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予言の乙女-10-

 光の零れ落ちる広い空間を包み込む静寂は、先程のような居心地の悪いものではない。何処か唖然とした空気は先のそれと同様であるが、名も知らぬ国王の背後に控える老人の様子が明らかに違う。老体でありながらも尚衰えを知らない鋭い眼光が先程から和歌を貫き、だから彼女が浮かべる笑みの言い訳の本当の対象者は目の前の国王ではなく、忠実なる臣下だったのかもしれない。

「――ラフォット」

 そんな張り詰めた空気に、空気を読むなどという言葉を知らないようにも思える彼でも認識出来たのだろうか。静かな声が、臣下を呼んだ。

 それに応える髭長お爺さん改めラフォットの声もまた静かで、沈黙を満たしていた緊張をより膨張するのを肌で感じた和歌は、無意識のうちに臨戦態勢に入っていた。

「私は今、感激している」

 目の前のイケメン王子様がどれだけ偉いのはか、正直言って和歌にはわからない。けれど世界史などをやっていると大抵の場合、王族なる者達はとにかく偉いらしい。こうして反抗すれば、それだけで処刑されてもおかしくない。

 といってもそれは特殊な封建社会の中で適応される常識であり、民主主義国家で育った和歌にとっては昔話の類でしかない。そしてここは、まさに、その昔話の封建社会の世界なのだ。

 郷に入っては郷に従え。

 何か懲罰が下るのか。だったら実力行使でこの場から逃げてやる、くらいの気概でいた和歌は、王族、しかも国王の発言に本気で転びそうになった。

 彼は今、何と言った?

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