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出戻り聖女の忘れられない恋  作者: 真弓りの


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これが嫉妬というものでしょうか

寝不足による失態をこれ以上犯さぬよう、リラックス効果があるお茶を飲み、眠りの香を焚いて部屋の灯りを落とす……できるだけ安眠できる状況を整えて、私は気合いを入れて眠りにつきました。


努力の甲斐あって、多分予定通りたっぷりと睡眠はとれたのでしょう、気がついたら朝でした。


しかし、たっぷり眠ったにもかかわらず私の体はずっしりと重く、正直に言いますと気分もすこぶる落ち込んでいます。



「夢見が悪すぎです……」



アカリのことを想いながら眠りについたからでしょうか、夢にアカリがでてきました。


可愛らしいお店の中で、アカリは穏やかな顔で何か料理を作っているようでした。夢の中でアカリはいつも、この店の中で多くの人に手料理をふるまっています。これが私の願望なのか、アカリが今暮らしている場所なのか、それは私にもわかりません。


ただ、アカリはいつも笑顔で人々に相対していて、彼女の変わらない笑顔を見ることが出来るこの夢は、いつも私を勇気づけてくれるものでした。アカリの手料理を食べて笑顔で店を出て行く人々を見ながら、私は微笑ましくもアリ……少し、羨ましくも思っていたのです。


なんせ彼女が料理をするだなんてこの夢で見るまでは想像したこともなかったのです。神殿に居たときも旅の間も私たちの周りには専門の料理人が常にいましたし、彼女も腕をふるうタイミングがなかったのかも知れませんね。


今日もアカリは楽しそうに彩りの良い食事を手早く準備しています。そして彼女は、窓際の席でテーブルに伏している男性に食事を給しました。


飲み物の香りを楽しんだ以外はずっとぐったりとしていたその男性が、彼女の手料理を見た瞬間に笑顔になります。まるで彼を覆っていた暗雲が瞬時に晴れたように明るい顔でした。


彼女と親しげに話し、みるみる生気を取り戻していく男性。いつもは人々が元気になる姿を見るとこちらも温かい気持ちになるというのに……今日はなぜでしょうか、胸がチクリと痛みます。


彼女の手料理を、当たり前のように食せる彼が羨ましい。


しかもアカリは彼に何か特別なものを渡しているようでもありました。それを大事そうに受け取り、店を出て行った彼の幸せそうな顔といったら。


私は、頭を何か見えざる手で殴られたくらいに強い衝撃を受けました。彼が、アカリに抱いたであろう感情が、その表情から容易にくみ取れてしまったからです。



「この時間にくればゆっくり話せるんだな。よし、早起き頑張ろう」



店を出た彼が噛みしめるように呟いた言葉までもが、寝起きの頭の中でなぜかぐるぐると周り、胸のあたりがじくじくと痛んで仕方がありません。


以前聞いたことがあります。人を好きになることは、綺麗な感情ばかりではないのだと。


もしかして……これが、嫉妬というものでしょうか。

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『出戻り聖女の忘れられない恋』
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