第25話 速さのその先
改定補則の発効から、半年。
市場は安定していた。
中央の緊急決定は三度発動されたが、
いずれも期限内に再審査が行われた。
地方の抗議は減り、
小国代表は残留を選んだ。
統合は、続いている。
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城の執務室。
「再審査制度は機能しています」
報告書を読みながら、主人公は小さく息を吐く。
「中央も期限を守っている」
信頼は、少しずつ積み上がっていた。
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アルトが窓辺に立つ。
「軍も安定した」
「ええ」
「命令は明確だ」
だが彼は続ける。
「……だが中央は速い」
「ええ」
それは変わらない。
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遠く、統合圏外の港。
新しい旗を掲げた艦船が停泊している。
聞き慣れぬ紋章。
東方連邦。
急速に勢力を拡大している新興国家。
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中央都市。
王カシウスは報告を受ける。
「東方連邦が独自通貨圏を形成中」
「統合圏外で?」
「はい。急速です」
王は沈黙する。
速い。
恐ろしく速い。
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「期限付き権限は、外に通用するか」
王が呟く。
速さと修正。
内部では機能する。
だが外圧は別だ。
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城壁の上。
夕暮れ。
「また揺れますね」
主人公が言う。
「揺れるだろうな」
アルトが答える。
「速さは止まらない」
「ええ」
「修正も止めない」
視線が交わる。
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「次は外だ」
アルトが言う。
「ええ」
彼女は微笑む。
「壊さずに、進めます」
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統合は続く。
制度は完成していない。
文明は常に揺れる。
速さと修正。
中心と並立。
その均衡の上に、国は立つ。
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遠く、東方連邦の旗が風に翻る。
新しい速さが、生まれている。
物語は終わらない。
ただ、形を変える。
並び立つ者たちと共に。
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