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ノーズバックブリーカー‼

 極論だがいじめは良くない。


 いじめはカッコ悪い。


 とにかくいつの世にもい酷いじめを繰り返し、他者を踏みつけて自己満足する人種は絶えない。

 彼らの多くは他人の人生を台無しにしている感覚が乏しく、また他者との間に取り返しのつかないレベルの隔たりを作っているという自覚も無いので始末が悪い。

 こういった精神的な奇形人間は自らが異常者という自覚が無いままに自傷行為とも受け取れるいじめを繰り返し、やがては世間から放逐される事を宇運命づけられている。


 バブル期に多々存在した家庭の僭主たちが退職と共に家族に捨てられるという最も悲惨な凡例などは典型だろう。

 彼らはついぞ死ぬまで自分が異常者である事に気がつく事はないのだから。

 

 精神的な奇形人間の話は御用学者の先生たちに任せるとして、我々常人はどうすればそのような偏執狂パラノイアに脳を侵されないのかについて考えて行こうと思う。

 そう狂気と正気の狭間は、常に紙一重なのだから。



 ここに完成された人格があるとする。


 彼の名前はマンモスマン。


 言わずと知れた強豪超人だが、彼もまた過去の軋轢、辛酸に苦しめられた子羊の一人にすぎない。

 

 マンモスなのに子羊だって?

 

 うるせえな、テメーは家帰って舞の海のブロマイドでもおかずに抜いてろよ。



 とにかく子羊は物の例えなので、いくらマンモスマンがマンモスの被り物をしているからといって気にしないように。

 彼も彼なりに苦しんで生きてきたのだ。

 

 まず彼の生い立ちを言えば、彼は一族の中でも特に強かった。

 そして自慢の二本の牙でブイブイ言わせていたわけだが、それが良くなかったのだ。


 彼の強力すぎる牙はやがて飾りとは呼べない程に成長し、やがては自身の身体を傷つけるほどに成長してしまったのだ。 

 

 思えば是がきっかけでマンモスマンは自信を失い、ロビンマスクに敗北してしまったのである。

 

 自慢の鼻で氷の吹雪を引き起こし、時間を逆転させる(※アイスロックジャイロの事)という「なろう」系の主人公のような異能を持った男でも心は絹ごし豆腐のように繊細だったのだ。

 

 まあ、その過程で彼を見限ったキン肉マンスーパーフェニックスとジ・オメガマンが燃やされると存在が消失する預言書の一ページを燃やそうとロープを揺らしたりしていたこのわけだが。


 マンモスマン、スーパーフェニックスの両方に言い分はあろう。


 だが結果として考えれば三対三の勝ち抜き戦なのだから、やはりスーパーフェニックスのやり方には問題があったと思う。

 

 無敵のマンモスマンも心がある。


 そしてその心は肉体ほど頑丈では無く、些細な事でやる気を失い自暴自棄になってしまうのだ。

 

 我々はマンモスマンの心の平穏を守る為にまず彼に対する心象を変化させる必要があるのだと私は考える。

 頑強な肉体にはそれにふさわしい精神が宿るのでは?と考える皆様もいるだろうが、今回に限ってはその手の思索も封印して欲しい。

 完全な物が完全然として見えるのは不断の努力の産物であり、生まれながら何一つ欠ける事無く揃っているものなど存在しないのだから。


 向こうで溶接工が仕事の時に使っている仮面みたいな物を被っているロン毛の男が何か言っているような気がするが無視して良い。ていうかテメエの敗北の原因の多くはスタンドプレーだろうが。


 マンモスマンが心清く、平常心を保つにはどうするか。


 一番手っ取り早い方法はやはりあの物騒な牙を引っこ抜く事だろう。

 

 あれはタダの象牙ではない。

 近くに捕食できそうな生物がいると勝手に動き出し、殺害してしまうのだ。

 おそるべき非人道的な殺戮兵器だと言えよう。


 マンモスマンは王位継承戦において牙を伸ばしたり、引っ込めたりして多くの超人や動物を手にかけている。

 端から見れば彼が楽しんでやっているように見えるのかもしれないが、内心では自身の狩猟生物としての本能を嫌がっている描写もあった。

 さらに彼は永久氷壁の中で牙と鼻を使って同族を惨殺して一族を滅亡に追いやってしまったのだが、反省するような様子は作中で描かれる事は無かった。

 多分、脳がマンモスだから覚えていないだろう。

 

 挙句の果てに自分を永久氷壁から助け出してくれた大恩人のウォーズマンでさえ試合中に「何かイケていないから」という心変わりの早いギャルのような理由で裏切っていた。


 一見してマンモスマンの道徳面に問題があるのかと考えられるのかもしれないがこの突飛な行動もまたマンモスマンのマンモスマンたる所以である。

 つまり彼の起源とも言うべき「心優しい貧乏父さんよりも、お小遣いをたくさんくれる金持ち父さんの方がいい(※パパ活的な意味)」という思考回路は万民が共感し得るある種の心理にも通じた行動原理なのだ。


 同様に動物をモチーフとしたバッファローマンの変心も挙げられるのだろうが、彼もまた元カレ(※スプリングマン)と現在イマ彼のい仇で恋心揺れ動く乙女のような新値の持ち主なので同族なのだろう。


 きっとガゼルマンやセイウチンだって同じような気持ちを持っているはずだ。


 獣ゆえに本能には決して逆らえぬと定義づけたところで話は進むが、マンモスマンのガーリーな的思考をどう共生するかはもはや今回の議論における不動の命題だ。

 

 まずは社会的な契約を破ってはいけない(※一方的なパートナー関係解消)。

 

 背理に近しい行動を控える(※殺人等)。


 そして最後にペンチマンのように彼の素顔を直接攻撃しないということだろう。


 マンモスマンは見た目は鋼鉄の塊でも中身はか弱いギャルなのだ。

 

 もしも彼を正しい道へと導きたいなら考えておくといい。


 「後でバナナを好きなだけ買ってやる」と言伝するのだ。そうすればきっと永久氷壁に覆われた彼の心もいつしか…


 「やはり俺はアブソリュートフェニックスにつくぜー‼ノーズバックブリーカー‼」


 所詮は象の仲間だった。

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