4.アツアツな話
猫舌
わたしは何を隠そう猫舌だ。
別に悪いことをしているんじゃないから、隠さなくたっていいのだけれど。
表だって「わたしは猫舌だあ!」と、世間様に叫んだりもしないのである。
でも、いつから猫舌だって、聞かれたとしても、明確に何年何月何日何時何分何秒とおむねを張って答えられたりもしないし。
兎に角、わたしは猫舌なんです!
猫舌のわたしは、何を隠そう湯豆腐が大! 大! 大! 大好きなのです!
へっへんへんと胸を張る。
春から夏へと日めくりカレンダーをめくるめく、毎日毎日ビリリビリリとギザギザを刻んでゆく日々。
心がうずうずとしてくるんです。
そしてぽつりと「湯豆腐食べたい」と呟いていたりもします。
でも、猫舌のわたしには、本当は天敵なんです……湯豆腐って。
猫舌だって、猫舌だって、湯豆腐を大大大大好きだっていいんです。
わたしはゆるします。
猫舌のわたしを。
さあ、のお食べなさい。お口あつあつの壁を越えて。
わたしのお家の近くに、京都の嵯峨でお豆腐修行をされてきた嵯峨豆腐屋さんがあるんです。
つるつるすべすべでとっても美味しいんです。
湯豆腐にしても、お豆腐が煮崩れしないんです。
わたしはきめました。
今日は、湯豆腐です!
今日はお口の中の天井が、デローンてなる覚悟をきめました。
冷蔵庫にキンキンに冷やしたゆずぽんを確認!
よし!
お鍋をもってるんるん気分で、京都の嵯峨でお豆腐修行をされてきた、嵯峨豆腐屋さんへ。
湯けむり湯けむり、はふはふはふ……。
ああ! 頭の中で妄想湯豆腐はふはふはふ。
るんるん、るんるん。
湯豆腐、湯豆腐、るんるん。