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第一話 始まりを告げる、夢の始まり





「……はぁっ、はぁっ、はぁっ」


 男は走った。


 真っ赤に燃える家、人、動物、空から。


 それは、地獄だった。


 現実では有り得ない。


 そんな地獄の光景の中、断末魔の叫びや嘆きを聞きながら必死に走った。


 しかし、頭上で地獄の剛火が燃え上がり、家の瓦礫が降り注いできた。


 そこで、男の目の前は真っ暗になった。




 次に目を覚ますと、青い空だった。


 とても綺麗で、さっきまでの出来事が嘘のようで、男はほっと息を吐いた。


 落ち着きを取り戻して辺りを見回すと、遠くに街が見える丘にいた。


「…はぁ、嫌な夢だった……ん?」


 言いかけた刹那、ふと空を見上げると青い空に米粒のような物体を見つけた。


「なんだ?あれ?」


 目を凝らして見ていくうちにその物体は街の上空で旋回していった。


「何をしに……」


ピカッ


 遠くの街の上空で火の玉が炸裂した。


 それはまるで、太陽のようで、けれど本物の太陽のような温かさは全然無くて、ただ見つめていることしかできなくて。


 その火の玉を中心にどんどん街が燃え上がった。


 爆風で全てを吹き飛ばしながら。


 自分のいる丘にもその火の玉から発せられた突風が吹き荒れた。


 両腕で顔を庇い、腰に力を入れて吹き飛ばされないようにしていたが、飛んできた草や花が自分の顔を、腕を切り裂いていく。


 突風が過ぎ去り、なんとか吹き飛ばされずにすんだ男は所々ズキズキする腕を顔から離して徐々に目を開けた。


 目の前に広がっていたもの、それは、大きな、とても大きなキノコ雲だった。


 空はとても黒く澱み、街から飛んできたのだろうか、火の粉が舞っていた。


「一体何なんだ…これは?」


 そう言って、右手を空に向けて伸ばす。


ボトッ


 すると、何かが降ってきた。


「…?」


 それは、人の腕だった。


「う……うぁーーっ!」




「…はぁっ、はぁっ」


 汗だくの男がベッドから起き上がり、落ち着くために深呼吸をした。


「…はぁ、またあの夢か…」


 彼はあんな夢を最近よく見るようになっていた。


「一体なんだってんだ…けど、夢にしてはあんなのリアルすぎだし…」


 始めはこんな珍妙な夢を見てしまう自分に少し微笑するほどの余裕があったのだが、最近は毎日といっていいほどあの夢を見るようになってしまい、全然笑えなくなってきていた。


 一体何なのだろうか?そう、考えていると目覚まし時計が鳴り響いた。


「って、やべっ!急がないと」


 彼はベッドから降りて、急いで身仕度をし、部屋を出ていった。



キキーッ


「ありがとーっ」


 黒塗りの車から急いで降りて、運転手にお礼を言った後、彼はコンクリートで出来た建物に小走りで入っていった。


 建物の入口には、『帝国情報局』と書かれていた。



コンコン


「啄木鳥隊隊長、結城和也ゆうき かずや、只今到着しました」


「ぉお、結城君かね?入りたまえ」


 局長室と書かれたプレートが貼ってある扉のドアノブを捻り、彼、結城和也は部屋に足を踏み入れた。


 その部屋は結構大きく、来客用のソファーやテーブル、棚には色々なファイルがしまわれており、一番奥にある机で書類に目を通していた真田幹久さなだ みきひさ局長が顔を上げた。


「すまないね。急に呼び出したりして」


 申し訳なさそうに、真田局長は頬を人差し指でポリポリと掻いた。


「いえ、自分は隊長といってもまだまだ新米ですからこき使って下さい」


 結城も背筋を伸ばして、律義に受け答えする。


「ふむ、啄木鳥隊の隊長は慣れたかね?」


「はぁ…慣れるもなにも、自分だって訓練についていけるか心配ですよ…」


 彼らが話している啄木鳥隊というのは、『帝国情報局』の直属の特殊工作部隊の一つである。


 特殊工作部隊は敵地に潜入し、破壊工作、情報収集、敵局地拠点の制圧、人質奪還、など、兵士と諜報員を兼ね備えた部隊である。


 その部隊は今『天狗』『大蛇』『狛犬』『啄木鳥』の四つある。


 そんな部隊の一つである啄木鳥隊は十五〜十七歳の若者六名と十八歳である隊長と副隊長の二人、計八名で構成されていて特殊工作部隊の中でも一番練度が低く、若さを全面に押し出した部隊であり、その隊長が結城和也であり、副隊長がその幼馴染みである天地涼介あまち りょうすけなのだ。


「ハッハッハ!そうかそうか。だが、君は若干十八歳ながらにして『天狗』にスカウトされたほどの実力の持ち主だと聞いていたのだが?」


 真田局長は結城の緊張をほぐすように、柔らかい口調で話し掛けた。


「いえ、自分はまだまだですよ。『天狗』なんて、夢のまた夢です」


 結城は頭を掻きながら照れくさそうであった。


「そうかね?訓練の報告書や筆記試験の結果から見ても全然大丈夫だと思ったんだけれどね…」


 真田局長は残念そうにうなだれた。


 それを聞いた結城は、もしかして『天狗』に転属になるのではと考え、一気に本題に入ろうと質問した。


「局長が自分をここに呼んだのは転属の通達のためなのですか?」


 そう言った瞬間、局長の目が鋭く結城を貫いた。


 結城はしまったと思ったが、もう言ってしまったので返事が帰ってくるまで局長の視線を耐える決心をした…瞬間


「では、本題に入ろうか…」


 真田局長がそう言い、一枚の封筒を引き出しから取り出し席を立ち、結城の前に立った。


 結城は転属は嫌だった。


 啄木鳥隊には同年代の隊員ばっかだし、何より幼馴染みの天地もいるので、訓練がキツくてもふざけあったり、遊びにいったりできて結構気に入ってたのだ。


 だが、局長直々に言い渡されれば断る訳もいかないので、局長が自分の前に立つ数秒間で腹を括り、どんなことを言われても驚かないようにした。


「…結城君……君は海軍に転属してもらう」


「えぇ、分かりました。局長直々とあらば『天狗』にだって何だったら事務だってやりますよ………って、海軍???!!!!」





作者『最近、忙しすぎです(汗)

学校では行事の準備や家では課題や仕事が一杯…

久し振りに更新することが出来ました。

遅くなろうとも必ず完結させます!

やっと主人公、結城和也登場です。遅くなり申し訳ありませんでしたm(_ _)m

あとタイトルは某アニメから拝借しますた(笑)

今回の話と合っていたので(汗)


では、ご意見ご感想をよろしくお願いします

m(_ _)m』

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