俺様キャラ
あぁ、死んでゆくんだなと、思った。
「俺、死ぬのか…。」
なんとも、可哀想な人生だったなと、これまでを思い出していた。突然主人公の女子に話しかけては、急に告白をした上振られ、
「お前、気に入った。俺の彼女になれよ。」
「ごめんなさい。(何なのこの人)」
因みに、心の声は丸見えだった。なにせゲームだから、ログをちらりと見れば心の声なんて丸聞こえだ。
普通の乙ゲーならその瞬間から、恋が始まるんだろうけど、俺はその瞬間から透はダメだと思った。これは攻略されないルート確定だ。初っ端からやらかした。
「なぁ姫。この仕事やっとけ。」
「この俺と出掛けさせてやってるんだ。喜べよ。」
この性格だ。好かれるわけもなく。
「ねっ、先輩ッ、こんな俺様より、僕のがいいですよね?」
散々後輩キャラに負けて、俺は遂に本当に振られた。そりゃあ可愛い後輩キャラを攻略する奴だ。俺みたいな俺様キャラは苦手中の苦手だろう。※個人の意見です。
でも、俺様キャラにだって、悪い所ばかりじゃない。
「命令だ、俺に荷物を貸せ。」
「…いらねーからやる。」
俺様が好きな人は垣間見える優しさがいいんだろう。俺は好きだ。偶に苛立ち覚えるけど。
「…幸せになれよ。」
乙ゲーの攻略対象は、振られればそこでお終いだ。最後には、1人のキャラクターとして、死んでしまう。
「姫と話すのは…そこそこ楽しかった。俺がこう素直になってるんだから…感謝しろよ?」
最後までそんな憎まれ口を叩いて、透は姿を消した。




