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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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ケンカなの?

「お前なぁ、なんだよその言い方! もっと喜んでくれたっていいだろ!!」



突然店内に大声が店内を響いて、あたしの肩はびくっと跳ねた。おもわず声の方に振り返れば、小さなカフェの中で視線を一身に集めてしまってあわあわしている男子中学生が目に入る。


叫んだ拍子に勢い余って立ち上がっちゃったんだろうに、周囲を見回して気まずそうにしおしおと座るの、地味に可愛いな。


向かいに座っている同学年っぽい男の子は逆に、動じる素振りも見せずに「こんなとこで大声だすなよ、恥ずかしいな」なんて憎まれ口を叩いていた。いつも思うけど、この子は特に年齢の割にクールだよね。


それにしても珍しいな、この子達がケンカっぽい感じを見せるだなんて。


この子達はたぶん近所の中学校に通っているだろう、若い常連さんだ。最初はクール系の子だけが頻繁に来店していた。学校帰りに寄ってくれてたのかな。窓から一番遠い席で、いつもレモンティーを一杯だけ頼んで黙々と本を読んでるの。


ああ本好きなんだな、あんまり話しかけられるのは得意じゃなさそう。そう思って最低限の会話しかしていなかったけれど、それでも彼はこの店を気に入ってくれたのか毎日のように来るようになった。メガネでいまひとつ表情がわからないけど、彼が落ち着ける場所になったのなら嬉しいな。


そう思っていたら、ある日友達を連れてきたんだ。


それがさっき怒鳴っちゃって気まずい感じになってたあのやんちゃそうな男の子だった。


連れてきたっていうのは語弊があるのかな、ついてきちゃったっていうのが正しいのかも知れない。



「うっわオレこういう古そーなトコ初めて来た!」


「レトロな雰囲気、って言うんだよ」


「あっ、オレはコーラ! あ、あとなんか腹もちいいのがいいなぁ。ハンバーガーとかポテトとかねえの?」


「それならそこらのバーガーショップでいいだろ。お前が行きたいっていうから連れてきたのに。お前もう帰れよ」



そんなやりとりが微笑ましかった。それからはちょいちょいやんちゃ君も一緒に来店してくれるようになって。


何かにつけ声が大きいやんちゃ君に「声がデカいんだよ、お前もう帰れ」「うるさいな、お前もう帰れ」「少しは黙っていられないのか、お前もう帰れ」なんて、クール君はふたことめにはお前もう帰れって言ってて。


それでもやんちゃ君はその言葉を気にする様子も一切なく受け流して、陽気に笑いながら一緒にやってくる。仲がいいのか悪いのかが不思議な二人なんだよね。


でも、今日だけはちょっと様子が違った。

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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