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予言の乙女-2-

 いい加減、この場に満ちる、澄んでいるけれど何処か刃を潜ませたかのような不気味な空気に嫌気が差してくる。怖くなる、と言った方が正しいかもしれない。

 だって、ここは、あたしが今までいた、平和ボケした日本とは決定的に違うのだという事実を、突き付けてくるのだから。

 生存本能は未だ衰えていないらしい。どんなに平和な日本に暮らしていたとしても、わかる。

 ここに満ちるのは、生と、その脆弱な光を呑み込もうとする、強大な死の気配。

 今にでも、影になっている柱の闇から巨大な鎌を持った死神が現れて、無防備なこの命を刈り取っていってしまうのではないかと、そんな非現実的な幻想に囚われる。今まさに非現実的な現実に晒されている身としては、それはただの空想だと笑い飛ばす事など出来るはずもなかった。

 そろそろ本気で自分から動こうかと、和歌の中にそんな考えが浮かぶ。

 そうよ。こうしてただ待っているなんて、あたしらしくない。ここが何処だろうが、それこそ死神が出てこようが、この拳で追い払ってやるわ。うん、そうしよう。

 って、決心して立ち上がろうとしたところで、タイミングがいいのか悪いのか。ついさっきまで貝のように硬く閉じていた扉が開くのだ。

 勢い余って和歌は転んだ。腰をしたたかに打ちつける。

 これは、かなり痛い。

「・・・・・・・・・」

 腰に手を当てて激痛に声も出ない和歌の姿に、両側に開かれた扉から現れた人影が戸惑う気配が辺りに漂う。けれど、なんともいえない沈黙に対処出来る程、今の和歌には余裕がなかった。

 まるでマンガみたいな展開だと、和歌は思う。

 それも、ギャグマンガ。どうしてあたしが、こんな異世界に来てまで道化の真似をしなければならないのか。別の意味で泣けてくる。

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