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異世界転生したので、現代野球の知識を駆使して無双するつもりだったのに女子しかいません!  作者: とんこつ
百合ケ丘サンライズvsフライングジャガーズ
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第35話 vsジャガーズ【4回裏】ヒットボール

 リードを許して迎えた四回裏。俺たちは円陣を組んだ。


「みんな、締まっていくぞ! これからが本当のスタートだ!」


「本当のっていうのはよくわからないけど」とさらら。


「2点差ぐらいすぐひっくり返すよー!」と小さな胸をめいっぱい張るのはつるちゃんだ。


「俺は、まだまだみんなと野球がしたい!」俺は円陣の中心で声を張り上げた。


「だから――だから、力を貸してくれ!」


「行くわよ!」ジョーがすう、と息を吸い込んだ。


「GO! SUNRISE!!!」


☆ ☆ ☆


「サンライズだってよ。しゃれた名前をつけやがって」とマウンド上のダガーJ。


「次の打者は“エクスプレス”、俊足の鶴ガールか」


「ああ」冷徹な返事はアレックス・バーンバスター。


「リードしているとはいえ2点だ。鶴ガールには回ったとしてあと1度。この回で潰しておこう」


 アレックスの言葉に本当の意図を汲み取ったダガーJが口笛を吹いた。


「ヒューッ! 相変わらず真面目な顔しておっかないねえ、アレックスちゃん」


 俺だってそんなこと考えつかねえぜ、とダガーJ。「しかもこっちがリードしているのによ」


「問題ない」とアレックス。


「すべては、勝つためだ」


 確実にな、と答えたアレックスはマスクをかぶり、ホームへ戻っていった。


☆ ☆ ☆


「うわー!」


 四回裏、先頭打者は俊足のつるちゃん。――が、左足を押さえて倒れ込んだ。


「デ……デッドボール!」


 ダガーJの豪速球。その3球目がつるちゃんの左太ももに直撃した。俺はベンチを飛び出し駆け寄る。


「大丈夫か、つるちゃん!?」


 この時代の打者はプロテクターなど存在しない、文字通り生身だ。大腿部が腫れ上がり熱をもっているのがユニフォームの上からでもわかった。


「骨は……折れてないようだな。歩けるか?」


「つるちゃん! 大丈夫!?」心配した妹・かめちゃんもベンチから飛び出してくる。


「手当が済んだらとっとと一塁に行ってくれるか」頭上から冷徹な日本語が降ってきた。


「――アレックス・バーンバスター、てめぇ……」


 俺は歯を食いしばってその巨漢を睨みつけた。大きな漆黒の瞳。今のデッドボールでは、アレックスは捕る素振りすら見せなかった。つまり、計算ずくの死球。俺は両拳を力いっぱい握りしめた。 


「エージ・アオシマ。なかなか知的な戦略を使うと聞いたが、デッドボール程度でいきり立つようではまだまだスクールボーイだな」


「なんだと!?」


 立ち上がった俺をかめちゃんが制する。


「おまえたちは遊びでやっているかもしれんが、俺たちはレジャーでやっているわけじゃないんだ」


「ッ――俺たちだって……」


 もう答えることはない、とばかりにマスクをかぶり直すアレックス。口を開きかけた俺を、今度はつるちゃんが止めた。


「エージ……私は、大丈夫だから。頑張って、打つもん……」


 半べそをかきつつ、左足を引きずりながら一塁へ向かうつるちゃん。俺はなにも声をかけられずに見送る。


「エージ! よく手を出さなかったな、成長したじゃねえか」


「冥子に言われたかねーよ」


 ベンチに戻ってきた俺に冥子の軽口。打席には3番・紫電キリエが入っている。


「キリエ、頼むぞ……!」


 形はどうあれノーアウト一塁。俺はキリエに声をかけた。

 しかし、キリエはチームのブレインではあるものの、バッターとしては非力だ。


「これでも喰らいな!」


 ダガーJのスパイクカーブにまったくタイミングが合わず、三振。1アウトでネクストはジョー。


「ジョー、さっきと同じように出鼻を叩いてやれ!」


「ラジャー。任せといて、エージ! みんな!」


 勇ましいサムズアップとともに打席に向かうジョー。しかし……


「一転、直球攻めか……」


 俺は歯噛みをする。初打席でとらえられたスパイクカーブは左右のボールゾーンに散らし、ストライク低めには徹底的に直球を集める。アレックスの見事なリードに俺は舌を巻いた。


「ガッデム……!」


 結果、2-2から直球に押し負けたジョーの打球はセカンドへの力ないゴロ。満足に走塁ができないつるちゃんは二塁でフォースアウト。ダブルプレーで一気に攻撃終了となった。




【四回裏終了】百合ケ丘サンライズ0-2フライングジャガーズ

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