第24話 期限という約束
会議は三日に及んだ。
条文が並び、
数字が交わり、
思想がぶつかる。
だが結論は、ゆっくりと形を持ち始めていた。
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「緊急決定は中央に帰属する」
王カシウスが確認する。
「ただし、期限は六十日」
「六十日後、自動再審査」
主人公が続ける。
「三分の一連名で、再審査を前倒し可能」
マティアスが補足する。
「再審査は統合圏全体投票」
速さは守られる。
だが永遠ではない。
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「中央は弱体化する」
マティアスが低く言う。
「いいえ」
主人公は静かに返す。
「中央は信頼を得ます」
王が視線を上げる。
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「期限を持つ権限は、
期限なき権限より強い」
その言葉に、円卓が静まる。
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最終草案がまとめられる。
名称――
《統合経済条約 改定補則》
速さを否定しない。
修正を制度化する。
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軍にも通知が届く。
アルトはそれを読み、
ゆっくりと息を吐く。
「守れたな」
誰にともなく呟く。
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「団長」
セドリックが言う。
「中央は変わりました」
「変わったのではない」
アルトは言う。
「進んだ」
速さが修正を持つ。
軍は命令に従う。
だが盲従ではない。
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城壁の上。
夜は静かだ。
「終わりました」
主人公が言う。
「終わっていない」
アルトが答える。
「形が変わっただけだ」
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「私はあなたに従いません」
彼は言う。
第一部から続く言葉。
「ええ」
「だが並ぶ」
彼女は少しだけ笑う。
「それで十分です」
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「速さを否定しない」
「ええ」
「だが修正する」
「ええ」
風が吹き抜ける。
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中央都市では、
王カシウスが報告を受けていた。
「統合は保たれました」
「ええ」
「地方も残ります」
王は窓の外を見る。
「速さは必要だ」
静かな声。
「だが速さが恐れられたなら、
それは統治の失敗だ」
彼は微かに笑う。
「良い敵を得た」
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統合は続く。
だが形は変わった。
中心はある。
だが唯一ではない。
速さはある。
だが期限がある。
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城壁の上。
並び立つ二人。
従属ではない。
対立でもない。
並立。
それが、この国の形だった。
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