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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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進路って難しいよね

タブレットをあげた常連さん、よっぽど嬉しかったんだろうなぁ。


翌日「すっごくプレゼンうまくいったよ!」って報告に来てくれて、それからはちょくちょく朝早くに立ち寄ってくれるの。ここで少し気持ちを整えてから出社するようにしてるのかな。


きっとプレゼンがうまくいって、仕事へのやる気が漲ってるんだろう。お導きがうまくいって、本当に良かった。


ああいう嬉しそうな顔を見るのはこっちも嬉しいけれど、泣きそうな顔や怒り顔は知らない人でも苦手だ。だから、さっきから飲み物すら飲まずに険悪な雰囲気になっている親子連れが気になって仕方ない。


大丈夫かなぁ。お母さんも娘さんもすごく悲しそうで、今にも泣き出してしまいそう。


ものすごーく気まずいけど、オーダーされた物がある以上、それを持って行かないわけにもいかない。お母さんが頼んだパフェをトレイに乗せて、私はしずしずと問題のテーブルに近づいた。



「お待たせしました、ピーチパフェです」



二人とも無言でうつむいていたけれど、私の声に反応してお母さんが顔を上げてくれる。



「この子に」


「はい」


「いらない、ダイエット中だもん」


「もう……せっかく好きだと思って頼んだのに」


「あたしは頼んでない。勝手になんでも押しつけないで」



うはぁ、娘さんもしかして絶賛反抗期なんだろうか。その割にはお母さんと二人でカフェに来るって珍しけど……っていうかこのパフェ、どうするかな。



「しょうがないな、じゃあ私が貰います。すみません」


「待って」



お母さんが苦笑しつつ私を見た時、娘さんがふと顔を上げた。意志の強そうな、ちょっとつり目の可愛い子だ。この制服ってことはこの近くの高校かな。



「無理して食べなくていいよ。ママ、甘いの嫌いなくせに。パフェは食べる、でも大学は行かないから」


「だってやりたいことがあるわけじゃないでしょう。先生も成績的には充分に進学できるって」


「もう勉強したくないって何度も言ってるし!」



ああ、学校で進路相談でもあったのかな、進路って難しいよね。親の気持ちも、自分の気持ちもあるもの。どっちもより良い未来を考えてるだけなのに、すれ違うことはとても多い。


今二人は、まさに人生の中で大きな選択をしようとしてるんだ。結果がどうなるにしても、お互いにできる限り心の内を話せた方がいい。それが難しいことなのは、色んな人を見てきて私もしってるけど。


私は邪魔をしないように、静かにパフェを娘さんの前に置いて、カウンターの中へと戻る。


その時、脳裏に意外な物が閃いた。


これは……チョコレート?

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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