ここは何処?-1-
有り得ない。
まさに、その一言しか思い浮かばなかった。
だって、可笑しいでしょう?確かに、今の今まで日本の某田舎県のそこそこ有名の高校の教室で授業を受けていたはずなのに…いや、暴露すると実は寝ていたんだけど。
とにかく!自分は、教室にいたはずなのだ。なのに、何故こんな目に遭わなければならないのか。
「動くな。動けば、殺す」
目の前に突き付けられた剣。
これって、本物だよね?
「奇妙な格好をして。お前、アゾマ国の間者の者か」
「ブルイ隊長。もしかしたら、北方のアザナ帝国やもしれませぬぞ」
「ふむ。謎に包まれた北の帝王か。見慣れぬ格好だ。その可能性はあるかもしれない」
「そうでしょうとも」
目の前で交わされる会話に、和歌は頭を抱えたい気持ちになった。アゾマとか、アザナとか。何を訳の分からない事を言っているのだ、この髭の生えたおっさん達は。日本の都道府県に、そんな名前の市なんてあったっけ?
地理は得意な和歌は、目の前の現実から逃れる為に頭に思い浮かべた日本地図に耳で聞いた単語と同じ市がないかと探す事で必死に自分の日常に繋げようとする。
「とにかく。お前は、何処から来たのだ」
だから、日本だって!
そう叫べたら、どんなに幸せだっただろう。