第23話 王との対話
中央都市は、統合の象徴だった。
広く整備された大通り。
一糸乱れぬ兵の列。
巨大な中央議事堂。
速さは、形になっていた。
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多国間会議室。
円卓の中央に座るのは、
カシウス・ヴァルドレア。
静かな目。
怒りも傲慢もない。
ただ理性。
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「歓迎します」
王は言う。
「統合を揺るがす者としてではなく、
統合を支えようとする者として」
視線が主人公へ向く。
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「あなたは速さを否定していない」
「ええ」
「だが速さに制限を求める」
「ええ」
簡潔な応答。
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「なぜだ」
王は問う。
「速さがなければ、
この統合は成立しなかった」
「認めます」
「ならばなぜ揺らす」
室内が静まる。
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「揺らすのではありません」
主人公は言う。
「折れないようにするのです」
王の目が細まる。
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「折れる?」
「中心が誤った場合、
修正がなければ硬直します」
「中央は誤らない」
マティアスが言う。
「統計が示す」
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「統計は過去を示します」
主人公は返す。
「未来は示しません」
空気が変わる。
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「分裂は文明を弱らせる」
王が言う。
「一つの判断が、統合を進める」
「一つの判断が、統合を止める可能性もあります」
視線がぶつかる。
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「あなたは中心を否定するのか」
「いいえ」
「では何を求める」
短い沈黙。
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「期限です」
その一言が落ちる。
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「速い決定は必要です」
「ですが期限を設ける」
「一定期間後、自動再審査」
「連名申請で強制審議」
円卓に置かれた草案。
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「速さは守る」
「ですが速さは、永続してはならない」
室内が揺れる。
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「期限付き権限だと?」
マティアスが言う。
「緊急決定は可能」
「だが固定しない」
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王は黙っている。
やがて静かに言う。
「あなたは統治を甘く見ている」
「いいえ」
「人は迷う」
主人公は言う。
「だから修正します」
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沈黙が続く。
やがて王が問う。
「もし修正が乱用されたら?」
「期限を守る制度を設けます」
王は初めて、わずかに笑った。
「あなたは中央を壊したいのではないな」
「いいえ」
「進化させたいのです」
その言葉が、重く落ちる。
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アルトは円卓の外から見ている。
剣ではない。
条文でもない。
思想だ。
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王はゆっくりと立ち上がる。
「統合は速さで築いた」
「ならば速さを守るために、
修正を組み込むのも理にかなう」
マティアスが息をのむ。
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「条件がある」
王が言う。
「期限は明確に」
「再審査は統合圏全体で行う」
「感情ではなく、数で動く」
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「受けます」
主人公は即答する。
中央を壊さない。
中央を唯一にしない。
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会議は続く。
だが方向は決まった。
速さは残る。
修正が加わる。
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文明は、折れない形へ進もうとしていた。




