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紋無し貴族の迷宮記  作者: 黑咲零
2/3

自由への扉

※世界観は 中世 及び ファンタジー世界


転生も転移もしません


初めて書く作品ですので 誤字脱字もあるかもしれませんし


文章は下手くそで 言葉のボキャブラリーも致命的なほど少ないです


でも どこかで誰かが読んで 楽しんでくれたらいいな とゆう希望だけで書いています


2000~3000文字程度で更新していこうと思っています


もし宜しければ 感想・ご意見・ご指摘 など頂けたら嬉しいです

モトミユが屋敷に向かっている頃


書斎では難しい顔をしたテユリナ・ヤアカネ(モトミユの育ての親)公爵が窓の外を眺めていた

[モトミユの紋章式か・・どうしたものか・・・]そんな事を考えながら顎髭を触る


コンコンッ 書斎の扉をノックする音に ふと我に返りテユリナ(モトミユの育ての親)は声を出す

「入れ」 その言葉を受けて扉が開き 青年が入ってくる

「父上 紋章式の準備が終了致しました」

「そうかワナナコ ご苦労」


入って来たのは 紋章式の準備をしていたワナナコ・ヤアカネ(モトミユの義理の兄)男爵であった

「どうなさったのですか? 父上 眉間に皺など寄せて」

「モトミユのめでたい成人の日だとゆうのに そのような険しいお顔で」

「うむ・・」 言葉少なげに書斎の皮張りのソファーに腰を下ろす


ワナナコ(モトミユの義理の兄) 其方も座れ」

「はい」 父に言われ 向かい合うようにソファーに腰を下ろす

しばしの沈黙ののちテユリナ(モトミユの育ての親)が静かに話を始める


「其方も知っておるように 紋章式では真名を唱えねばならぬ」

[あっ] 思い出したようにワナナコ(モトミユの義理の兄)の表情が変わる


【真名】とは生まれた時に両親が神に伝えた名前(現代でのフルネーム)

成人した事を神に伝え 真名に神からの祝福の力を頂く儀式が紋章式である

すなわち真名が唱えられぬ者には 神からの祝福の力は頂けないのある


「其方には少し伝えてあるが モトミユ・ヤアカネは真名では無い」

「ではモトミユの真名を唱えやればよいだけの事ではありませんか? 父上」


またしばしの沈黙ののちテユリナ(育ての親)が重い口を開く

「それはできん・・モトミユの両親を明かす訳にはいかんのだ」

「それではモトミユは神の祝福を 紋章を手に出来ぬではありませんか!」

強い口調で父に言葉をぶつけるワナナコ(モトミユの義理の兄)

険しい表情で何も答えないテユリナ(モトミユの育ての親)


[それほどまでにモトミユの出生は重大な秘密なのか・・・

紋章官である父上が真名を隠すなど聞いた事もない

しかし紋章が得られないのであればモトミユの人生は・・・

本当の兄弟のように過ごしてきた いや!!実の弟だと思っている

その大切な弟の大切な紋章式なのに・・・]

何も出来ない自分の不甲斐無さに 表情が曇る

顔を上げて父上を見つめると 同じように表情が曇っていた


モトミユを自分の息子として愛してきた父親としてテユリナ(モトミユの育ての親)

同じように どうにも出来ない事に不甲斐無さを感じていたのであった

長い沈黙と 重い空気が書斎を包み込んでいた


丁度その頃

屋敷の裏手にある使用人が出入りする調理場の勝手口の扉が勢いよく開いた

調理場に居た数人の使用人が一斉に勝手口に視線を移す


「ただいまー 野兎を捕ってきたぞー」

ドンっとゆう音と共に巨大な肉の塊をテーブルに載せて

満面の笑みを浮かべるモトミユ

「あらっこれは立派な野兎ですね モトミユ様」

「また森へ出掛けていたのですか?」

「旦那様に叱られても知りませんよ」

笑顔で使用人達がモトミユに答える


その中に居た初老の人物がモトミユに元に歩を進める

白髪を綺麗に整えビシッと黒い上下の衣類に身を包み

ピンっと伸びた背筋に 鋼でも通っているのかとたまに思うような姿勢の良さだ

「モトミユお坊ちゃま またそのような恰好で」

呆れたような表情でモトミユを見つめながら言葉を続ける

「昼食を御準備致しますので湯浴みを」

「わかったよ ダアオイ(ヤアカネ公爵家執事) 湯浴みをしてくる」


元気に答えるとドタドタと湯浴みに向かうモトミユ

その後ろ姿に すかさず言葉を投げるダアオイ(ヤアカネ公爵家執事)

「お屋敷中ではお静かに大きな足音はお止めください」

アハハハッ 笑いながら走り続けるモトミユ

クスッ 小さな笑いに包まれる調理場

それを見て呆れながらも 少しだけ頬を緩めるダアオイ(ヤアカネ公爵家執事)


屋敷中では モトミユの居場所は笑い声と足音でわかると

すべての者が言うほどなのだから この程度は仕方のない事なのだ


湯浴みを終えると すでにダアオイ(ヤアカネ公爵家執事)が着替えを手に待機していた

また堅苦しい恰好をしなければいけないのかとモトミユは思う

屋敷に居るのはモトミユにとっては窮屈でしかなかった

5才の時に偶然 忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)の入口を見つけ

9才からは毎日 忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)に籠っていたのだ


父上は以外に放任主義で やる事さえやっていれば他の事は何も言わなかった

だから王国史や魔術など様々な書物を持って忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)

忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)で勉強し 迷宮で食事をする為に獣相手に剣術の練習をする

モトミユにとって忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)は自分だけの学校でもあったのだ


そんな事を思い返しながら堅苦しい貴族の姿に着替え

ダアオイ(ヤアカネ公爵家執事)と共に食卓へと向かう

巨大とも言えるテーブル 父上も兄上も居ない食卓は好きにはなれない

しかし父上も兄上も忙しい身なのだから仕方がない

独りで食事を口に運ぶ [やはりあんまり美味しく感じないな]

口にはしないが そんな事が頭に浮かぶ


食事が済めば【紋章式】だ [成人の儀式さえ済めば自由なんだ]

そう思うだけで 今の窮屈な姿も我慢出来た

さっさと食事を済ませて 父上の書斎に向かう

足取りも軽い [これで大人の仲間入り 僕は僕の好きに生きる]


書斎の重厚な扉の前に立ち 一呼吸

そして扉を叩く コンコンッ

[これが僕の自由への扉だ]

次回 紋章式


紋章について詳しく書いています

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