表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/61

予言の乙女-9-

「・・・・・・・・・」

 無邪気に喜ぶ、たとえその理由がよく理解出来ていなかったとしても、その純粋さに微笑ましいとも思う。見ようによってははちきれんばかりに振られる尻尾すら見えそうで、それはそれで可愛いとも思う。

 けれど、それよりも何よりも、優先される感情はきっとこれだ。

「あの」

 自分でも信じられないくらいの冷めた声で彼を呼んだと思う。

「何だい?麗しき乙女」

 けれど、和歌の手を握ったままの彼は他者の感情を読み取ることが苦手なのか、或いは興味がないのかは知らないが、無邪気さをそのままで輝かせた銀の瞳が和歌を映し出す。

 その瞳の中にもキラキラと輝く星が見えるような気がして、とにかく全身に煌きを纏っている彼が本当に眩しくなってくる。

 あなたは少女漫画に出てくるイケメン君ですか。それともあれですか。それは後光なんですか。

 本気でサングラス、かけようかな。

「あたしの話、聞いてました?離してと、これで三回目なんですけど」

 子供のような無邪気さを纏っていた彼でも、流石に和歌の尋常ではない様子に気付いたようだった。呆然としたような、されどその中にやはり好奇心を散らした銀の双眸が瞬きを繰り返す。

 それでもやはり和歌の願いは叶えられることはなく、盛大な溜め息をついた彼女は今度は言葉を駆使しなかった。己の手を握っている彼の手を乱暴に払い除ける。仏の顔も三度まで、言葉でわからない人に実力行使に出ても文句は言えまい。

 振り払われた手をそのままに未だ固まっている彼に、和歌は綺麗な笑みを浮かべて見せる。私は悪くないと、無言の圧力に果たして相手は気付くだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ