【SS】田所青年の爽やかな朝
今回は田所さんのSSですよー!
気になっている方はご一読を(^^)
おお、晴天! 今日も爽やかな朝だ!
この頃朝が来るのが待ち遠しくてしょうがない。
理由なんかわかりきっている。駅に行くまでの道すがら偶然見つけた、路地をちょっと入ったところにある目立たない喫茶店。その店の店主であるアカリちゃんに会えるのが楽しみでならないからだ。
明るくて、コーヒー淹れるのが上手くて、飯も美味い。アカリちゃんはどこにでもいそうなごく普通の女性だけど、気兼ねなく話せるし笑顔が優しくてなんかこう、ほっこりと癒されるんだよな。
朝ちょっと早く起きて店に一番のりすれば、邪魔するヤツもいないからアカリちゃんとゆっくり話せる。
コーヒーを飲みながら世間話して、アカリちゃんが作ったサンドイッチを食べるだけで、不思議とその日一日、頑張ろうって思えるんだよな。おかげで仕事も捗る捗る。気が重いプレゼンや商談もこのところ連戦連勝だ。
アカリちゃんはもしかして俺の勝利の女神なんじゃなかろうか。
ああ、俺の彼女になってくれないかなぁ。絶対に大事にするのに。
この前勇気を出して「付き合ってる人いるの?」って聞いた時には軽く玉砕した。でも忘れられない人がいるとは言ってたけど、二度と会えないとも言ってたもんな。
二度と会えないヤツなんて、どんなに好きでもいつかは忘れる。人間なんてそんな風にできてるもんさ。だからこれは、全然諦める必要なんてないシチュエーションだ。
このまま押せばいける。
そのためにはまず、毎日通って仲良くならないとな!
弾むような足取りで、俺は今日も彼女の店に向かった。いつものドアを開けるとカラン、コロンと可愛いベルの音がなる。
「おはよう! アカリちゃん!」
おっと、つい弾んだ声が出ちゃったな、大人の男らしい落ち着きが足りなかった、と反省した瞬間。
「いらっしゃいませ」
明らかにアカリちゃんじゃない声が返ってきて驚いた。しかもアカリちゃんの顔があるはずの俺の目線の先には、可愛らしいエプロンがあるだけだ。
え? なんで?
そのまま目線を上げたら、目の覚めるような美人が恥ずかしそうに頬を染めて微笑んでいた。
プラチナみたいな見事なサラッサラのストレートヘアをゆるく三つ編みに編んでいるのも上品だし、菫みたいに綺麗な紫色の目は吸い込まれそうなくらい澄みきっている。
うわー、うわー、ロシア系? 紫の目なんて初めて見た!
あっ、もしかしてカラコンか? コスプレっていうセンもあるのか。いやぁ、それにしても美人だ。
「タドコロサン?」
小首を傾げる姿も美しい……じゃなくて!




