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ここは何処?-12-
諦めもまた肝心。やる事が決まったなら行動に移すは早い。
足元に、まるで投げてくださいとでも言いたげに転がっている小石を拾い、狙いを定めて和歌は力の限り放り投げた。
空気を切って飛んでいった小石は、ものの見事に一人の男の後頭部を直撃する。どうやら都合よく鋭く尖った角が当たったらしく、血が噴き出す。効果音なら、ピューって感じ。
いや、あれは出過ぎでしょ。物理的に考えて、あんな小さな石の直撃であれだけの出血は有り得ない。
「あたしはどんだけ豪腕なんだっつーの」
掌に収まる程度の石で後頭部をかち割れたら、ずっと前にプロ野球選手にでもなってるって。
「ま、いいか」
細かい事は気にしない。だって、答えなんて出ないから。
「お~い!そこの太郎く~ん!早く逃げなさいよ~!」
思ってみもなかった背後からの攻撃と出血に驚いている男達を呆然と眺めている少年を勝手に付けた名前で呼び、逃げるように催促して和歌も来た道を引き返す。