王道展開に物申す-4-
そして、どうやら彼等には、末端とはいえ国家に仕える兵士に逆らった女の子に掛ける情けはないようだった。
抗議した瞬間に苛立ちを含んだ平手を一発頬に貰えば、甲高い音が夕闇の落ち始めた高い空に響き渡る。衝撃が薄れた頃に痛みが這うようにやってきて、目の前に立つ騎士を睨み付けた。
「…殴ったわね?親にも殴られたことないのに」
「口を閉ざせ、罪人よ。これからもっと殴られる事になるのだ。覚悟するがいい」
にやり、と。意地の悪い、粘着質の笑みを浮かべて真面目に返してくる騎士Aさん。
「・・・・・・・・・」
ここ、本当は笑うところなのよ?
だけど、文化の相違って淋しいものね。あの超有名なアニメを知らない彼等には微妙な笑いのセンスがまったくといっていい程伝わらない。
せっかく、腹の底から濁流のように湧き上がってくる怒りをなんとか鎮めようとしてあげているのに、神経を逆撫でするような物言いをするんじゃない。
っていうか、この人達、己の無様さに気付いているのかしら?
何処からどう見てもか弱い普通の女子高生にしか見えない女の子一人を、堅牢な甲冑と凶暴な槍で武装した男達が総勢十五人も束になって包囲しているなんて、無様以外の何物でもないわ。
相手を傷つける為の武器も、己の身を守る盾すらも持たない丸腰の相手に槍を向け、手を上げた瞬間から、あんた達はもう、国を守護する敬虔な勇士ではなくなった。今はただ、被った雪辱を晴らそうと躍起になっている、野蛮人の集団よ。