朝食とこれから
まずは調査からだ。私は急ぎで無造作に置いてあった鞄を持って、一階に向かった。
「おはよう、ママ。」
「マ…?廉、今なんて言った?」
「えっ、あ、いや、母さん!」
「…?おはよう。」
つい、昔の癖で…ママなんて言ってしまった。それにしても、咄嗟に母さんなんて言ってしまったけど、良かったのだろうか。…後、私の名前が廉だと言うことも確認できた。
「それにしても、今日は早いわね。」
「そうかな?」
昔は、お兄ちゃん起きて!!なんて言うのが毎日の日課だったから、早起きには慣れているのだ。
お皿に置いてあった焼かれた二枚のパンのうち、1枚を口に入れて食べる。やっぱりパンは美味しいなぁ、なんて、思いながら私はこれからどうしようとひたすら考えた。
取り敢えず分かっている事は、私は可愛い女子では無く、イケメン男子になっているという事と、名前が廉という事。それに凪君と言う友達?が居ること。未だに分からないことは役割、性格など。だ
「はぁ…」
なんだか、先が長いようで、1枚のパンを食べ終わった口から、溜息が溢れた。
「何溜息付いてるの。」
「いや…何か先長いなぁって…」
「またそんな事言って…」
また?廉君はそんな事を何度も言っているのだろうか。それにしてもさっきから今日は早い。だのもしかしたら私は既に現実に生きている誰かと入れ替わってしまったとかなのだろうか。
だったら…私はこういう急な事に慣れていても、相手はきっと不安だろう。
相手の為にも、自分の為にも…早く戻らなくては。
私がもう1枚のパンを口に放り込んだ所で、ピンポーンというインターホンの音と、外から高い声が聞こえた。
「廉ー。来たよー。」
「…ふぁーい」
きっと、凪君だろう。声は聞いたことないが、迎えに来てくれたという事は、そうだろう。そう思ってどこか間抜けな声で返事を返し、少ししか食べてないもう1枚のパンをお皿に戻して、外に向かった。
「行ってらっしゃい。」
「パンありがと、行ってきます。」