モテたい
「ねぇ、凪。本ッ当にモテたい?」
比奈子さん…いや、比奈子が凪君に聞く。確かに、気になってはいた。先程はモテたいとは言っていても、本当にそうとは限らない。無いとは思うが…冗談かもしれない。
「う、うん…まぁ。」
その言葉で、2人一気にほっと胸を撫で下ろす。良かった。モテさせろ、とは言われても本人に意思が無ければより難しい。
「それにしても、比奈子さっきの話聞いてたっけ。」
「じ、実はね…。地獄耳でさ、私。」
「あれ?比奈子って耳悪いんじゃなかったっけ…」
【は!?何ちゃっかり耳悪い設定付けてんだあのじじい!】
なんて、声が聞こえた。どうやら想いが強いと、意思がなくても聞こえるらしい。気を付けねば。…それにしても、比奈子は元気で可愛くても、思ってることは怖いなぁ。と思った。
「あはは、気のせいだったみたいだよ?ね、おにい…や、何でもない!」
つい昔の癖が出てしまいながらもフォローを入れると、
「そ、そうだったんだよね!」
「へ、へぇ…」
何とか上手く誤魔化せていた。
【…ありがと。後お前お兄ちゃんって…】
【フォローしてあげたんだからスルーしてよ!!】
【はいはい。】
心の中で俺様キャラ丸出しのやつに言われたくないよ。と、思いながらも、私は凪君に話した。
「凪、俺と比奈子がモテモテにしてみせるから!」
「う、うん…」
確実にしてみせる。でないと私はゲームの世界に戻れないのだから。結構、あの世界好きだったんだよ。私。
だから、比奈子も協力して!
強く。想いを込めると、比奈子にも届いた様で。
【俺も、帰りたいからな。協力するよ。】
と声がした、