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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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麗しの美女、降臨

爽やかな朝だわぁ。


何せ今日の夢見は最高だった。


神官長の顔色がびっくりするくらい良くなってたの! しかもコールマンやユーリーン姫と一緒に笑いあったりしている姿も見えて、なんかもうそれだけで眼福だった。


どんな表情も魅力的ではあるけれど、やっぱり笑顔でいてくれる方が断然いいもの。


今日はいいことありそうだなぁってお店を開けて、たくさんのお客様と接したけれど、意外と何もおこらずに夜を迎える。


最後のお客様を送り出して店を閉め、後片付けをしている時だった。



「あっ……」



脳裏に何か閃いた。


……かき氷かな、これ。しかもトッピングとしてバニラアイスと練乳、フルーツがもりもりトッピングされたゴージャスなヤツだ。


なんとも季節ハズレだなぁ。うちでも夏場はもちろん提供するけど、もう随分前に冬物に切り替えてしまっていた。ただ、かき氷用の蜜もあるしアイスクリームは通年で提供しているから問題ないし。


戸棚の中からいそいそとかき氷器を取り出して、冷凍庫の中の氷も確認してみた。よしよし、これなら何とかなるな。練乳やフルーツ系も色々ある。だいたいのご要望にはお応えできるに違いない。


よし! と思ったところに奥の四人がけの席がまばゆく光った。異世界からの旅人が来るときは、やっぱりあの奥の四人がけの席なんだよねぇ。あの場所に異世界への扉でもあるんだろうか。


割とどっからか落っこちてきたみたいなパターンが多いんだけど、今日はそういう音がしないな。不思議に思って席に近づいたら、光の中に淡く淡く何かが浮かんでくる。


だんだんと輪郭がはっきりとしてくると、ソファの上にひとりの美女が現れ出ていた。


なんだか前にテレビで見た、昔々の中国の王朝の貴人が着ていたような薄布を多用した美しい衣装を身につけている。お化粧も髪飾りも特殊だけれど、とても煌びやかで美しい。


うっわ、綺麗な人。……でも、さめざめと泣いていて、まだ自分が異世界にいることも、私の存在にも全く気づいていないみたいだ。


見ているだけでも目の保養だなぁと思うけれども、そのままにしておく訳にもいかないし。


私は勇気を出して、小さく声をかける。



「あの……」


「!?」



バッと顔を上げ、驚愕の表情で私を見た美女は、険しい表情で叫んだ。



「なにやつ! 誰か、誰かある! 賊ぞ!」



おお、身分の高いお方でしたか。しかし残念ながら誰も助けてはくれないんだよね。


美女は店内を見回して「な、なんじゃここは……!」と驚いた後、急に泣きそうな顔で必死であたりを見回し始めた。



「タオラン……タオランはどこじゃ!」

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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