体感は2、3時間は経過したね。

 落ち着いてきたみたいで、一安心してたとこで、その子に渡されたの、封筒。

 ホント普通の封筒に名前が書いてあって、もちろん俺の名前になってるんだけど、裏には見ず知らずの女の人の名前。

 怪しさ満点なんだけど、しぶしぶ開けてまずは手紙、ざっと20枚オーバーしてるし。

 この手紙の内容が目を疑ったとかそんなレベルじゃなくて、もう本格的に作り話。

 要約すると、




・この子の名前は小夜[さよ]10歳。小学校5年生。

・手紙の差出人は母親の叔母。

・母親は蒸発し、生死不明。

・叔母は病気を患い入院している。

・叔母が亡くなると小夜ちゃんは孤立無縁になる。

・この子は俺の父親の子らしい。(俺の両親は6年前に他界)

・俺の事は興信所で調べさせてもらった。

・この子が成人するまで俺の養子にして欲しい。

・成人したら離縁しても構わない。

・いくらか生活費はこの子が持ってる。




 手紙と一緒に養子縁組の届出と、後見人の弁護士の名刺と、転校手続きの書類3つと、銀行の通帳が入ってて、養子縁組届出は養親を記入するだけ。弁護士は隣の県。転校手続きの書類は証明書とか入ってるけど、提出先は俺の家の近くらしい。通帳はこの子名義で6千万ぐらい(正直焦った)。

 つまり、俺の腹違いの妹を養子にして後10年住まわせて欲しい。ってのが要求で、無茶なお願いを謝る内容が節々にあって、理想は特別養子にしたいけど、養子にするのは遺産とかの関係?で戸籍上からもこの子を守りたいとの事で、施設には絶対に預けたくないらしい。

 つか、興信所で俺の事を調べたってなんだそりゃ。まぁその事も謝ってるからいいんだけど、調べられて困る事はないはずだし。

 一通り渡された封筒の中身を確認し終わって、状況が読めてくるまで大分時間がかかったんだけど、その間じっとこっちを不安そうに見てる小夜ちゃんで居た堪れなかったんだけど、ごめんね馬鹿で。

 まぁ、普通に拒否の方向で。妹とは言え、いきなり見ず知らずの16歳も下の女の子と生活出来ないし、10年間はこの子の保護者をやらないといけないなんてね。

 それで話を進めていったんだ。




「えーっと、小夜…ちゃんだね?」

 うなずく。よかった本人で。

「叔母さんのとこから一人で来たの?」

 肯定。あの荷物を持ってよくきたなぁ、って思ったんだけど後から聞いたら途中までタクシーだったみたい。

「この手紙の内容は知ってる?」

 首を縦に振る。やっぱりか・・・。

「えっと、叔母さんと話がしたいんだけど?」

 今度は首を横に振る。

「連絡先がわからない?」

 今度も否定。そりゃそこから来たんだからね。

「じゃあ、入院先の病院を教えて」

 否定。って事は…。

「病院がわからない?」

 やっぱり否定。

 連絡先はわかるけど、話が出来ない。入院先の病院は知ってるけどって事は…。

「入院してた病院は教えられない?」

 チェックメイト。涙を堪えながら首を横に振るんだよね。

 つか、否定しちゃったよ。あーあ、最悪の状況じゃない事を祈りつつ、一応最終確認。

「もしかして…亡くなった?」

 確認はいらなかったみたいで、俯いて小刻みに震えちゃったんだけど…。

 って事はこの手紙は遺言になっちゃた訳で、小夜ちゃんは孤立無縁になったって訳だ。いや、俺が兄って話だから孤立無縁ってわけじゃないのか。

 一応、謝って、しばらく間をおいて話を進めたんだ。

「弁護士の人は知ってる人なの?」

 否定。

「小夜ちゃんはいいの?いきなり見ず知らずの男の家で生活するなんて」

「…………」

 はい、無言です。そりゃそうだよ。いくらなんでもそれはおかしい。そう言われたからって「はい、わかりました」なんてならないし、兄とは言えどこの馬の骨ともわからない男と生活とかあり得ない。しかも、俺は本当に兄なのかすら怪しいし。施設は駄目だって書いてあったけど、最悪の状況でも本人の意思を尊重しないとね。

 んじゃ、まずは弁護士の所に連絡して、どう申請すればいいか相談してって考えてたら小夜ちゃんがきちんと座りなおして、俯いてた顔を上げてしっかりと真剣な目でこっちを見つめるの。んで、




「小夜と言います。高校生になったら早く一人暮らしをします。迷惑をかけないように頑張ります。邪魔にならないようにします。それまで置いてください。お願いします」




 って頭を下げるの。実はさっきのチェックメイトはチェックされたって宣言だったりして。だってそうでしょ?小さな女の子が雨の中、一人で尋ねて来て頼る人はあなたしかいませんって言ってるんだよ。しかも聞けば腹違いの妹だって言うし。まぁ言われてみれば、自分の父親の負の遺産を受け取ったって事で、自分が出来ることがあるんなら手を貸してもいいかなって思うでしょ。

 それに小夜ちゃんの、叔母さんが亡くなった悲しさや、見ず知らずの兄だって言われた家を尋ねる時の怖さ、もう戻る家がない寂しさ、これから生きていく心細さを考えれば…。

 だからこの時、何も考えないで自然と笑顔になって本心が出たんだと思う。




「取り敢えず、シャワーを浴びておいで。今更だけど風邪を引いたら大変だからさ。あと、せっかく家族が増えたんだからお祝いをしないとね。外に食べに行くから好きなものを考えておいてね。ほらほら、泣かない泣かない。それと一つだけ約束して欲しいんだけど、絶対に我慢はしないで。多少のわがままも聞くつもりだし。俺は君の兄貴で、君は俺の娘だからさ。ほらこの家は小夜ちゃんの物でもあるし、まぁ俺も借りてる家なんだけど、焦ってすぐに出て行かないでいいよ。俺からもよろしくね。二人しか居ない家族だけど楽しい毎日を過ごそう、ね?」




 小夜ちゃん顔を上げて驚いた表情で泣いてた。最後には号泣。顔をクッシャクシャにして嗚咽で声にならないけど、ありがとうって言ってくれたみたい。時間も時間だったからさっさと小夜ちゃんをお風呂に入れて、ちょうど2部屋あるから帰ったら1部屋片付けないとなぁ。取り敢えず今日の俺はソファーで寝ないと。あと、女の子って何が必要なの?明日と明後日仕事休んで一緒に買いに行ってって、その前に役所に行かないと。あっ、弁護士にも連絡しないと。明日からしばらくは忙しくなるなぁ。学校は一先ず来週ぐらいでいいかな?なんてワクワクしてたのはここだけの内緒の話。ちなみにその夜の小夜ちゃんのリクエストは回転寿司。遠慮するなって言ったのに「廻ってるお寿司を見てるのが楽しい」だって。




 色々判断が早計な約束をしたもんだと思うけど、小夜ちゃんの佇まいって言うのか、初めは確かに話が進まなくてイライラした事は否定できないけど、でもやっぱりこの歳で意を決しての目を見ればこの子が悪い子ではないと思うし。結果論だけど、それからも色々あって本気でこの子を守らないといけなかったりしたんだけど、この時の決断は間違ってないと今でも思ってる。


生まれて初めて文章を書きました。

誤字脱字があったら教えてください。

乱文は仕様です。

文章力がまったく着いて来ませんが、内容だけでも伝われば万々歳です。

また、どなたかに書き直して頂きたいぐらい文章力は恥ずかしいです。

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