かけがえのない友人に、感謝を
コールマンの言葉に己を反省した私は、あれからというもの少し遠方の街や村に遠征するようになっていました。
遠征するには体力も気力もこれまで以上に必要です。食事に気を使い、良質な睡眠をとるための方策も抜かりなくうつうちに、体も徐々に遠出に耐えられるようになってきました。
まだ二、三日おきに王都に戻るようには言われていますが、それがなければもっと遠方まで足を伸ばすことができるでしょう。
まだ見ぬ人々が笑顔になる、それを想像するだけで力が湧きます。
今の私ならばきっと、女神エリュンヒルダ様のお心にもかなうでしょうし、アカリにも胸を張って会える気がします。
今日も遠征から戻り、ひといきベッドに身を横たえていた私は、何か音がするような気がして目を覚ましました。目を開けると部屋の中はむしろ眠りに落ちた時よりも明るいのに驚きます。どうやら半日以上眠ってしまったようです。
頭上の窓からコツン、コツンと再び音がして見上げると、白い可愛らしい小鳥が窓を嘴でつついていました。
どうやら王城へ来いという合図のようですね。
苦笑しつつ窓を開け、餌を与えて鳥を送りかえした私は、早速登城の準備を始めます。ある意味ちょうど良かった、私もそろそろもう少し遠くまで遠征できるよう交渉しようと思っていたところでした。
「おっ、来たな」
「待ってたわよ」
王城に着くと、そのままユーリーン姫の謁見室に通されます。傍にはもちろん、聖騎士コールマンも控えていて、慣れ親しんだ友人たちの変わらない笑顔に、私はどこか安心する自分を感じていました。
「この前会った時よりも顔色が良くなっているわ。日にも焼けたわね」
「うん、クマもねえな。えらいえらい」
「そんな子供みたいに」
一歩外に出れば神官長という立場故に頼られてばかりいる私も、二人からしたら手のかかる友人なのでしょう。特にアカリがいなくなったあの日からは、こうして心配されるような言葉ばかりを聞いてきた気がします。
「そりゃあなぁ、アカリが帰っちまってからはまぁ、神官長様ともあろう者が見る影もなく萎れちまってたからなぁ、自殺でもするんじゃねえかってこっちは気をもんだんだぞ」
「ホントに。気力が出てきて何よりだわ、心境の変化でもあったの?」
そんなにも心配をかけていたのか、と改めて申し訳ない気持ちです。これまで傍で私を励まし続けてきてくれた友人たちの懐の深さに、感謝するばかりです。
私は、かけがえのない友人達に、私の思いを吐露する決意をしました。




