ヤンデレ妹キャラ
初めて自分がヤンデレ妹キャラと知った時は、無理だ。と思った。
「…ヤンデレ妹キャラ?…何それ…。」
ヤンデレはやった事があるが、妹キャラもセットとなると難しく。その前は姉キャラだったのでお兄ちゃんなんて呼ぶのには抵抗があった。
「…お、お兄ちゃん…んん。」
最初はきっと、ぎこちなかったと思う。でも段々、やって行く内になれていった。
「…お兄ちゃんっ。」
「ずっと私だけのお兄ちゃんで居てね?」
コツを掴むと、案外演じてみるのも楽しくて。いつの間にか雪ちゃんに愛情も湧いていた。
設定上ヤンデレ妹キャラは、お姉さんキャラとよく絡む。前は昔やっていた姉キャラが恋しくなったりしていたけど、今じゃもう姉キャラも良きライバルって所だ。
「お兄ちゃんは私のなんだからね?私からとったら…殺しちゃうから。ねっ、お兄ちゃん。」
それからルート分岐があって、意外と雪ちゃんで居た時間が短く感じた。
「…私を選べば、後悔させないのに。」
選ばれなかった雪ちゃんは最後、選ばれたそのキャラを殺そうとして階段から落ちて死ぬ。…まさに悲しい結末だ。
まずギャルゲー、乙ゲーのキャラクターは振られればそこで死ぬ。それ以上に死ぬことを自ら選んだ雪ちゃんは、なんとも雪ちゃんらしい。
「ねぇ、お兄ちゃん。…私が、この世界だけでお兄ちゃんと二人きりにしたら…お兄ちゃんはなんて思う?」
「何をするつもりだ?」
「ふふ、例えば。だよ?何焦ってるの。」
「そんなこと、しちゃダメだ。」
「なんで。」
「雪には幸せになって欲しいからな。」
「ありがとう…お兄ちゃん。」
そんな会話を最後にして、雪ちゃんは計画を実行した。
きっと雪ちゃんは…少しでもちゃんと、お兄さんである主人公に好かれてるって、事実を知りたかったんだろう。
そして、これが自分の最後と分かっていた。
だから、_
「お兄ちゃんが私の方を見てくれないなら…こんな世界とは"サヨナラ"しなきゃ。ねぇ、私の事、ずっと覚えててよ…?忘れたらこっちに連れてっちゃうから。」
私は、そんなヤンデレ妹キャラの雪ちゃんが、心から大好きだ。




