記憶喪失的情報収集-6-
何か言いたそうに口を開きかけたガーネは、結局吐息と共に口を閉ざして帰路への道を再び歩き始めた。その横を、物珍しそうに白い壁の続く路地裏を見渡している和歌が歩を進める。
そんな彼女がなんだか危なっかしく見えて、最初に抱いていた不信感や警戒心も忘れて、ガーネは無防備なその白い手を取ろうと半ば無意識のうちに己のそれを伸ばしていた。しかし、触れるか触れないかという所で和歌が顔を向けてきて、向けられた笑顔に大慌てで手を戻した。
「なんだ、少年。そんなに心細かったのか」
自分の行動と高鳴る鼓動の理由が分からずに、ただ浮かんでくる羞恥心に顔を伏せていたガーネに、頭上から和歌の声が降ってくる。顔を上げると同時に温もりが手を包み込んできて、息を詰めた。
「え…?あの…カズさん…」
困惑して思うように言葉が出てこないガーネに、手を繋いだ和歌は太陽のような笑顔を向けた。
「こうして手を繋いでいるとさ、傍にいるんだなって安心しない?」
小首を傾げて同意を求めるように笑うと、少年はまた顔を伏せてしまった。けれどそれは決して拒絶ではない事を、ぎこちないながらも握り返してきた小さな手が教えてくれる。
なんだか弟ができみたいだ。
嬉しくなって、和歌は鼻歌まじりに白い風景を歩いた。