予言の乙女-4-
「近衛隊の対応については心から謝罪する。すまなかった」
思考のフリーズは、更に頭まで下げられれば永久凍土並みに凍りつく。
「君に一時でも刃を向けてしまったのは私の失態だ。謝って許されるものでもないかもしれないが、私には、こうして頭を下げるほか術がない」
自分を凝視したまま沈黙を通す和歌の態度を、怒りによるものだと勘違いし続けている彼の、肩を流れていく銀髪を素直に綺麗だなと思いながら、和歌の思考はようやく、ゆっくりとでも動き出した。
「あ――…いえ、その…」
性格が最悪だとか呆けた事をぬかしたついさっきの自分を殴りたい。全力で殴りたい。いや、寧ろ殴ってください。
「アタシも、悪かったかなぁ…なんて。頭に血が上っていたとはいえ、ちょっとやりすぎたかなって…思ってるし」
なんて素敵な好青年だろう。
顔もよし。性格もよしとくれば、それはもう完璧ではないか。
大人が、一介の女子高校生にこうも丁寧に謝罪してきてくれたら、これはもう、許すしかないじゃない。向こうが素直なら、こっちも素直になるのよ。
他人は自分を映す鏡って言うしね。
「だから、その…できれば、頭を上げてほしいんですけど…って、何!?」
和歌の望み通り彼は頭を上げてくれた。だけど、がし!っていう効果音が相応しい勢いで手を掴まれて、和歌は軽くのけ反った。
「なんと心の広い女性だろうか。こんなにも肌が白く、か弱い女性に刃を向けたというのに…。こんな不甲斐ない私を許してくれると言うのか」
「え…?あの、ちょっと…ッ!?」
今度は頭を下げられたりしなかったが、その代わり、何故か足元に片膝をつかれた。立ってくださいと伸ばしかけた手を目の前の好青年にそっと取られ、和歌はまた動揺する。