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生きるものたちの境界線  作者: 睡眠吐息
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予言者

最後の星は地に堕ちる


 『世』界は光を失い

 『 』の時代が訪れる


だが

飛び散った星の欠片たちは

僅かに光を残す



 それは淡い残像のような小さな光の子供だが


 

 

 灰は再び火を取り戻し

 世界に光をもたらす礎になるであろう

           ――『グレゴリウスの予言の書 第百九十九章 第六節』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 月明かりだけが照らす部屋の中。椅子に座り、目を瞑っていた男は大きなため息をついた。

 目の前にはインクとペン、書きかけの上等な紙が机に置いてある。


「なんて、いくら後の人たちが言う『予言書』とやらを書いたところで、意味はあるのかな」


 ドアを開ける音がした。と言っても警戒する必要はない。その男が見知った人物だと知っているからだ。男は振り返り入ってきた人物に話しかける。


「どうしたんだい? 子供がこんな夜更かしするもんじゃないよ」


 優しい口調でそう言われた男……少年は顔をしかめる。その表情は子供がするものではないだろう。


「俺はお前よりも年上だ、ってのは知ってるだろ。お前こそ寿命があるんだから規則正しい生活をすべきだと思うんだが」


 年上と言ってこれほど説得力がないのも珍しいだろう。声変わりも未だ来ていない子供が言ったのだから。


「僕はいいんだよ。寿命なんてものは関係ない。自分の死ぬ未来なんてのはとっくの昔に視た未来だからね。でも、いつも思うのはこれで良かったのか。こんなもの書いたところで未来は変わるのか、凄く不安なんだ」 


「子供にそんな泣き言を言う大人がいるもんかね」


 少年はニヤリと笑った。


「君から見たら僕の方がずっと子供だろ?」


 容姿では無く年齢が、というわけだろう。


「だったら子供は子供らしく大人の言うことを聞くもんだ」


「それで? 大人の言うことってのは?」 


 男は少年に問いかける。


「さっさと寝ろ、『予言者』サマよ」


「その呼び名は止めてくれよ。それに当たらなかったら詐欺師もいい所だ」


 軽くそう言うが、これまで幾度も男が言う言葉は当たってきた。まるで未来でも視ているかのように。

男は続けて言う。


「じゃあ大人しく言うことを聞いて眠ることにしようかな」


「そうするといい」


 少年は男がベッドに横になるのを見ると、入ってきたドアのドアノブに手をかけた。


「それじゃ、おやす――」


「ねえ」


 少年は動きを止める。当然男に話しかけられたからだ。


「君は僕を、忘れないでくれるかい?」


 少年はその言葉の真意を理解することは出来なかったが、


「ああ」


 それだけ言うと、少年は部屋の外に出ていった。


「ありがとう」


 男は誰もいなくなった部屋でそう言った。


初投稿なので勝手が分からないのですが、投稿出来てますか。

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