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竜王と黄金のハート 番外   作者: 葉月秋子


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5/15


 何か変だ。


 竜は顔を上げた。

 窪みが、空だ。

 少女がいない。


[やっと仲間のところに帰って行ったか]


 竜はのんびりと身体を伸ばした。

 うるさい小鳥が飛んで行った。やっと静かに寝られる。


 だが。


 何か、落ち着かない。

 

 奇妙な不安に、竜はいらいらと何度も位置を変える。


 とうとう立ち上がり、岩窟の入り口まで出て行った。



 眼下に広がる岩肌と、大森林。


 竜王の住処である岩山は、船の舳先のように岩山の頂上近くに張り出している。

 森の向こう、ふもと近くに人間の巣が固まって在る。


 岩窟から森の中へ、人間の巣の方へ、意識をのばしていく。

 たいして下に行かずに、何かが心に引っかかった。


 かすかだが、苦痛と恐怖の念が届く。


 竜は斜面を降りた。



 小川となって流れ出した池の水は、小さな渓谷となって森を下っていく。

 その沢の岩の間に、少女が倒れていた。


 沢に沿って下って行こうとして、滑り落ちたらしい。

 半ば水につかり、急な流れが小さな体を今にも押し流しそうだ。


 竜は戸惑った。


 この巨大な体で狭い沢に近づけば、重さで岩を崩してしまう。

 少女が動いた。まだ、生きている。

 しかし、身を乗り出すと、片足をかけた岩がぐらりと動き、少女の周りに大きな塊がばらばらと落ちていく。

 小さなかけらがいくつか少女にあたり、ひやりとする。


[我には助けられぬ。諦めるしかないか。短い(えにし)だったな]


 しかし。

 身体が、動こうとしない。

[もう、行かねば。この巨大な体では助けられぬのだ]


 ・・・この・・・竜の巨大な体では。


 額の竜印が、熱を持つ。

 若い黒竜は、いまだ他の姿に変化した事がなかった。


 この狭い沢に下りられる身体。

 少女を助けられる身体。

 この子を、助けるには・・・。


 ・・・人間に・・・変ずるしかないのか・・・。


 額が熱く、激しく脈打った。


 竜印が、白い光を放つ。

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