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Ready・グラビティ  作者: 古河川シロイ
1章 王国動乱編
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005話 少年は俺を知っている

「あ、もうすっかり暗くなってしまったな」


この世界に来てこんな暗くまで外に出たのは初めてだ。

それだけ長い道のりだったという訳だ。

途中魔物とか出るかなと期待していたけど出なかったな。

まあ魔物が出たところで俺、戦えないし。

東の平原にしかやっぱりでないのかな。

まあ平原の反対側の方向に王国は位置する。

だから遭遇する確率は極めて低いのだろう。

平原以外で魔物出た事例はないらしいから、遭遇する確率は極めて低いと言って良いだろう。

何ともこの世界はイージーモードだな。


「そうですね。王に謁見に行くのは明日の方がよろしいでしょう」


リムはそう言った。

確かにもうこの時間だとそうなる。


俺達が王国に着いた時には、もう暗くなっていた。

近いとはいえ、半日はかかるんだよな。

何で王国から屋敷は遠いんだ?

何か理由があるのかな?

遠くに住む必要のある理由とか。

もっと王国に近い場所に住めば良いのに。

レオンは貴族らしいし。


「では、今日は王国の宿に泊まってから、王様に拝謁しましょう」


「まあ、良いけど」


リムの提案で宿で休む事にした。

今日の移動でマジで疲れたし、ゆっくり休むとしよう。





チュンチュンと小鳥のさえずりが聞こえて来た。

風が俺に朝を知らせるように吹いて来た。


「ふはあー。もう朝か?」


大きなあくびを出して俺は目覚めた。


うん。宿で休んだから、すっかり疲れも取れたかな。

ベッドに入った瞬間すぐに寝たのだろう。

ぐっすりとな。

さて、王様に会いに行くか。


「レオン様。準備はよろしいでしょうか?それでは行きましょう」


「ああ、行こうか。王様に会いに。」


リムが言ったことに対して、返事した時だった。

あっ、これはやばいかもという瞬間になる。

俺は少女とぶつかる。

不意にも…


「痛っ!あ、ご、ごめんなさいお姉さん。」


8歳位の少女か?

青い髪と目をしている少女。

ん、不思議だ。

何か高級感が漂うドレスがとてもかわいい。

ドレスも青い。

そこらに普通に住む子供達とは違うのだろう。

貴族出身の家系だろうか?

俺は少々、少女に見惚れていた。

その少女が俺にぶつかってしまい、その場で尻もちをついている。

さすがに謝った方が良いかもしれない。

見惚れて肝心な事を忘れた。

 

「すまない。、大丈夫か。怪我はしていないか?」


「えっとその、す、すみません!」


少女はなぜか走り去ってしまった。

何か急いでいたみたいだけど。

一体何だったんだろう。まあ良いや。

その子の側にもう一人いて俺を睨んでいた。

これ、何か言われそうな雰囲気だよな。

一応謝っておこう。


「あの、何かすみません」


「ふん」


それだけ言って外に行ってしまった。

何かそういうツンツンキャラいるよな。

まあ良いや。


俺達は外に出た。

王国ということもあって町に活気が溢れているはず。

実際そうでもなかった。

ここに住んでいる人達はいつも通りの朝を迎えているようではある。

彼らにとってこれはルーティンなのかもしれない。

この静かさまでが決まりきっているとは思いたくない。

きっとどこもかしこも休日という事として店を閉めているのだろう。


「レオン様。王様の宮殿はあの大通りの向こう側にあります」


確かに大通りだな。

真っ直ぐな直線の。

ん、少々不可解な点を見つけてしまったかもしれない。

だから口に出た言葉だ。


「そうか。この城下町だっけ。案外簡単な造りしてんじゃない?」


想像していたのとは少しかけ離れている。

城下町というのだから敵に攻め込まれないようにもっと入り組んでいるはずなんだが。

こんな簡単な造りにしたら間違いなくすぐ攻め落とされるな。

ここの王は何を考えているんだ。

自分の強さを見せつけたいのかそうなのか?

まあ言い方悪く言うなら。

無能な王なのか。

だとしたら、その無能さがこの城下町に顕になったんだろう。

おっとこれは流石に思い込み過ぎた。

流石にこんな事言ったら俺の命は危ないだろうな。


「最近、区画整理があったからでしょうか?」


「ふーん」


王に呼び出されているんだし、早く行ったほうが良いな。

何か噂では厳しい王だとか?

一体どんな奴だろうか。


「何かどことなく王国の奴らの雰囲気が悪そうだよな。まるで何かから身を守るような、そんな感じが…」


「そうですね。やはり法律が関係しているのでしょうか。この国の徴税は極めて重く大変だと聞いたことあります。確か収穫量で言うなら7割でしたね」


「7割!多すぎだろ…」


「そうですよね」


「税収して何に使うんだか」


その税が何に使われているのかとても気になる。

7割とか破産レベルだろ…

手持ちは3割位だし…

確かにそれだったら店が続け辛い訳だし。

シャッターがしまっているのにはなんとなく理由がつく。


「全く分かりません」


リムにも分からない事があるらしい。


まあ噂通りの王らしいな。

他にも良くない法律はあるらしい。

貴族に与えられる特権。

まあ俺も身分的に考えたら貴族になるんだけどな。

貴族の前で無礼な計らいをした者を貴族裁決ってやつで処刑出来るとか。

俺はもちろんした事ないし、これからも貴族裁決を使う気はさらさら無い。

ただ貴族裁決で市民はさらに苦しめられているはずだ。

今の俺では到底変える事は出来ない。

貴族は王より下の身分であるからな。

これは当たり前の事とでも言っておこう。

まあそれだけ王の法律に逆らった奴はいないのだろう。

後、法律と言えば奴隷制度をこの王国は認めているらしい。

これも貴族裁決で市民や亜人を奴隷として扱えるらしい。

それだと王は嫌われているだろうな。

だけど、この王国の奴らは王を退位させたりしないらしい。

王に逆らえないような法律を創り上げたと言う事になるだろう。

こんな王国、俺は嫌いだ。

だから俺が変えてやる。

こういうのは誰かが言い出すべきなんだ。

というか俺みたいな貴族にしか出来ないだろう。


ん?何だ、あれは?

ちょっとした細い路地裏のところで、一人の少年が何人かに囲まれている。


「あれ、止めに行ったほうが良いんじゃ?」


「駄目ですよ。あれは多分、喧嘩ですよ。関わらない方が良いですよ」


「いや、見捨てる訳にはいかない。見捨てるって選択肢俺には無理だ。先、王様に会いに行って報告してくれ。俺は少々遅れるってな」


「えっ、待ってください」


俺を呼び止めるリムを差し置いて、俺は路地裏の方に向かった。





「おいお前ら、俺の邪魔をするな。俺は急がなければならないから…そこを退け!」


「あん?お前、俺達は盗賊だぞ。そんなんで見過ごすわけないだろ。さっさと金目のものだしな。そしたら見逃してやろう」


「そうだぞ。アニキもここまで寛大だから、早く俺達に何か渡しな。そうすれば見逃すから」


複数人の盗賊共が一人の少年を囲んでいる。

盗賊の服装は皆、ボロボロだ。

一方囲まれている少年の方は冒険者のような服装をしている。

冒険者が襲われるというのはよくある話らしい。

しかし俺はこの盗賊に対して思っている事があった。

何だこいつら?

近くで見かけた俺もさすがに腹が立って仕方ない。


「おい、君たち。一体何しているんだ?」


俺は遂にそいつらを止めに行った。


「何だ、小娘?俺達に何か用があんのか?」


「おい、待て。あの小娘、あの金色の目と髪、あ、あれは、レオン様だ」


「マジかよ?やばい殺される。お前ら逃げるぞ。すいませんでした!」


え…


盗賊達は逃げて行った。

というか、さっき、俺の事を言っていたような。

城下町では俺は有名人らしい?

そんな事はどうでも良い。

それより、少年の方だ。


「おい、少年。大丈夫か?怪我してるじゃないか」


「やっと、会えた、レオン…」


少年はその一言だけ言って倒れた。





なぜ少年は俺の事を知っているのか?

本当に気になる。

と思っている間に少年は目を覚ました。

そして不意に俺に言ってきた。


「レオン!」


「はっはい」


急な迫力に押されつい返事した。

まるで先生に名前を呼ばれるように。

少年に呼ばれただけなんだけど…


「やっぱり、お前だったか」


「どういう事?」


この少年、俺の事を知っている。

一体、何者何だ?


少年は一息ため息をついた。


「今から、俺が話す事を聞いてくれ」


「何なんだ?」


「俺は、凪、田島凪と言うんだ。そして俺は異世界から来た」


「異世界?」


この少年は異世界から来たのか?

となると俺みたいに転生したのか?

それとも、召喚されたのか?

いや、この黒い髪と目を見たら、この少年は召喚されたのか。


「そして、これから言う事も聞いてくれ」


「何だ?」


「お前は3日後死ぬ。教皇軍達によって…」


俺はその言葉に対して理解出来なかった。

理解したくもない事だった。

いきなりの死の宣告をされて。

しかし少年は堂々とはっきりと俺にそう言ったのだった。

王国動乱編開幕した…

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