表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/61

ここは何処?-17-

 十字路だけでは飽き足らず、六つや八つに分かれている細い道を目の前の少年に手を引かれる形で走っていた和歌の息も、流石に切れてきた。どんなに空手で鍛えた持久力があるからといって、これだけ長い時間走り続けていたら疲れてくる。もともと長距離ランナーじゃないし、だいだい、全力疾走の持久走なんて聞いたことない。こんなペースで何十キロも走ったら、それこそ自殺行為だわ。

 何の拷問よ、これ。

 もう限界、と思ったら、なんていいタイミング。前を走っていた少年が立ち止まった。和歌を導いていた手がほどかれ、膝に両手をついて乱れた呼吸を整える。爆走する心臓の音が耳にうるさかった。

「あ…りがとう、少年。助かった」

 休憩を挟みながらも疾走を強いられた両足の筋肉の上げる悲鳴には素直に応じて、石畳の地面に座りこんだ和歌は未だ乱れた呼吸の合間を縫って感謝の言葉を投げ掛ける。

「ううん。寧ろ、お礼を言わなければならないのは俺の方。助けてくれて有難う、親切なお姉さん」

 笑顔が眩しい。

 そう思った。これは、完全に美形の部類に入る。もしこんな綺麗で素直な男子がクラスにいたら、確実に醜い争奪戦が繰り広げられるはずだ。

「ちなみに、俺の名前はタロじゃないよ。ガーネだ」

 しかも純真。

 完璧だ。この子、天使。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ