ここは何処?-3-
「それに。よく見れば、男が寄ってたかって取り合わなければならない程の美人でもない」
そろそろ例外に会いたいなぁ、なんて思っていた自分が馬鹿だった。やっぱり、美青年は皆性格がひん曲がってる。
誰が、美人じゃないですって?
「お戯れを。こんな貧弱な小娘、こちらからお断りですぞ」
貧弱な小娘?
「そうでしょうとも、ブルイ隊長。貴方程の方が、こんな魅力の欠片もない女を相手にするはずもないでしょう」
魅力の、欠片もない…?
人が黙ってれば、いい気になりやがって。よくもまぁ、言いたい放題言ってくれるじゃない。その口、黙らせたろか?
「では、その娘、私に譲ってはもらえないでしょうか?」
にこりと笑って、とんでもない事を言い出す美青年改め、腹黒大王。
あたしは物じゃないと、叫べない現状に和歌の機嫌は更に悪いものになっていく。
「ほう?物好きもいたものですなぁ」
「まだ蕾。その花を綺麗に咲かせてみせるのも、楽しいのですよ」
互いに笑いながら、何処か腹の探り合いをしている緊迫した空気に気付く余裕は、もちろん和歌にあるはずもなく。
ぷつん!と。頭の中で何かがぶち切れる音を、和歌は確かに聞いた。