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第27話 相撲令嬢はドラゴンと激闘する

 相撲スピリッツの回転数を上げる。

 もはや私のすり足はスピードスケート並の速度になるわ。


 ドワアアアアッ!


 もの凄い熱が放射されて、体の片側が熱くなる。

 凄いわね、ドラゴンの火炎放射。

 最大戦速で土俵の中を回る。

 私の後を追跡するがごとく火炎放射が追いかけてくる。


『のこったっ、のこった!』


 行司さんは軍配で炎をしのいでいるわ。

 そんな機能があるのね!


 さらに回転数をあげ、速度を上げる。

 巨大な相手には速度が必要だ。


 腰を落とし、すり足で、それでも超高速で私は移動する。


 どんな効果が抜群の攻撃でも、当たらなければどうという事は無い!


 ファラリスの後ろに回り込む。

 首の旋回範囲を超えたのか、火炎が止まった。

 彼は尻尾が土俵に付かないようにぴょこんと上げている。


 接近して後ろ足首にてっぽう!


 ズドーーーン!!


 GYAAAAOOOUSU!!!


 姿勢を崩してファラリスは倒れそうになるが、足を開いて踏ん張った。


『のこったっ! のこった!』


 そうかっ!!


 ドラゴンは空を飛ぶ!


 だから、足腰は鍛えてないわっ!!


 これは発見ね!!


 片足にてっぽうを連続的に打ち込めば勝機があるかも知れないっ!


 私はファラリスの左足に向かって高速移動をする。

 彼は私を探してくるくると回る。

 死角に潜り込むように、すり足すり足。


 取ったわ、後ろ足!


 伸び上がるようにして、ファラリスのふくらはぎに、てっぽう!!


 ズドーーン!!


 ANGYAAAAAAA!!!!


 ファラリスが悲鳴を上げた。


 姿勢が崩れたわ、もう一発!!


 てっぽう!!


 ズドーーン!!


 GUWAGYAAAAAN!!!


 大きくバランスを崩した、倒れる!!


「やったぜ、フローチェ親方!!」

「すごいよっ!! フローチェ!!」

「意外にたわいのない相手……」

「あ……」


 突然土俵の上の私を突風が襲った。


 バッサバッサ。


 姿勢を崩したファラリスが羽ばたいて空中で体勢を直していく。


「ファラリス! 地上戦に付き合う必要はないのじゃっ!! 空から火炎放射じゃあっ!!」


 ドミトリー氏が大声でファラリスに声援を送る。


 行司さんが高度を上げていくドラゴンを見て固まっている。

 ルール的にはどうなの?


『の、のこった!』


 え、のこって良いの?

 そりゃあ、土俵の外にも出てないし、土も付いてないけど。


 土俵のサークルから上空へ光る壁のような物が現れた。


「ファラリス、その壁に当たらなければ、ルール的にOKのようじゃ、気を付けて飛行し、高空からブレスじゃっ!!」


 ファラリスがうなずき、息を吸い込み始めた。


 対空迎撃!


 私の視界に丸と十字の照準レティクルが現れてファラリスの頭部で重なった。


 赤文字。

照準固定ロックオン


「狙い撃つ! 張り手投石機カタパルトォっっ!!!!」


 パーンッ!


 張り手が音速を超え、衝撃波が手の平の形になってファラリスの頭部を狙う。


 カーン!


「ああっ! 威力がたりえねっ!!」

「なんて石頭なのだっ!! あの竜はっ」


「かかかっ! ドラゴンの表皮は設置強弓バリスタも刺さらんっ! 衝撃波ごときでは傷にもならんのじゃっ!!」


 くっ、あの位置からだと土俵のどこでも当てられる!

 死角が無いっ!!


 ファラリスの頭が下がった


 口が大きく開き光った。


 ゴワアアアアアアッ!!!


 炎が大きく広がって土俵の上に広がる。


 ドラゴンの火炎放射は一撃で鉄をも溶かす超高温だ。


 くそっ、避けられない!


 溶かされる!!


「フローチェ!! 危ないーっ!!」


 リジー王子の声が聞こえた。

 

 ドラゴンの火炎は、どうやって防げばいいのか……。


 行司の後ろ、とも思ったが彼は土俵の遠い所にいた。


 やばい。


 こーれはー、やばいー。


 竜巻トルネードすくい投げができれば……

 だが、相手がいない。


 火炎放射が私の体を覆う瞬間、私はすくい投げの型を無意識に放っていた。


 ブオン。


 相撲スピリッツが高速回転を始め、私の体の周りを風が回り、火炎を吹き飛ばした。


 出る。


 型だけでも、付与効果が出る!!


 すくい投げの型を続ける。


 ブオオオオオオオオッ!


 風がらせん状に回転し、竜巻になり、火炎を飲み込み吹き飛ばす。


『の、のこった! のこった!』

 

 もういっちょ!


 さらに、すくい投げの型を放つ。


 竜巻トルネードがまた一つ生まれる。


 いくらでも、作れる!


 すくい投げ、すくい投げ、すくい投げ!


 二本、三本、四本、五本の竜巻が土俵に立ち上がる。


 ゴオオオオオオオオッ!!


 GYAAAAAAAAN!!!


 逃げ道を塞がれたファラリスが咆吼を上げる。


 お、念で竜巻を操れる。

 なるほど、魔法なんだ。


 五本の竜巻がファラリスを巻き込み、はりつけのように、その動きをがっちりと止めた。


 GYAAAAAAAAN!!!!!


 よしっ!


 すくい投げ!


 新しい竜巻を作り上げる。


 私の足下を飲み込ませる。


 竜巻を上手に操作して、私は宙に舞い上がる。


「いくぞっ! ファラリス、航空相撲の開始だっ!!」


 どんどん高度を上げる。


 ファラリスは体を動かして竜巻から逃れようとしているが、逃がさん。


 さらに高度を上げる。

 土俵が下に小さく見える。


 ファラリスの頭の上を飛び越し、更に上空へ。


 新しい技を試す。


 ファラリスの上空で狙いを付ける。


 竜巻の上から手を広げ、ファラリスの額目がけて飛び込む。


――流星だ。

――私は、流星になる。


 私はまっすぐファラリスの額に向けて飛び込んでいく。

 自分自身を質量弾に変える。


「くらえっ!! 流星メテオール浴びせたおし!!!」


 ズガーーーーーーン!!!!


 GYABUTU!!!


 ズガーーーーーーン!!!!


 ズガーーーーーーン!!!!


 三段に重力魔法衝撃をファラリスの額に食らわせた。

 同時に竜巻を解除する。


 きりもみをしながら、ファラリスと私は落下していく。


 ズドオオオム!!


 ファラリスは頭から突っ込み、クレーター作って土俵に体を半分埋めた。


『フローチェ~~~!』


 砕け散った土俵の端っこに立った行司さんが、軍配を私に上げた。


 私の、勝ちだ!!


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― 新着の感想 ―
[良い点] HBV-05-E「むう、航空相撲だと!?」 ???「し、知っているのかRAIDEN!!」 HBV-05-E「航空相撲、それは遥か異世界、戦乱の地アフガニスタンで考案され発展した殺人武術! …
[良い点] 軍配すごい! トルネード発生させて舞空術だと!相撲すごい! [一言] もう関心しかないです。ひらめきに
[良い点] スモウスピリッツならすり足が高速移動しても仕方ない スモウスピリッツなら航空相撲が始まっても仕方ない スモウスピリッツ…なんて強い言霊なんだ…!
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