記憶喪失的情報収集-19-
「まぁ、心細いっていうのはありますけど…でも、ほら、悩んでいても始まらないですし。どうしてこんな所にいるのか、とか。答えの出ない疑問を繰り返して袋小路に入り込んで動けなくなるよりは、取り敢えず何も考えずに行動した方がいいかな、なんて」
我ながら、楽観的な性格だと思う。これがもう少し神経が細かい人だと、もっと慎重に、もっと合理的に行動するのだろう。
けれど、これがあたしだ。
悩むよりはまず行動。
思考放棄はしないけど、情報が集まっていない今、答えの出ない疑問を考えるなんて馬鹿みたい。わからなければ、聞けばいいんだ。
「改めて、お聞きしますけど。ここって、何処なんですか?」
手に持っていた木で出来た湯のみにしか見えないコップをテーブルに置き、背筋を正した和歌は一番の疑問を口にした。
顔を見合わせた二人は、事情を知っているという事もあり、一度頷くと腰を据えて話してくれる気になったようだった。
「いいかい、カズ。ここは、リンベール王国を治めるフィルチチェ二世様の住まう王都、リーザだ」
えぇと、ごめんなさい。とっても丁寧に説明し始めてくれた所悪いのですが、それはもう聞きました。
あたしが聞きたいのは、そこから更に下層の部分からです。
「あの…リンベール王国って…何処ですか?」
危うく、何ですかって訊きそうになった。
何ですかって、国です、としか答えられないよね。だから、この世界の大まかな地理を知っておいて損はないと思ったんだけど。