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記憶喪失的情報収集-16-

 そんな和歌に、にこり、と非の打ちどころのない笑みを残してまた少年は中庭へと出ていく。

 何だろう。向けられた笑みは凄い綺麗だったし、手伝いを断った理由も納得出来る。だけど、何故だろう。その奥に何かが潜んでいる気がする。

 両手に木材の皿を持ちながら器用にドアを開けたり閉めたりしているガーネの細やかな働きによって、御影石のテーブルの上は瞬く間のうちに手作りの料理で一杯になった。美味しそうな匂いが混ざりあり、それがまた更に美味しそうに思えて、素直なお腹が歓喜の声を上げた。

「…げんきんな腹め」

 ぐぅ、とそれなりの大きさで鳴った腹を両手で押さえながら、ガーネがまだ外にいてくれてよかったと思う。流石に恥ずかしい。

「さぁて、待たせたね、カズ。お腹空いただろう?」

 背後から声がかけられると同時に、結構強い力で背中を叩かれた。それが思いの外痛くて、笑顔が引き攣るのはあたしのせいじゃない。

 母親の後に続いて少年も椅子に座る。

 自分が座っているのは、日本でいうと所謂上座で、向かい合って座る親子を左右に見る形になった。その二人が両手を顔の前で組んで目を閉じたので、合掌しようとしていた和歌は慌てて彼等に倣った。

「アメシュ。あなたの命により生を受ける事に感謝します」

 母親の祈りの言葉に引き続き、親子の声が重なる。

「イシューメ」

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