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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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仲直りのアイテムは

いつもはどんなに「もう帰れ」とか言われてても軽く流すやんちゃ君が、あんなに語気荒く言い返すだなんて初めて見た。


そして、クール君も今日は口癖の「もう帰れ」が出てこない。すごく気まずそうに、やんちゃ君から目を逸らしている。


ほんといつになく険悪な雰囲気だなぁ。



「持ってけって。せっかくの誕生日プレゼントなんだから」


「だから要らないよ。当たったのはお前だろ。だいたいこのコンサート、お前の方が楽しみにしてたじゃないか」


「絶対ファンになるから! お前に見てほしいんだって」



なるほど、コンサートチケットを一緒に申し込んだら、片方だけ当たっちゃったっていう気まずいパターンか。しかも当たったやんちゃ君はクール君に譲ろうとしてるワケね。そりゃああたしでも断ると思う。



「あのなぁ、こういうのは本当に好きなヤツが行くべきだ。そうじゃないとチケットが当たらなかった人にもお前が好きなグループにも申し訳ないだろ」


「でも……!」



二人の言い合いを聞くともなく聞いていたその時、急に脳裏に見なれたお菓子が浮かんだ。


これは……ポテチ!!


ある。確かにお仕事後に食べようと思ってた買い置きがあるけど。


不思議なことに、閃いたもので今まで用意出来なかったものはない。たぶん、あたしが用意できる物だけがこうして導きのアイテムとしてご神託に現れるんだろう。


ポテチを小さなお皿に可愛く盛って二人の席に近づいたら、やんちゃ君は悔しそうな顔でもはや涙目だった。クール君は困ったように口を開く。



「あのなぁ、お前は泣くほど好きなグループのチケット譲ってすごいプレゼントした気になると思うけど、俺的にはそこまで嬉しくないんだよ」


「だから、そういう言い方がムカつくんだって!」



うう……割って入りづらい。こっちの世界でのお導きってこういうパターン多いんだよね。でもそれだけに、このアイテムを今持っていくのが大事なんだろうってことがなんとなくわかるから。



「はい、どうぞ」



あたしは、勇気を出してポテチの皿を二人の間にコトリと置いた。


えっ……っていう顔になるのは当然だから、あたしはすぐに「サービスだから、良かったら食べて」って言い添えてから席を離れる。


後ろから、「お前が大声出すから気をつかわせちゃっただろ」なんて聞こえて来たから、やんちゃ君にちょっと申し訳なかった。別にそのせいで持って行ったわけでもないんだけどね。


少しだけ二人の間に沈黙があって、あたしも僅かにドキドキする。


あのアイテムで何が変わるっていうんだろ。

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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