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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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見込みはあるの?

うわー! うわー! ビックリした!


思わず赤くなっちゃうとこだったよ。「俺はアカリちゃんが作ってくれるだけで満足だからなぁ」なんて、よくサラッと言えるなぁ。さすが営業、口が上手い。


田所さんは有名企業の敏腕営業さんだ。もちろん本人が敏腕だと言ったわけじゃないけど、この頃よく雑談するようになって話の端々でお取引様に信頼されてるんだなぁとか、何件同時で仕事こなしてるの? とか思うことが多いんだよね。


最初は割とお疲れモードでぐったりしてることも多かったけど、このところはお仕事が充実しているのか身だしなみもピシッとしてるし。


身長は神官長様と同じくらいかな。あたしより頭一つ高いから多分170cmちょいくらいだろう。黒縁メガネなのに重く見えないのは、ゆるいウェーブの明るい髪色のせいかもしれない。


以前から朗らかでよく話しかけてくれる人だったけど、このところ慣れてきたのかちょくちょくこんな感じで思わせぶりな事を言ってくるから反応に困ってしまう。過剰に反応しないように、あたしは努めて明るい笑顔を返した。



「じゃあご期待に添えるように、明日はふわふわ卵焼きサンドをご用意して待ってますね」


「お、大好物」



そして、田所さんも何事もなかったかのように嬉しそうに笑ってくれる。


よし、うまくスルーできたとほっとした。


田所さんって明るくて人当たりもいいし、もしかしたら営業というお仕事柄、相手を褒めたり相手に興味がある感じの言葉を口に出すことに抵抗がないのかも知れない。ある意味罪作りな人だなぁ。



「ところでさ」


「はい」


「アカリちゃんって付き合ってる人とかいるの?」



いきなりの踏み込んだ質問に、思わず答えにつまってしまった。おじいちゃんがこのお店をやっていた頃からの常連おじいちゃん達からも割と聞かれるこの質問、まさか田所さんからまでされようとは。



「残念ながらいないですね。でも、大好きで大好きで、諦めきれない人ならいますよ」



言いながら、ふと笑ってしまう。常連おじいちゃん達からは、うじうじしないで突撃しろって応援されたり、フラれたのか元気出せって励まされたり、まさか不倫かと心配されたりしたっけ。


でも田所さんは笑いもしなければむやみに心配したりもしなかった。


少しだけ眼鏡を押し上げて、真面目な顔で「見込みはあるの?」なんて聞いてくる。その質問は地味にあたしの心を抉った。見込みなんてあるわけがない。



「いやいや、もう何百回もフラれてて、見込みがないどころか二度と会えないんですけどね」


「何百回って」



笑いたくもなるだろうけどこっちは大真面目だ。毎日何度も告白してはフラられたわけだから1ミリも誇張じゃない。泣きたい。

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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