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紋無し貴族の迷宮記  作者: 黑咲零
1/3

始まりの迷宮


ガイユウカ王国 広大な大陸の6割を所有する大国


王国の王族・貴族など力を持つ者の証【紋章】そんな紋章を持つことが出来なかった貴族の少年


紋章が持てないのには理由があった。しかし その理由は本人には知らされていない


紋無し[紋章無し]と呼ばれる少年は【忘却の迷宮】で過ごしながら


少しづつ少しづつ 自分の力で 自分自身の夢を見つけ 夢を追い続けていく


そんな数奇な運命を背負った少年の人生が やがて王国すべてを変えていく




※世界観は 中世 及び ファンタジー世界


転生も転移もしません


初めて書く作品ですので 誤字脱字もあるかもしれませんし


文章は下手くそで 言葉のボキャブラリーも致命的なほど少ないです


でも どこかで誰かが読んで 楽しんでくれたらいいな とゆう希望だけで書いています


2000~3000文字程度で更新していこうと思っています


もし宜しければ 感想・ご意見・ご指摘 など頂けたら嬉しいです


「今日は野兎だ 結構大きいなコイツ」そう言いながら穴を覗き込む少年

覗き込む少年の先には 彼の背丈ほどの深さの穴

穴には鋭利な矛先のように切り揃えられた木材が天に向かうように並び

木材の矛先に突き刺さるように 野豚のように巨大な野兎が息絶えていた

この穴は毎日定期的に見回りに来ている彼の作った罠の一つなのだ。


「ここまで大きいのは 久しぶりに見たな」 ニコニコと笑みを浮かべながら

手に持った槍の鉤爪に野兎を引っ掛けると勢いよく引き上げた

野兎から滴る血など気にも留めず 一気に巨大な野兎を肩に担ぎ上げると

スタスタと歩き始める。


しばらくすると小川が見えてきた

その小川にザブザブと歩を進め 槍を川底に深々と突き立てた

次に野兎を小川に放り込むと槍と野兎の足を縄で繋ぎ

腰の鞘から()()()()()()()を引き抜くと慣れた手つきで野兎をバラしていく。

あっとゆう間に肉から皮が剥がれ 内臓はブンッと川辺に放り投げられた

残った皮と肉を丁寧に洗い終わると濡れた手を無造作に服に擦り付け水気を取る。


満足げに頬を緩ませたあと 少年は左手の指を口元に当て勢いよく指笛を鳴らす

ピィーーとゆう綺麗な指笛の音が遥か彼方まで響き渡り消えていった

次の瞬間 天から何かが落ちてきたかのように 翼を広げた鳥獣が飛来し

川辺に放り投げてあった野兎の内臓を鋭利な嘴(クチバシ)で食べ始めた。


やがて全ての内臓を平らげ 鳥獣は小川の水に鋭利な嘴(クチバシ)をつけると

少年に鋭い眼光を向けた。


次の瞬間! 翼を羽搏かせ鳥獣が少年に一気に迫ってくる

動かない少年の腹部に鋭利な嘴(クチバシ)を向けながら 一瞬で距離を詰めた

翼を畳んでいても少年よりも大きく 翼を広げれば少年の数倍もの大きさになる鳥獣

人をも餌にしてしまいそうな鳥獣の鋭い眼光に恐怖で動けないのは普通である。


そんな絶体絶命の中 少年は笑顔で言葉を発した


「キクルミ 元気にしていたか? また大きくなったなお前」

鳥獣は額を少年の腹部に擦り付け 小さくクゥッと鳴いていた

キクルミと呼ばれている鳥獣は10年前怪我をして飛べなくなっていたのを

少年が拾って育てた【鳳凰鷲(ホウオウワシ)】とゆう種類の鳥獣であった。


鳳凰鷲(ホウオウワシ)は鳥獣類最大種で森の守護主とも呼ばれ希少で

森を守る為にドラゴン種をも倒す事があると言われているほどだ


キクミル(ホウオウワシ)が水浴びをしている横で

少年は野兎の血で汚れた衣服を小川で洗っている。


『モトミユ!どこに居るのだ? 今日は屋敷に居るように言われたのではないか?』

頭の中で思念(シネン)の声が響いた

[あっ忘れてた・・・]とっさに昨晩父上に言われた事を思い出した・・・

『申し訳ありません 兄上 今から戻ります』

『まったくお前は・・昼食のあと父上の書斎に行けば間に合うだろう』

『はい 兄上』

『気を付けて戻るのだぞ モトミユ』


特定の人物に言葉を伝える為の思念(シネン)を切ると

キクミル(ホウオウワシ)に一瞬目をやり声を掛ける

キクミル(ホウオウワシ) またな!」

「キィィー」

急いで野兎の皮を腰の皮ベルトに引っ掛け 肉を担ぎ上げると走り出す


数分走ると小さな洞穴のような物が見えてくる

背を屈めてやっと通れる穴をゆっくりと進み

撓る ()()()()()()を掻き分けていく

暫く進むと ()()()()()()()で覆い隠された出口を抜けた


「ふうっ やっぱり肉を担ぎながらだと大変だな」

そんな事を呟きながら後ろを振り返る


目では確認する事は出来ないが

そこには獣や魔物が嫌う ()()()()()()()に覆われ

剣で切ろうとしても撓って切れないとまで言われる

()()()()()()の竹林で隠された迷宮の入口があった。

さきほどまで居た森や小川は 迷宮の中にあったのである。


この場所は(イニシエ)には【始まりの迷宮】と呼ばれ

地上に初めて出来た迷宮と呼ばれていたが

数千年の時の流れの中で人々の伝承からは消え

今や誰も訪れる者さえ居なくなった まさに忘れ去られた忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)

少年だけが その存在を知り 独りで過ごす秘密の場所となって

11年の月日が経っていた。


「今日も獲物を ありがとう」忘却の迷宮(ロスト・ラビリンス)に声を掛け

踵を返しまた走り出す

[遅れるわけにはいかない・・・]走る足に さらに力を込めて急ぐ


この少年の名は【モトミユ・ヤアカネ】

数日前に16才になり 今日は成人の為の重要な儀式

紋章式(モンショウシキ)】が屋敷で行われるのである


数奇な運命を背負っているなどとは知らない少年。

この少年によって動き出す大きな時代の波。


今はまだ何も変わらぬ日々。


ただ・・・時代は確実に動き出している・・・



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