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ここは何処?-13-
背後を振り返れば、案の定怒り狂った男達が追いかけてくる。
こういう結果になることなど最初から判りきっているのに、何でかなぁ。出さなくてもいい世話を焼く。
「ま…それがあたしだしね」
厄介な事に首を突っ込む。その度に降りかかる災難から身を護る為の護身術として空手も始めたのだし。空手の楽しさもこの厄介な性格がなければ一生知らなかったのかもしれないから、まあ、嫌な事ばかりじゃないかな。
要は、見方の問題。
この鬼ごっこに負ける気もぜんぜんしない。逃げ切ってみせる。
多分この下町で一番賑わっていると思われる、人通りの多い市場を小柄な体を生かしてすいすいとすり抜けていく。ちらりと後ろを振り返れば、思った通り、行き交う人波に行く手を阻まれてあたふたしているヤンキーの姿が垣間見えた。
「ふん!伊達にお節介は焼いてないわよ」
面倒事に首を突っ込んで、時折柄の悪いお兄さんとかおじさんとかに追いかけられたりするから、ただ逃げ切れば勝ちの鬼ごっこには自信があるのだ。まあ、それが誇れるかどうかは別として。